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「涼しい2階」をつくる決め手の話

今回は「涼しい2階」を作る決め手について解説します。

最近はすごく暑いですね。この前、高校生くらいのお子さんがいらっしゃるお施主さんに「うちの家は2階がめちゃくちゃ暑いんです。2階を絶対に涼しくしてください」という、青年の叫びみたいなことを言われました。涼しい家をどう実現するかというのはみんな考えると思いますが、今日は特に暑くなりやすい2階をどうやって涼しくするかという決め手について、解説をしていきたいと思います。

涼しい2階を作るというと、エアコンをつけるという方法もあると思いますが、もっと根本的な話が大きく2つあると思います。1つ目が、動いていく太陽をどう捉えるかという話です。

今回は、辻先生の著作の中にあるわかりやすい絵から借用しています。太陽は時期によって動き方が全然違います。例えば夏至の太陽の動きは、東から30度ぐらい北寄りの角度から上がってきて、1日で上がって南を通り、西から30度北寄りぐらいで沈みます。

一方、秋や春は中間的な軌道を描きますが、太陽がほしい冬は、太陽の活動角度が減ります。特に2階は太陽の影響を受けやすいので、夏のことだけを考えるのではなく、冬のことも考えてほしいです。冬の西日の太陽角から考えると、南寄りに窓が開いていないと効きません。太陽は遠くから平行に当たるから少しは当たりますが、より冬の効果を得るには北側にあっても意味がありません。それを期待してつける人もいらっしゃいますが、夏は地獄になります。

それから、夏の朝は放射冷却になるので若干涼しい感じはしますが、太陽が顔を出すと一気に暑くなります。そういうことを考えると、東の朝日が当たる部屋は、夏の2階では暑さが厳しいです。今回は「西日をどうさばくか」という言葉で集約していますが、夏の太陽の周りから考えて、冬のことも踏まえて、西日・朝日とどう付き合うかを考えておかないと、涼しい家にはならないし、涼しい2階にもならないと思います。

私のおすすめは、東西に落葉樹を植えることです。木は南に植える印象がありますが、東西に落葉樹があると、夏場は茂って日陰を作ってくれますし、冬場は適度に枯葉が落ちて日を当ててくれます。家に付随するものとしては、日よけのシェードや落葉樹を頭に置いておいてください。

涼しい2階を作るための根本の2つ目は、断熱のバランスです。今は断熱等級5以上、できたら断熱等級7(HEAT20のG3)の高性能の家であれば、それなりの仕様になっています。G3の家が多く出てきて「すごいなぁ」と思って見ると、10cmぐらいの充填断熱にさらに10cmの付加断熱をしていて、お金も手間もかかっているなと思います。でもその家をよく見たら、屋根の断熱が厚くないんです。この屋根が夏は強烈なんです。特に2階の部屋は屋根の直下なので、もっとも影響を受けます。

例えば外気温35℃ぐらいの時に、空調を入れて室内(1階)で27℃ぐらいの設定にしていると、室内外の温度差は8℃ぐらいです。でも2階に関しては、27℃に空調を保とうとすると、屋根の表面温度は真夏は70〜80℃以上あると言われているので、温度差30℃〜50℃をしのぐ断熱が必要です。

なのに、UA値を上げなきゃいけないから壁にはすごく気持ちが入っているけど、屋根にはあまり入っていない家を見ます。もちろん断熱等級7やG3は良いのですが、その前に屋根の断熱が十分かどうかは、よくチェックした方がいいと思います。

私たちは昔から、グラスウールやセルロースファイバーのような熱抵抗値の高い素材であれば、厚さは最低20cmぐらいで作っておいてくださいとお願いしています。でも昨今はすごく暑くて、6月でも30℃を超えるところや35℃を超えてるところもありますよね。なので最近の屋根断熱は、25cmぐらいあった方がいいかなと思っています。コストのこともありますが、5cm上げるぐらいでは極端に金額も上がらないので、これからのことを考えると重要だと思います。

その上で1つ余談です。屋根材の色も重要です。ケイミューさんという大きな建材メーカーが調べたことですが、「コロニアル」というスレート瓦のお家で、黒色の家と白色の家の比較実験をやったところ、表面温度が19℃違ったそうです。19℃はすごくないですか? 瓦の裏側で測定しても、12℃は差があるようです。最近は黒い外壁が好きな人もいますが、白っぽいものを選ばれることも重要だと思います。

また、屋根の断熱の上には屋根垂木が載っていることが多いです。この空間を利用しながら断熱と野地板の間の換気促進をすることや、野地板と屋根材の間の換気促進・通気促進も大切です。少なくとも屋根垂木と断熱材の間は20mm以上、野地板と屋根の間も15mmくらいあると、とてもいいと思います。

屋根は色を白っぽくして、通気層をしっかりとって屋根換気をすることで、屋根の耐久性も高まるし、断熱性能も飛躍的に高まっていきます。こういうところで涼しい2階を得れば、1階はもっと涼しくなります。絶対損はしませんので、こんなことも視点において、暮らしやすい涼しい家を勝ち取っていただけたらと思います。

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