坪単価の意味を正しく理解する
今日のテーマは坪単価についてです。
実は若いお客様から「恥ずかしいんですが坪単価という意味がよくわからなくて。どういう意味なんですか?」という質問を受けたんです。
別に恥ずかしいことではありません。「坪単価」という言葉を使っている人の中にも本当の意味がよくわかっていないケースもあります。ですので今日は、おさらいという意味も含めて解説をしてみたいと思います。
僕のスケッチを見てください。
坪単価の定義は「家のコスト(値段)÷面積」になります。いわゆる単位面積当たりの値段、これが坪単価あるいは単価という意味になります。
坪単価と言うぐらいなので面積の単位は“坪”になります。
みなさん坪ってわかりますか?
坪の定義については意外と答えられない方もいらっしゃいますので、ここで復習しておきますね。
例えば一般的な面積単位に平方メートルというのがあります。㎡と書くものですね。漢字で書いたら平たい米と書くので平米という言い方をする時もあります。簡単に言うと1m真四角の広さ。これを1㎡とか1平米と言います。
これに対して1坪というのは畳2枚分になります。 でも畳も中京間・京間・団地間とか、いろいろあって畳自体に寸法の差があります。なので、いま挙げた畳2枚の定義をしておくと一辺が1.82mになります。これが大体1坪です。
なので面積は1.82×1.82=3.3124㎡でになります。丸めて3.3平米と言う人もいますが、厳密には3.3124です。
平方メートル・何平米という形で聞かれた場合、簡単に正確な坪数を出す計算方法もお伝えしておきます。
公式は「平米(㎡)×0.3025 」。0.3025を乗じたら正確な坪数が出ます。
なのでこれを知っておいていただいて、自分の欲しい家の正確な坪数を値段で割れば、あなたの家の坪単価がわかります。
そうなってくると次に知りたいのは、家の相場かと思います。
今回質問をされた若い方は、家の相場も知りたくて坪単価について詳しく聞きたくなったのだと思います。
家の相場には幅があります。
一般的には高いお家の代名詞は大手ハウスメーカーさんの手掛ける家です。
大手ハウスメーカーさんだと坪当たり80万円〜100万円ぐらいかなと思います。坪単価100万円だとして30坪の家を建てるなら3,000万円となります。この値段は税抜価格です。
消費税というのは変化しますよね。今(2021年)は、先程の金額に1.1倍したものが税込の坪単価になります。
家づくりを検討する際に「○○会社さんは坪単価いくらなんですか?」と聞く場合、税込か税抜かまで聞くようにしてください。10%も違うので注意が必要です。
世間でローコスト住宅と言われているものは坪単価40万円〜60万円ぐらいであることが多いです。60万円をローコストかと言うと微妙かもしれませんが、それぐらいの幅があります。
僕たちのような工務店も幅があります。坪単価50万円〜80万円ぐらいというのが多いかな。坪100万円という工務店もあります。
こういう相場観を知っていただいたうえで、先程の定義に戻ります。
家の面積が分かって、ざっくりとした相場観もわかったけれど、そもそも家の値段って一体何をもって言うのかに関しては、まだわかりにくいという人もいらっしゃると思います。
ハウスメーカーの若い営業マンなども、よくわかってないことがあります。
スケッチを見てください。こんな感じで一軒の家があったら、これにはいろんなものがついてきます。
代表的なところで言うと、まず「本体価格」と言われてるものがあります。建物の屋根、基礎、構造体・壁・床・建具に、トイレやバスルームユニット・キッチンのような水回り、あとは収納に窓も入っています。
これを見るとわかりますが、家を建てるには他にも最低で5つぐらいの要素が必要です。
1つが事前の調査費用。地盤調査とか法律の役調(役所調査)とか言うこともあります。これが本体価格に入ってるケースと入ってないケースがあります。
会社によっては設計費用も必要になります。(ハウスメーカーや工務店の場合だと既に入ってるケースもあります。)
それから許認可の申請も費用が必要になります。確認申請とか何条申請みたいな感じですね。
瑕疵担保保証(かしたんぽほしょう)と言って、そういう保証の保険料というのもあります。
あとは家を作る時って産業廃棄物が出るんですね。これも別に設定している会社もあれば、本体価格の中に入れている会社もあります。
もっと言うと、その家に住むには、家だけじゃ住めないですよね。カーテンとか照明、エアコンのような空調機器も必要です。これが本体価格にあるのか、それとも別で設定しているのかを確認する必要もあります。
