どこに設置すればいい?室内干しを考える
今回は室内干しをどこに設置すればいいかについて解説します。
今年は遅くなりましたけど、梅雨入りしましたね。梅雨入りするといつも気になるのが、室内干しはどこに設置したらいいのかということだと思います。そして、そういう質問をよく受けます。今日は、室内干しは家の中でどんな風に設置したらいいかということをテーマに解説していきたいと思います。
まず私は、部屋干しするなら普通はどう答えるのかをネットで検索してみました。すると上位に「おすすめ場所が3つある」という記事が出てきました。生活者はどんな視点で考えるのか、興味を持って見てみると、1つ目におすすめしていたのが浴室・洗面所・脱衣室でした。「もともと湿気が多いところなので干しても気にならない」「洗濯機が近いから楽」「浴室には乾燥機もついているから」という意見でした。なるほど、と思いました。
2つ目におすすめしていたのが寝室です。寝室!?とびっくりしました。記事によると「部屋干しする部屋に来客があったら嫌」「家族がいる部屋だから嫌」という理由で、日中人目がつかないところは寝室だからという、消去法みたいなアイデアでした。
しかし、夏場に自分のベッドのある部屋で干されると、ただでさえ湿っぽい布団が余計湿っぽくなる気もします。この記事では「冬場は夜間に干していると部屋が乾燥しない」「加湿器の代わりになるから省エネになる」と書かれていました。でも夏はダメでしょと思いました。
3つ目におすすめしていていたのが、リビングの真ん中です。リビングの真ん中に干すなんて、びっくりしませんか?しかしこれには前提がありました。「人目を気にしないなら、リビングの真ん中もおすすめ」「リビングだから人通りが多いので、空気が動くから意外と乾く」というもので、結構強引ですごい理屈だなと思いました。特に「リビングでも天井の高いところに置いておけば邪魔になりにくい」というのは、大胆な意見だなと思いました。
私は、これらをみなさんに勧めたいわけではありません。私がプロとして、改めて特に新築や大きなリノベーションで間仕切り変更などをするときに、部屋干しするのはどこが良いかを考えた時に、一番端的に思うのは、独立型の室内干しスペースです。
お風呂場があってユーティリティ・洗濯機があって、その横に連続して、室内干しのための一坪ぐらいの空間があれば、かなり干せます。メーカーさんは、折り畳んだり広げたりできて、いっぱい干せて、風も通ってよく乾く商品を開発してくれています。ああいうのを置いても良いし、部屋の上に物干しの金物をつけてかけてもいいです。
特に一番贅沢なのは、南側の面に1間ぐらいの物干しスペースを作ることです。これならよく乾きます。
実際に、過去にこういう間取りのお家を作らせていただいたことがあります。共働きで2人でがっつり働くので、とにかく洗濯のストレスを軽減したい、いろんな仕事が立て込んで遅れて帰っても、急な雨なども気にしないために、ぜひほしいということでした。これを作れるなら一番良いと思います。
もう1つ多いのが、2階の吹き抜け空間に洗濯物・布団を干すことです。私たちは、パッシブ設計で特に市街地で立て込んだところに家を建てるときに、2階の吹き抜け空間から1階に彩光を取ります。全館空調とも相性が良いのでおすすめしています。この吹き抜け空間を使う方法です。
最近は花粉症の人も多いので、普通の洗濯物も室内に干されることが増えています。吹き抜けには日が入りますから、ここでも十分乾きます。夏場でも、湿気が上の方で乾いていく感じです。全館空調をやってる時はエアコンの風がそこに当たるので、結構乾きます。逆に、冬場にここに干したら、加湿になっていいそうです。私の友人の小暮さんはこれを得意としていて、お客様にすごく喜ばれているそうです。
もう1つが吹き抜け空間の変則版で、2階の廊下の上のスペースです。2階の廊下は大概階段に近いんです。階段を上がってきたところが広めの廊下なら、階段空間の上は吹き抜け空間になりますよね。階段室の上は天井高いじゃないですか。あそこの空間に物干し金物をつけて干すんです。廊下から干せるし、上げておけばあんまり当たらないのでいいと思います。このように、廊下をただ通るだけの空間にせず、階段室を利用した吹き抜け空間物干しのようにするのがおすすめです。そして廊下に漫画本を並べて、漫画図書館を作っても素敵だと思います。
もちろん物干しは、浴室・洗面所・脱衣場付近につけるのが王道だと思います。ユーティリティは天井高を取らないイメージがありますが、作りによっては下屋部分になっていたり、平屋の建物の上の空間に勾配部分があって吹き抜けが取れることもあります。そういうところでは、洗濯室の中に「ホシ姫サマ」という竿や、電動の物干しでジャバラみたいに畳めるようなものがおすすめです。
また、古くはサザエさんの玄関先に、物干し台があったのを知りませんか?昔は刺股みたいなものがあって、目の前にも干すけど、一段高いところにも刺股で上手に干せたりもしました。室内に刺股で引っ掛ける物干し竿と、片腕を出した物干し竿をかけるものを作ったら、面白いですよね。
私が1つ思うのは、記事では「ユーティリティはもともと湿気が多いところだから湿気は気にならない」と言っていますが、やはり湿気は嫌です。風呂上がりにタオルで拭いても体がすっきりしないこともありますよね。なのでサーキュレーターや、セパレート型の除湿器を置いて、風を当てながら乾かすのがいいと思います。お金に余裕があればエアコンをつける人もいるし、カライエみたいな湿気だけ取るものをつける人もいます。
ユーティリティの大きさは1坪とか1坪半が多い中で、そこに洗濯物がいっぱい下がっていても嫌ですよね。歯も磨きたいし、手も洗いたいし、そこで洗濯物を干したくない中では、上部空間を吹き抜けで使うと良いと思います。こういう視点を持ってもらうと、部屋干しのバリエーションが変わると思います。こういうことを思って、家・リノベの設計をしてもらうといいと思います。
実は、このアイデアに関しては、今建築中のほぼ平屋のモデルハウスで、私が展開してみようと思っています。今年の夏過ぎぐらいにオープンとなると思います。もし最寄りの方で、森下のモデルハウスの空調の効きや、室内干しの空間はどんな感じ?という興味があったら、来てみてください。
まとめると、室内干しの空間は、こまめに換気をしたり、エアコンの除湿モードを上手に使ったり、サーキュレーターを使うことが大事です。速く乾くし、すっきりしやすいです。
また、先ほども言いましたが、脱衣場も吹き抜け空間も湿気が溜まりやすいですけど、近くにエアコンを持ってくるといいと思います。エアコンのリターンは除湿して空気を出すので、どんどん家全体を除湿してくれます。湿度を下げる方向で室内干しをやるといいと思います。
独立型の室内干しを南に持ってこれたら、太陽の光だけで乾くのでいいのですが、南は居室にしたい方が多いです。物干しスペースを北側・西側・東側に持ってくる場合は、こんな風に考えてもらうのも1つのやり方だと思います。ぜひ参考にしてみてください。