店舗併用住宅を考える時に注意したいポイント
今日はですね、あるお客様から店舗併用の住宅を考えているんだけど、それをやるにあたって何か基本的なことでいいのだけど、注意したほうがいい点ってないかな、教えてほしいなみたいな問いかけがあったんです。なので今日は、店舗併用住宅についてのごく基礎的なことですけど、私が感じることを解説していきたいと思います。
店舗併用住宅って、僕にとっては子供のころの原体験で、自分の家が昔工務店をやってて、工務店の事務所が家と隣接してたんです。だからそういうことの良し悪しというのが工務店の事務所なんですけど、体感してるところもあって、そんなことも頭に描きながらいろんな考えを巡らせてみたんです。いつものように僕の板書を見てもらえたらと思うんですけど。
まず店舗併用住宅をやるにあたって何がメリットなのかなと言ったら、カッコよく言うと自己実現ができるというやつです。だからうちの父親も兄貴と一緒に工務店をやってある程度その工務店が大きくなった中で、お兄さんの方が社長さんだったんで専務ということで、でも俺も社長になっていきたいということで自宅の前に事務所を構えて独立するみたいな形で始めたんです。だから父はそういう風になりたかった一国一城の主になりたかった。ベタで言うとそんな感じだったんですかね。
なのであるいは自分の生きてる中で仕事を含めてこだわりがあるじゃないですか。やりたいこと・テーマというのがこういうものをビジネスの中で展開できるってことは僕も思うんですけど、仕事以上に面白いものはあまりないと思うんで素晴らしい自己実現ですよね。場合によってはパートナー自分の奥さんがカフェをやりたいとか、美容師さんみたいな感じで美容室をやりたいとか、最近でしたらエステとかネイルサロンとか、そういうものを叶えていくためにいいよねというのがあるじゃないですか。
その中でビジネスを考えた時に、店を構える場合に一番考えるのは家賃です。家賃が結構高いからなかなか大変だと聞くと、自宅兼用なので家賃がかからないと言ったら言い過ぎかもしれませんけど、わりと緩和できるというか、そういうのがありますよね。
個人事業ということになると、生きていくために使う支出の中で経費・事業として認めてもらえるものもありますから、そういう意味で言うと節税にもなります。それと職場と家庭が隣接しますから、家族との時間を作りやすいというようなこともあります。
その反対でデメリットで言うと、工務店を父がやってたんで忙しかったんです。そうすると業者さんから電話があったり、お客さんから問い合わせがあったり、苦情があったりとかして、うちの父親は24時間働いているような感じだったから、家族との時間が増えたのかというと、業態によってはデメリットになる場合もあるかもしれないです。
僕は今は職場と自宅とで分けてるのは、24時間ずっと対応せなアカンというのが若い頃に辛い時があって、やっぱり分けないと自分の家族が大変だという気持ちがあったんです。もっとデメリットというと、個人事業をやる時に仕事に行き詰まって辞めたりとかいろんな他の判断があって畳むということもあるじゃないですか。その時にリスクがあると思います。
例えば自分は個人事業を撤退するけど、空いたスペースを誰かに借りてもらおうと言っても、住宅ローンを完済していないとそういうテナントとして貸すというのも厳密に言ったらできないですよね。内緒だったらできるのかな、ちょっとわからないですけど、ほぼ無理だと思います。
さっき繰り返し言いましたけど、公私の区別が曖昧になって24時間対応みたいな、昔の栄養ドリンクの宣伝で「24時間戦えますか?」みたいなのがあったんですけど、そんなようなこともデメリットかなと思います。
あと併用住宅を考える時に、似た言葉に兼用住宅って言葉があるんです。なんじゃそらってみんな思うと思いますけど、店舗兼用住宅と店舗併用住宅とで違いがあるんです。何かと言うと兼用は中で行き来ができる。だからしばらく当番しておけとか言われて、家からチョコチョコと行って、僕の友だちで喫茶店をやっていた家では喫茶店の当番をさせられたとか、お父さんにトーストを焼かされたとか言ってる子がいましたけど、これが兼用住宅です。それと併用というのは中の行き来ができない。基本的に分離がされている区分がちゃんとあるというのが兼用住宅と言われています。
兼用住宅には1つメリットがあって、建物を建てるときに用途地域というものの縛りがあるんですけど、用途地域の中で第一種低層住居専用地域みたいに良好な住環境のための用途地域のところで、「ここでちょっと商売は(できない)」というようなことでやったらアカンということが緩和されるというケースがあります。
よく都会とかに行ったら、街角カフェみたいなのをやったりしてるとか、あるじゃないですか。ちょっとした小物を売るみたいな、そういうことができるので、兼用はやり方としては良いというケースもあるんです。