また、これから新しい家を建てる土地に、古いお家がある場合とか何か既存の構築物がある場合は解体費用が必要です。
事前調査で地盤が緩いことがわかれば、地盤改良とか杭とか、地盤補強が必要になるケースもあります。
一般的な水道・電気の屋外給排水工事などを行う付帯工事もあります。先程出てきた空調を付帯工事と呼ぶ場合もあります。ガス管・水道管・電気などの各種の引き込みも付帯工事になります。
昔は田んぼ・畑だった場所を造成した場合だと、水道のメーターがなかったりします。水道を引き込んでいない、ということになるので、この場合は付帯工事に結構大きな費用が掛かります。
それと合わせて外構工事もあります。場合によっては家を建てる前に造成と言って、コンクリートの擁壁で土留めすることもあります。
最近は植栽もDIYすることがありますが、シンボルツリーなどは業者さんにお任せすることがありますので、この植栽の費用もありますよね。
ここで坪単価の話に戻ると、坪単価の定義は「家の値段÷家の面積」でした。この家の値段がどの部分を指しているのかが、住宅会社さんによって違います。
今挙げたようなものを全部込みで考えて“坪単価”というケースもあれば、「ウチはここだけです」という前提で計算しているケースもあります。ちなみに後者のほうが多いです。家本体の価格だけとか、家本体の価格+5つの要素とかですね。なので、気を付けないと金額が大きく変わってきます。
坪単価を聞いても付帯工事が含まれていなければ、その家には住めないです。実際の目安を求めるなら、坪単価×坪数+付帯工事費用を確認する必要があります。
なので、これから家を建てる方は住宅会社さんに「どこの区分をもった坪単価なんですか?」ということをよく聞いてください。「坪単価いくらぐらいですか?」と聞いても全く参考にならないときがあるので注意してください。
ちなみに地盤補強はロット100万円ぐらいします。解体工事も今日び厳しいので150万円掛かるケースもありますし、付帯工事も会社さんによりますが、なんだかんだで70万円〜150万円ぐらいかかると思います。外構に至っては100万円〜250万円とかです。
「家の値段いくらです」とサラッと言われることがありますが、どこのことを言ってるかをしっかり確認してください。
その上で面積にも定義があるということを付け加えておきます。
今日は「面積」って何度も出てきました。僕らが言う「面積」というのは床面積を指すことが多いです。
面積というと、床面積のほかに建築面積などもあります。
例えば1階部分に玄関ポーチがあったり、テラスがある家もありますよね。この場合、もしポーチに柱が立ってたら、建築面積には入りますが床面積では省かれます。床面積というのは建築面積に比べたら小さくなる傾向があるんですね。
対象面積に大小があったら坪単価は狂ってしまいます。もっと言うと2階建ての家で、大きな吹き抜けを作ったら、吹き抜け部分は床面積から除外されます。でも吹き抜けというのはタダでできるわけじゃないです。クロスを張るために足場を組みます。意外とお金がかかるのに、これを除外されてしまって床面積で考えたら割高に聞こえてしまいます。
それで発明された言葉があります。法律に基づく言葉ではないのですが「施工床面積」というものがあります。
施工床面積というのは、この吹き抜け部分も面積に算入します。玄関ポーチやテラス、ベランダを含める会社さんもあります。
これを適用すると、施工床面積は大きくなる傾向がありますから、お客様に施工床面積で坪単価を告知するというルールの住宅会社さんは割安に聞こえます。
律儀な工務店さんで「床面積で言わなアカン。ベランダも吹き抜けも関係ないやろ」という場合は割高になります。すぐに数万円変わってしまいます。
例えばA社とB社で坪単価は1万円しか違わなくても、40坪の家だったら合計40万円も変わりますよね。こういったところで混乱することもありますから、坪単価は正しく理解しておいたほうがいいです。
家づくりを考えはじめの頃は「どこの会社ぐらいの家を建てたらいいのかな?」と迷ってしまうはずです。坪単価について正しく理解できてないと後々困ってしまいますので、しっかりと頭に置いていただいたらと思います。
坪単価の内容は本当に基本の基本の話になります。何回も聞いた人もいらっしゃると思います。でも、いつの時代も「初めて家づくりに取り組みます」という方は多いです。その方のために、ということで、お許し願えたらと思います。