住まいの基本:結露を抑える方法
12月になると寒さがつのりますよね。
こういう時期になるとお客様の口からよく聞くのが「結露が嫌です」「何とかできないですかね?」というご相談です。今回は誰しもが嫌う結露対策の基本を解説していきます。
さて対策するためには当たり前ですが、まずは結露のメカニズムを最初に知っておいていただいた方が良いと思います。なんで結露が起きるかというと、空気中にある程度の温かい水蒸気が冷たい物質にぶつかった時に起こる現象です。その時の空気が持っている飽和水蒸気量、つまり空気の中に空気1㎥あたり何gを水蒸気として保持できるかというのがあります。
これを飽和水蒸気量と言いますが、温度によってこれはバラつきがあります。温度が高くなると多くなるし、低くなると小さくなるという形で、空気によって抱えられる水の量は決まってきます。この限界値を超えた時に、水蒸気から水に置き換わるのが結露だと言われています。
いわゆる飽和水蒸気量は、各温度で目一杯水蒸気を持てるという指標を曲線で表すことができます。例えば20℃の暖房が掛かった部屋なら、相対湿度60%は良い状態です。これが例えば窓のガラスの表面温度が12℃を下回ると、窓ガラスは結露するという具合です。
例えば壁や押し入れの隅っこ、冷蔵庫の裏などが結露していることってありますよね。あれはそこの壁の表面温度が12℃を下回ってるということです。そもそも壁の温度が12℃なので、その部屋は寒いですよね。だから余計に頑張って暖房するので、余計に結露するわけです。ましてやそれが石油ストーブなら、同時に水蒸気も吐き出しているので結露を助長します。
つまり結露をさせないでおこうと思ったら、ガラス面・壁・床とかの表面温度を自分が欲しい温度の露点温度より上げておけば論理上は結露しません。たった0.5℃でもしません。あるいは、60%以下の湿度を求めずに、30%・40%のちょっと乾燥気味なら結露をしないところまで露点が下がります。
ただ結露は嫌だけど、過乾燥も嫌ですよね。結露は全然してないけどお肌はバリバリとか、例えばアレルギー性のある子どもさんが咳でコンコン言ってるのは嫌じゃないですか。ここの問題の難しさは、どこでバランスを取るかというところです。
ましてや結露に関しては、カビやダニ、腐りなどを助長していきますので、人間が不快になるだけではなく腐朽菌も繁殖しやすい条件になっているということです。なので木が腐ったりするわけです。なのでバランスをどうやって取っていくかということは大きい問題になると思います。
前置きで理屈ばかり言っても仕方ないので、具体的な場所ごとに結露を抑える工夫というのをざっと列記しておくと、まず1番は窓の強化です。最近はDIYでプラダンを使った簡易2重窓を作る方法もあります。窓はアルミが多いですが、これを樹脂サッシにして、ペアガラスやトリプルガラスにされるとグッと良くなります。
手軽なところでは、外部の雨戸を閉めておく。日中は太陽の光が当たるので、ガラス面はそんなに温度が下がりませんから、日没した時に雨戸・シャッターを閉めておくのはとっても有効です。
それからカーテンも有効ですが、カーテンを閉めても結露はします。カーテンの脇から風が入りますからね。なのでハニカムシェードのよに窓枠にパコッとはめてもらうと断熱効果が高くなります。僕の経験で言うと、ペアガラスがトリプル並みの性能にはなりますね。
そして最後は、表面材を温度が下がらない材料にするということです。例えば木を張るとか、4mmのベニヤを張るだけでもだいぶ違うと思います。そういうことをすると表面材の温度が下がりにくいです。例えば床でも、一般的にカラーフロアと言われてるようなウレタンが塗ってあるものは、表面温度が下がりやすいです。それを無垢のオイル系で納めたようなものだったら、表面温度が下がらないので結露には有効です。
それから家具の後ろや押入れ、クローゼットなども扉を開けたり隙間を開けておくだけでも有効です。もっといいのは、小さなファンとかサーキュレーターを回して家中の空気を攪拌することです。空気が動いてると結露はしにくいですからね。
それから最近よく聞くのは玄関の結露です。緊急避難的措置で外側に後付けで断熱材を張るのも結構効きます。もちろん、水切りなど上手に加工してもらうように工務店さんに相談してください。それもしんどいときは、苦肉の策ですが玄関を風除室化するという方法があります。
このように結露を防ぐ効果は色々あるので、覚えておいていただければと思います。