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床下エアコンは後付けできるのか?

最近、床下エアコンがいいと聞くんですけど、うちの家に後付けで床下エアコンをつけることができないんですか?というご質問をよくいただきます。今回は、僕なりにどうお答えしているかを解説したいと思います。

床下エアコンは足元から温かくなってくるし、温められた空気は軽くなるので、まず1階を温め、次に2階まで上がっていってくれるので、ムダがなくてとてもいいなと、個人的には思っているんですけど、作る時にはポイントが何点かあって、そのことを踏まえないと、新築といえども床下エアコンを稀にですけど、失敗することもあるので、そのことを踏まえて、後付けできるのかの判断になります。

まず例として、4間角の4間×4間・8P×8Pと言ったりもしますけど、よくある典型的な間取りで考えてみます。この家を評価する前に、建てる家がHEAT20でいうG1グレード、UA値で言うと6地域では0.56以下なんですけど、断熱等級で言うと断熱等級5です。5以上 6未満ぐらいになると思うんですけど、その程度の断熱性・気密性がそもそもあるのか、ということです。それから、その建物は床断熱で作られてるのか、基礎断熱で作られてるのか、ここによっても随分と後の持っていき方が変わってきます。

そこがわかった上で、G1グレード以上あるのであれば、床下エアコンをつけるにあたっての一番ベースはクリアしていて、次が、基礎伏図になってきます。基礎というのは大体、木造の家でしたら、建物の間仕切り・柱通りと言われてる所の真下や外周にあります。中はこういう風に田の字に交錯しています。これが、どれぐらいの感じで作られてるかが非常に重要です。これを断面で見ると、中の間仕切りってこういう部分です。

床下エアコンは1階の床の下の空間を利用して、ここに暖気をうまく誘導して、そこを暖房に使っていく仕組みなので、間仕切りの下の基礎ですから、文字通り床下の中でも間仕切りです。屏風のように空間にそびえ立つので、そこがあると、当たり前ですけど、床下”エアコン”なので、ものすごい強烈な熱・風をバンバン送るものじゃなくて、一定の暖気をまっすぐに送るというエアコンの特性から言うと、ここの場所の見切り方が非常に重要です。

このお家だったら全て暖房にしたいんですけど、すごぐ細切れで入ってますから、なかなか綺麗に後付けはしにくいので、せめてここだけでも温かくしよう、という感じでやっていくと、ここで立ちはだかるのが、立ち上がりです。人通口と言って床下に潜って点検するための人間の体が入るぐらいの開口をあけてあるんです。基礎伏図を見ながら、これがどこにあるかを確認する必要があります。そして、その人通口が人が通る口と書くんで、人が入れないアカンのですけど、どういう都合かわかりませんが、人通口がない時は(床下エアコンを)後付けする時には不利に働きます。

それから基礎の立ち上がりと土台の下に、今、多いのは基礎パッキング工法といって、2cmぐらいの隙間を開けます。そこの土台と基礎の2cmの隙間に、空気が循環して床下がカラッとなるような、そういう工法が結構あります。そうなっていると、間仕切りの部分にも多少とも空気の行き来がある、そんなにすごくないけど、ないよりは全然マシという感じです。だから、基礎パッキング工法じゃなくて、外周に開口が開いているものだったら、これは潰さないとアカン。潰してしまわないと、床下エアコンは全然機能しません。この辺りを見て総合的に、やれるかな? という判定になります。

例で言ってきましょう。まず床下に潜ってもらって、基礎断熱だったらOKですよね。でも床断熱かつ、さっきみたいに喚気するための基礎換気口がついてたら、それは潰してもらわなアカンし、基礎断熱でなかったら、床断熱なので、基礎の立ち上がりに、外周のところに L型にグルっと、まずはウレタンを 最低でも60~70mm、もっとかな 80mmとか、10cm近く吹いてもらう方が、安心かもしれないです。そして、暖房を効かせたいところは、1階の床に断熱材が入ってると思うので、これを撤去します。撤去だから断熱材が大概、例えばグラスウールだったら、グニャグニャになるし、プラスチック系でも割って出せるから外せないことはないと思います。それをやっています。

その上で、サーキュレーター用の電源を増設します。例えば床下エアコンを設置するとなったら、エアコンは風を出していくだけなんで、サーキュレーターを置いて暖気を促進します。それをやった上で、暖気が回る前提で、よく回ってきそうな、例えば窓際とかキッチンとか寒い所が多いと思うので、こういう所の床に、床ガラリという暖気が上がりやすい所を作っていきます。

ここまで言うと、結論がわかっていただけたかと思います。結論は、かなり条件が揃わないと難しいし、コストもかかります。こういう事がいろいろ重なってクリアできるところは、つけられないことはないけど、どれぐらい効くかに関しては限定的なので、過度な期待はしないでね、ということが一般的なお答えになります。かなり条件が揃わないと難しいです。そうすると、みんながっかりして、うちの家では使えないんですね、ってがっかりされるんですけど、最後に付け加えておきますけど、いやいや、がっかりしないでください。みなさんは、床下エアコンが欲しいと言うけど、実は床下エアコンが欲しいわけじゃないですよね。

要は足元が冷たくない、温かい家が欲しいんでしょう。床下エアコンはあくまで目的じゃなくて方法だから、床下エアコンは難しいけど、あなたの目的をある程度叶える方法があります、というのを最後に付け加えておきます。それは何かというと、「床断熱を強化しろ」ということです。当たり前すぎる話なんです。床断熱は特別気合が入ってない限りは、僕が住んでる5~6地域くらいの所だったら、グラスウールで10cmぐらいのものとか、スタイロフォームで60mmとか、ネオマフォーム50mmとか、そんなのを入れているところが多いと思うんですけど、これをグラスウール換算で15cmぐらいにしたらいいと思ってます。

手っ取り早いのはグラスウールを引き込んで、タッカーで止めて、胴縁みたいに抑えて下がらないようにして、15cm確保するという方法か、一番気密も取れて、めっちゃ効果が高いのは、潜って発泡ウレタンを吹いてもらうことです。これは体が入っていけば、極端に言えば狭いところでも、人通口から入ってくれるんだったら吹けないことはないです。5~6地域限定の話になりますけど、150mmぐらい床の厚みが取れると、僕の経験ではかなり住み手の方の満足感が高まります。

冬になったらどうも足元が冷たく感じると寒がりの奥さんが言っていたのが、それをやったら、気がついたら、あんまり寒いと思わなくなったわ、冷たく感じなくなったわ、とおっしゃるケースが多いです。もちろん人の感覚なので、僕みたいな暑がりの男が言うと説得力が薄いかもしれませんけど、そうだと思います。

床下エアコンを後付けできないのががっかりだと言われるんだったら、潜って(断熱を)150mmにしたら、あなたの欲しい結果・目的は達成されるということを頭に置いていただいて、がっかりせずに、そんな感じで家族のために断熱強化されたらどうでしょうか?

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