あと、住宅部分と店舗部分があった時に、床面積の全体の50%以下を店舗にしておかないと、住宅ローンが店舗部分に適用されないってことがあります。だから住宅ローン+事業ローンというので併用してやる、事業ローンで分けても別にええやんという人はいいんですけど、事業ローンは金利が高いから、トータルでコストダウンを考えるんだったら50%を超えないように店舗を上手に考えるのは頭に置いとかなアカンでしょうね。
店舗部分の面積が50m²を超えると、建築基準法上も消防法とか消火器を置けとか避難などの掲示を出せとかみたいな感じで縛りがきつくなるということもあるので、コストにもひるがえって関わることでもあるので、ここは注意が必要かなと思います。
あと、店舗を兼用・併用する時の考えとしては、これは1つの例ですけど、店舗があって寝室があってリビングがある組み合わせ。そうすると夜にやってる店はアカンですよ。夜は閉店するという店だったら寝室は夜に使うものだから、これを咬ましておいたら店のいろんな音とかがリビングに聞こえないから、自宅部分が静かでいいなみたいなことがあります。2階建てだったら店舗の1階に持ってきて寝室とかに水周りを持ってきて上にリビングみたいなことも1つのやり方です。
それと、店舗として税理士さん・司法書士さん・行政書士さんなんかで店舗兼用・併用の住宅で事業されてる方が結構いますけど、ここの場合は1階なのか縦なのかわかりませんけど、区分をして個人情報なんかを扱われる士業だったら、いくら家族といえども誰でも彼でも子どもが気軽に入れる子どもの友達も下手したら入れるみたいなのはよくないから、セキュリティの問題で分けるということでゾーンを考えるというのも忘れてはならないポイントかなと思ったりします。
あとは、店舗併用住宅をやる時にはインフラ問題があります。例えば、光回線の整備や電力供給の確保など、店舗運営に必要なインフラの整備が必要です。特に、インターネットや電子決済などのネットワーク環境は重要ですので、その辺りも考慮して計画を立てる必要があります。
以上が、店舗併用住宅に関するいくつかのポイントや考慮すべき事項です。個々の事例や地域によっても異なる要素があるため、具体的な計画や相談を行う際には、専門家や関係機関に相談することが重要です。
要は水道・電気・ガスみたいなものを一緒にやるのか、あるいは小メーターをつけるのかとか、全然別に引き込むかとかいうようなことがあります。分けておけば一番くっきりはするんですけど、将来誰かに貸すときも非常にやりやすいんですけど、イニシャルコストが必要なので基本料金もダブルだったりしますから、そういう面では考えどころだと思います。
これはいらんお節介ですけど、何と言っても店舗をやる時の最大のポイントというのは、たまたまある土地にやるってこともあるとは思うんですけど、出店ということに鑑みたらやる業種の立地というのは非常に重要です。僕が意外だなと思ったのは、エステサロンと言うんですかね、個人でやられる友人の方がいらっしゃって、雑居ビルみたいなところでやって結構評判がよくて、結局儲かったんですかね。ご自宅に店舗併用住宅を建てられて広い道路に面した立地なんですけど、1〜2ヶ月で辞めちゃいました。何でかと言ったら、お客さんがバッタリ来なくなったから。そうすると、商売って目立つからいいというんじゃなくて、お客さんが主婦の方がお昼間にエステに行ったりするのをどこどこの奥さんが車停めてるわみたいな見られたら嫌というような側面もあるかもしれないので、そういうところも考えた上での立地戦略、マーケティングというところは、僕は建築屋だから口出しすることじゃないかもしれませんけど、非常に大事なポイントじゃないかなと思います。
当然デザインはまさに店舗といった住宅には似つかわしくないようなデコレーションをやってジャングルみたいな外観にして周知を集めて中に入ったら驚きがあるみたいな店舗という時もありますから、それと自宅との折り合いをどうつけるかの問題もあるじゃないですか。だからここも考えどころではないかなと思います。
最後に、店舗併用住宅を今のお客さんには気にして言ってるから(あまりないですけど)、以前にやった方でよく思うのは、店舗の部分の断熱・気密をケチるコストダウンのためにというケースがありました。そうすると、個人事業をやられてる方というと空調って当たり前ですけど、快適なところじゃないとお客さんは来てくれないからしっかり電気代がかかるってことになると、空調費を上手にコントロールするためのイニシャルコストのかけ方というのも、長い商売の道の中でいうと必要かなと思ったりしますので、ここは注意してもらえたらと思います。
非常にさっくりとした話で小ネタだったんですけど、そんなことを思いながら店舗併用住宅の最初の一歩を進んでいただいたらどうでしょうか。こんな感じで、なんだかんだいつも家づくりについてだったりその側面のことをお話してますので、よかったらチャンネル登録をしてみてください。