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50代・60代必見! セカンドライフを楽しむ家づくりの前提

私も60代に入りまして、最近、自分の周辺でも「定年を過ぎた」とか、「セカンドライフ」「第二の人生」という話題をよく耳にするようになりました。いわゆるセカンドライフを楽しむ、良いものにするという家づくりについてお話ししたいんですけども、今日は家づくりそのものというより、その前提になることを少し確認しておいたほうがいいんじゃないかということで、お話しさせていただきたいと思います。いつものように、僕の板書を見ていただきながら、お話に付き合っていただけたらと思います。

のっけから、不快に思われる女性の方もいらっしゃるかもしれませんが、最近、YouTubeでよく見られている動画があるという話がありまして、それが「ようやく妻が死んでくれた」「ついに自由を手に入れたぞ」というサムネイルから始まる動画なんです。これは松本隆夫さんという男性の動画で、もちろんリタイアされて、今はシニアの一人暮らしをされている男性のつぶやきや日々の生活を綴った内容です。残念ながら奥様はご病気で早くに亡くなられて、その後お一人になった方のつぶやきなんですね。

一見すると「そんなこと言う?」みたいな始まりなんですけど、そこから違うニュアンスの物語、エピソードが展開されていきます。僕もこの動画を拝見させてもらって、いろいろ感じることがありまして、そのことをひとつのきっかけにして、セカンドライフを楽しむ家づくりについて考えてみたいと思ったんです。

まず、セカンドライフの周辺については、いろんな人がいろんなことを言っていますが、僕がいろいろな人の話を紐解いていくと、大体こういうことをおっしゃっていることが多いです。一つのベクトルとして、まず「趣味を味わい尽くす」「趣味に精を出す、楽しむ」といった方向。これまで働いてきた分、これからは趣味に没頭しようという感じですね。それから、「社会に貢献する」という意味で、ボランティア活動をする。これもすごくいいですよね。さらに、「移住」、新しいエリアに移るという方向性。都会に住んでいた人が田舎暮らしを始めたり、日本を離れて海外で暮らす、そういう選択もあります。そして、「旅行を楽しむ」、家にいるよりもいろんなところに出かけようという人もいます。それから最後に、「新しい仕事を始める」という方向もあって、こうしたベクトルがよく挙げられています。

こういうことの延長線上に、「セカンドライフを楽しむ家づくり」もあるんじゃないかなと、そういう話なんです。もちろん、これに対して別に異論があるわけではないんですが、一方で、セカンドライフを楽しむということについて、家づくり以外でも、人生そのものを良くするためのポイントというのが、こんなふうに5つほど挙げられていることが多いんです。

ひとつめは、年を取ったとはいえ人生100年時代ですので、ここから5年後、10年後の自分の目標を立てるということが大事だよ、ということ。企業戦士だった人が喜びそうな感じですが、目標を立てるってことですね。ふたつめは、当たり前ですが、人間関係を大切にしないと人生は豊かにならないよ、ということ。みっつめは、「死ぬまで勉強」ということで、生涯学習を続けていこうということ。四つめ、自分を知る、自分と出会うという意味で、「自分探し」をする。若いころにやったような自分探しではなくて、意外なほど自分のことが分かっていなかったということで、ここからの人生の最後の一節をどうするかというために必要なこと。そして五つめ、年齢的にも体がガタがきますので、病気や体力の衰えに備えるということ。そして一番気になるのは、やはり老後の資金ですね。ここをしっかり蓄えておかないと、セカンドライフは良くならない。これは人生を豊かにするための前提条件だということですね。

いろんなことを言われていますが、内容としてはその通りだと思います。ただ、意外に抽象的な感じがしたり、具体的にどんなことをやればいいのかというのが分かりにくかったり、「分かってはいるんだけどな」という気分になるのかな、と感じたりもします。

