床下エアコン VS 壁掛けエアコンどちらが暖かい?
今回は床下エアコンと壁掛けエアコン、どちらが暖かいのかについてお話をします。
まず壁掛けエアコンと床下エアコンを使う時に、どこの場所を暖かくするのかが重要だと思います。一番ポピュラーな壁掛けエアコンはどこの家でも使われていると思いますけど、部屋のエアコンの暖房をつけたら、その部屋は一定の暖かさになります。そこの限られたエリアを素早く暖めていくことに関しては壁掛けエアコンは結構優秀なんです。一方で優秀な壁掛けエアコンも当たり前の話なんですけど、壁掛けエアコンがない空間はあんまり暖かくないんです。
どっちが暖かいんですか?と聞いた人は、エアコンがある所について聞いている人が多いと思うんですけど、家は一室だけでできてるわけじゃないから、いろんな部屋の複合体が家なので、そこの観点でお答えした方がいいのかなと思います。
共通点としては、壁掛けエアコンも床下エアコンも共に同じような壁掛け用のルームエアコン、ヤマダデンキさんとか量販店さんに売ってるような普通に売ってるルームエアコンを利用するんですけど、暖かさを醸し出す特性がちょっと違う。
エアコンというのはすごく優秀な暖房器具なんですけど、そんなエアコンの口から80℃・100℃もある温度の風が出るわけじゃないので、少し暖かいぐらい、焚き火・石油ストーブと比べたらですけど。それから考えると、部屋自体の気密・断熱が不十分だと、建物の上側とか土台・床などの際の方からせっかく暖めた空気がどんどん逃げていってしまってロスが大きい。そういう側面があるということは共通の項として見ておいていただきたいです。
まず壁掛けエアコンから説明していきます。壁掛けエアコンのとってもいい所は、例えば6畳・8畳・15畳とかの部屋をすぐ暖めようと思ったら、短時間で限られた容積に対して暖房をしていくので、結構早くできます。それから、僕の部屋は19℃、女房の部屋は23°Cなどと温度設定を分けられます。家の中で吹き抜けがないプランだったら、それぞれの部屋にエアコンを配置するからムラが起きにくいので、一様にやりやすいという側面があります。
一方でデメリットもありまして、例えばエアコンは一般的に居室につけるじゃないですか。リビング・子ども部屋・夫婦の寝室にエアコンをつけても、それ以外の例えば廊下・脱衣場とかそういう所にはエアコンがないです。各部屋にそれぞれ効かさないとアカンので、床・壁とかで仕切ってしまうとエアコンがついてないところに暖気が行きにくいです。
そうなると、家の中をトータルに考えた時に温度差が発生しやすいです。なおかつ必ず複数の壁掛けエアコンの運用になるので、1軒の家で考えた時には電気代も掛かります。同時に4台とか動かすと掛かります。
例えばうちの女房はエアコンで暖房するのはあんまり好きじゃない。なんで?と聞いたら、暖かい乾燥した風が顔に当たるのが嫌と言ってます。僕は何も気にならないんですけど、あ、そうなんやな、みたいな感じで気流感が不快に感じる人もいる。女性は肌の水分・潤いを重視するじゃないですか。乾燥した空気がバンバン当たったら乾くからお肌の調子がよくないんでしょうね。なので気流感を不快に思うことと不快の中に過乾燥があることから言うと、冬場は加湿器とエアコンがセットなんです。加湿器はそれぞれの部屋にエアコンがあるからそれぞれの部屋に1個ずつ要ります。これがデメリットかなと思います。
一方で床下エアコンでは、まず床下の空間をガーッと暖めて、吹き出し口と床自体が断熱入ってないので、そこから熱が伝道されてこんな感じで床暖房ほどじゃないけどほんのり暖かい。頭寒足熱という言葉がありますけど、頭はクールに、足元が暖かいと快適で非常に気分よく暮らせます。足元から暖かくしやすいということがあります。それからこの絵で言っていますように、1つのエアコンで1階の床下部分を全部暖めていくと、各部屋ごとに、たとえ仕切りがあってもガラリが開いていたり、熱が伝道することによって均等に暖めようとしていきますから、これが翻って1軒の家の中で温度のムラが少ないというメリットがあります。
特に水回りです、脱衣場・トイレがそんなに寒くないというのはやっぱり快適ですよね。僕は年を取ってきて夜中に目が覚めるんですよね。夜中に目が覚めてトイレに行って、トイレが寒かったら眠気が飛んでしまったりするし、ヒートショックみたいにブルブルッとなります。今のところは元気でおりますけど、例えば調子の悪い日だったら堪えると思うので、温度差がないのはものすごく大きいメリットだと思います。
デメリットとして思うのは、基礎の中に風を円滑に満遍なく回そうとすると、必ず基礎の中に間仕切り部分の立ち上がりがあって、屏風のように仕切って空気の循環を阻止することがある。それのために地中梁と言って立ち上がりを省略することで若干基礎のコストが余分に掛かることもある。上手な設計者だったらないかもしれませんが、そういうこともある。それから吹き抜けがあった方がいい、1階で暖まった空気を2階に大量供給するのは階段だけになってしまうので、吹き抜けがあった方がより2階に熱を伝えやすいので、そこがデメリットと言い放った方がいいかもしれませんけど、吹き抜けがあった方がいいという点で吹き抜けいらない人にはデメリットになってしまいますよね。
余程の大きな家じゃない限りは、床下エアコンは大体1台あったら、1軒の家が全館暖房できる事が多いので、エアコンも1~2台、加湿器も大型の加湿器をドーンと吹き抜けの下ぐらいに置いたら、1階も2階も空気が回りやすいから、そうなってくると加湿器も省略できる。加湿器が少なくなると加湿器は毎日水を入れないとアカンから、意外と面倒なんですよ。一冬に1回だけじゃなくて、毎日だし。それからお掃除もどうしても汚れやすい、雑菌の元になったりしてしまうから、頻繁に掃除も必要となると個数があると結構運用面がしんどいというデメリットがあります。
最終的にここら辺を見ていただいたら、自分がどういうエリア・場所において2つのエアコンの暖かさを比較したいのかというところになってくると思います。なので上手な設計ができれば、断熱性・気密性がちゃんと担保できて、できればここにはさらっと書いてますけど、冬期の南の窓からの日当たり、日射取得がちゃんとできることを鑑みて、全体的に言うと、温度のムラがないという視点では床下エアコンに軍配が上がるかなと思います。
こんな感じの特性を理解していただいて、例えば壁掛けエアコンでも1階の床の断熱を普通に考えるよりも十分に強化して、吹き抜けによって一間使いになる、なるべく建具も冬場でも開けておくようにして、容量の大きいエアコンで広い空間を暖めて、そこから暖気を広げていく形も設計のやり方によっては成立することも多々あるので、そういう風な良さもあるということも床下エアコンばっかり擁護した感じになったと思うので、それも設計者の方針・力量によって実現もできるので、そんなことで何がいいのかバランスを取っていただいたらいいんじゃないかなと思います。