そんな中で、冒頭に申し上げた「ようやく妻が死んでくれた」「ついに自由を手に入れたぞ」という動画の話に戻るんですが、僕はこの動画を見て、この男性はすごいことを書いてるなと思いました。最終的には僕、涙しました。きっと奥様がご病気で、看病が大変だったんだと思います。でも、愛する奥様の看病だから、一生懸命されたんだと思うんです。その後、看病という大変な時期を経て、ある意味で荷が降りたというか、「ちゃんと送ってやれたな」という気持ちの中で、松本さんは素直にそう思われたんじゃないかと思います。

「これからはキャバクラにも行くぞ」「奥さんが嫌がってた趣味もやりまくるぞ」「あれもこれもやるぞ、俺は自由だ」って、そうおっしゃったんですけど、いざやろうとすると、松本さんは自分自身がびっくりするぐらい、何もできなかった。愕然とされたそうです。そして、結局奥さんが亡くなったという大きな喪失の中で、「何をしても意味がない」と感じられた、そういう動画だったんです。

その後、松本さんは注目され、いろんなインタビューを受けられて、動画や記事が多数出ていました。僕もその動画を見つけたときに、そういった記事を絡めて見たんですけど、松本さんはいろんな形でいろんなことをおっしゃっていて、僕の心に残った言葉をいくつかご紹介すると、まず「パートナーという存在は、あるのが当たり前の空気みたいなもので、それが失われると本当に苦しい」ということ。そして、「好きなことなんてできなくなるから注意してよ、特に男性に」と。これは女性はちょっと違うみたいです。以前、「60歳のトリセツ」という本を紹介させてもらった中で、旦那さんは定年になったら「嫁さんと新婚時代みたいに戻って、2人でラブラブに」と思っているんですけど、奥さんの方は「目の前にいるだけで目障り」と、ショックなことが書かれていたという紹介をしましたが、それくらい違う。男はその喪失感が本当に大きいと、おっしゃってました。

パートナーというのは、空気のようにあるのが当たり前で、ある時には気づきもしない。でも、空気がなくなったら苦しくなって死んでしまう。何もいらんから空気をくれってなるじゃないですか。それくらいありがたさに気づきにくい存在なんだということを、松本さんはすごく感じられたようです。だから、そういうことを心に留めておいてください、ということです。

それから、パートナーが亡くなる前、生きている間にも、一緒に夫婦で頑張って働いたり生活したりする中で、老後の貯蓄についてすごく考えてこられたそうなんですが、松本さんは「貯めることも大切だけど、それより生涯にわたって稼ぎ続けることが大事なんじゃないか」と気づかれたそうです。昔みたいに生活費をバンバン稼ぐということではないかもしれないけれど、一定の額を稼ぎ続けていくということが、とても大切だと。

そして、「お金のこと」「やりたいこと」「利己的な欲望」、そういったもので心が満たされたり動いたりするかと思っていたけど、実際には心が動くのは、ほとんどが身近な人間関係にまつわることだった。奥様が亡くなられたことで、それを強く感じられたようです。たとえば、車が大好きで「車がなくては人生じゃない」と言っていた僕の友人のような人でも、やはり最後に心を動かすのは、身近な人との人間関係。喜ばせたり、鼓舞したり、悲しませたり、そういうものなんだと。

僕が一番「ほんまにそうやな」と思った松本さんの言葉は、「自分の幸せは未来にあると信じて、明日のために、未来のために働いてきた。でも違った。妻と生きていたあの日々こそが幸せそのものだった。未来じゃなくて、幸せは今だった。だから俺は本当にバカだった」というものでした。これは本当にドーンときました。

この上で、家を楽しんでいく、セカンドライフを送っていく中で、自分自身を楽しませたい、パートナーにも楽しんでもらいたい、パートナーとの生活を充実させたいと考えたとき、松本さんもおっしゃっていたように、「自分が好きなもの」と「パートナーとの思い出」に囲まれて暮らすということが、幸せな晩年につながると思うんです。

そして、ここからが重要なところなんですが、家づくりをしたい、リノベーションしたい、大規模に住まいを変えたいという方が、僕のところにもたくさん相談に来られます。でも、最終的に家づくりが始まらない方というのが、実は8割、9割もいらっしゃるんです。それはどういうことかというと、「不安がある」というんですね。定年後の生計、年金だけでやっていけるのか、老後の生活への不安。だから「こんなにお金をかけていいのか」と、そういうことで、なかなかスタートできない。

それで僕は、今回改めて思いました。もちろんそういう不安は持ちつつ、自分を楽しませる、パートナーと一緒に楽しむということの実現を考える。その中で、お金を失うことへの不安、苦しみ、怖さというものとのバランスをどうとるか。それを考える中で、さきほどセカンドライフを良くするためのポイントを5つほど挙げましたが、たとえば「病気や体力の衰えに備える」という部分の中に、「住まいを整えておく」ということも含まれると思うんです。

僕がよく言っていることですが、寒い家、暑い家、家事にすごく労力がかかる家というのは、セカンドライフを足引っ張る、苦しめる要因になると。だからそれを避ける家づくりを推奨しています。そして、松本さんの話を踏まえると、「身近な人間関係を見つめる」ということもすごく大事。夫婦、親子、友人との関係の中で、相手を大事に思う、尊重するという気持ちと、もうひとつ、ある程度の距離を持つということも、人生を豊かにするためには必要だと思うんです。

たとえば、さっきの「60歳のトリセツ」の話の中で、仲良く暮らしていても、夫婦によってはベタベタと一日中一緒に過ごすパターンと、それぞれのペースで過ごすパターンがあります。もちろんそれは人によってグラデーションがあって、時々ベタベタするけど基本は離れているとか、ずっと一緒にいるとか、いろんな形がありますよね。でも「離れていたほうがお互い楽」とか「気兼ねしないでいられる」っていうのがあるなら、その「距離」ってすごく大事です。それは、家の中での距離なんです。今の住まいが、「ずっと旦那が目の前にいて濡れ落ち葉」みたいに言われる状態になるのではなくて、そうならない家づくりができるということです。

それは特に、松本さんの場合、自分が死んだ後のことを考えるっていうのが大切だなと僕は思いました。僕自身も、勝手に「僕が先に死んで、女房が残る」と思い込んでますけど、分からないですよね。事故だってあるかもしれない。何があるか分からない。その時に、どんな形であれ、残されたパートナーが感じる喪失感を想像してみる、ということも含めて、ちゃんと考えておいた上で、決断をしていく、行動を始めるってことが大事なんじゃないかと、すごく思うんです。

それで、そういった前提を置いた上で、ひとつお金の問題を和らげるための手法というのがあります。今、自分の持ち家がある方であれば、「リースバック」や「リバースモゲージ」というスキームがあります。僕は金融の専門家ではないので、詳しくは「リースバック」とか「リバースモゲージ」と検索してもらえたら、たくさん情報が出てくると思いますけど、簡単に説明すると、リースバックというのは、今自分が住んでいる家を、例えば市場で「10で売れますよ」となった時に、7割ぐらいの価格で買い取ってもらって、7割分のキャッシュを受け取る。これによって、おおむね住宅ローンの残りが消せたり、若干のお金が残ったりするんです。

じゃあ買ってもらったら住むところがなくなるのかと言うと、そうではなくて、その家に住み続けてもらっていいんです。ただし、家賃レベルのお金は払ってもらう。その代わりに、あなたが生きている限り、その家に住み続けてもらって構いません、という仕組みがリースバックです。そして、お二人とも亡くなられた後は、そのリースバックを引き受けた会社がその家を処分して現金化して、すべてを精算してくれる、という形になります。

一方で、リバースモゲージというのは、自宅を担保にしてお金を借りる仕組みです。キャッシュが手に入るわけですが、その際、普通であれば元金と利子を一緒に返していかないといけないのが、リバースモゲージでは「利子だけでいいですよ」という形です。利子だけなら、金額も知れていますよね。一般的な賃貸の家賃程度の支払いで、自分の家に住み続けながら、お金を現金化できるという手法なんです。

こういう方法を取れば、自分の暮らし方や家計もずいぶんと身軽になります。たとえば、子どもたちに「この家を残したい」と思っても、「え?こんな家いらないよ」なんて言われたりするケースもありますよね。でも、お金として換金されていたら相続もしやすいですし、「いらない」とはならないと思います。だから、そういった方法を取ることもできる。

また、今まで貯めたお金を使ってしまうのが怖い、老後の資金がなくなるのが不安だ、ということがあるかもしれませんが、仮に現金化しなかったとしても、今の家をより充実させて、素敵な家にしていけば、不動産としての価値も上がっていきます。どうやって家を魅力的にしていくかというのは、工夫が必要なところですが、「中古住宅の方が安いから価値は下がるんじゃないか」と言われることもありますが、最近では中古住宅でも魅力があると評価されるケースが増えています。若い世代を中心に、リノベーション前提で魅力を見ている方も多いですから、意外としっかり買われている印象があります。つまり、「他人が買ってくれる家は、いい家」だということです。

話をまとめていきますと、セカンドライフを夢見て、楽しむための家を考えるときに、やっぱり「お金」に対する不安が大きなブレーキになります。でも、そのときには「やり方がある」「スキームがある」ということを知っていただいて、自分の家をしっかり保持するにせよ、現金化してパートナーが亡くなった後も身軽にするにせよ、どちらにしても、「今、この暮らし」を良くしていくという視点で考えてもらったらいいんじゃないかと思うんです。

今そのことができない、踏み出せないというのは、「未来に幸せがある」と思っているからなんですよね。でも、実は「今」、この瞬間、パートナーとの暮らしを良くすることでこそ、本当の意味で満足できる人生になるという側面がある。それを、松本さんの人生のエピソードを見て、味わってみてもらえたらと思います。

そういう前提で考えたときに、よくある「趣味に精を出す」とか「旅行をする」とか、もちろんそれも素敵なことなんですが、たとえば「新しいエリアに移住する」「田舎暮らしを始める」といったときに、5年後、10年後、15年後、20年後と時間の経過を見ていったとき、最初の10年ぐらいは元気に畑仕事もできるかもしれない。でも、その先はどうだろう、ということも含めて考えておく必要があると思います。

そういったことも踏まえながら、「じゃあ本当に移住するのか」「今の暮らしを維持しながら、より良い“今”を楽しむのか」、セカンドライフの真っ只中で、どうやって満足できる人生を築くのかということを、じっくり考えていっていただけたらなと思います。

何より、後悔を残すというのはつらいですよね。「後悔先に立たず」という言葉もありますが、あらかじめこのことを悔やんでおく、という考え方があります。僕の大好きな哲学の和尚さんが教えてくれた言葉で、「予悔(よかい)」って言うんですけど、予習の「予」に悔やむの「悔」と書いて「予悔」。つまり、「あらかじめ悔やんでおく」ということですね。

妻との別れがあるかもしれない、旦那との別れがあるかもしれない。そういったことをあらかじめ考えておくという意味でも、セカンドライフを楽しむ家づくりを見つめ直していただいたら、少し行動がしやすくなるんじゃないかと思います。

今は人生が本当に長くなっています。だからこそ、50代、60代からもう一度、自分の家について考えるというのは、パートナーとこれからどうやって生きていくか、どうやって人生を全うしていくか、ということにつながっているなと、僕自身、最近すごく感じています。そんな想いを込めて、今日はお話をさせていただきました。

どこまで僕の話が伝わったか分かりませんが、セカンドライフを考えて楽しもうとされている方には、ぜひ活かしていただけたらと思います。こんな感じで、家づくりの細かいこと、暮らし方、人生全体の夢や目標も含めて、いろいろ解説していますので、よかったらチャンネル登録をしてみてください。

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