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冬が来るまでに考えたい寒さ対策(トイレ編)

今日は、冬が来る前にやってほしい寒さ対策、その中でも特に重要なトイレ編をテーマに解説します。

いよいよ嫌な冬が近づいてきましたね。この話をするのはなかなか複雑な気持ちですが、ものすごく大事なことだと思うので、最後まで聞いてもらえたら嬉しいです。

日本の木造住宅に住んでいる方によくある冬の風景があります。昔はシングルガラスの窓下にお布団を敷いて寝ていて、そこに冷気が降りてきました。顔や肩の辺りがゾワゾワして、夜中に目が覚めたりするんです。「暖かい寝床を出るのは嫌だけど、おしっこに行かないと」という感じで起きて、廊下を通っていってトイレに行きます。こうして用を足す方ってたくさんいらっしゃいますよね。私なんかも最近夜によく目が覚めてしょっちゅう行っていますから、よくわかります。その時にトイレで倒れるという事故が、11月ぐらいから倍以上のペースで増えてくるのです。

どうしてそういうことになるのか。メカニズムを解説します。例えば寒い冬には、電気毛布・電気あんか・厚い布団や毛布とかを掛けて寝ますよね。電気毛布をしてる人だと、極論を言うと布団の中が30°C近い温度になります。もうホコホコですよね。でも部屋は10℃ぐらいかもしれません。良くて15℃ぐらいあるとしても、ここで15℃の温度差が生まれるんです。15℃ですよ。廊下は当然暖房をしていないから、10℃ぐらいに下がります。

極めつけはトイレです。昔の家だと兼用便器と言って、男性が立って用を足すこともできてさらに一段上がってしゃがんで大の方もできる。用を足す時って、当たり前ですが気張るじゃないですか。その時に血圧が上がって、その拍子に倒れるということなんです。

背景として、兼用便器を使うようなお家は、窓を開ける人が多いです。昔の汲み取り便所と言われた、便槽のアンモニア臭がするトイレの名残なんでしょうか。臭いという先入観があるのかもしれません。外気温が氷点下だと、まともに外気がトイレに入ってきますよね。小さい空間で扉が付いて閉ざされているから、そこだけ外気温と変わらなくなる。極論を言うと、30℃ぐらいの所から出てわずか5〜10秒の間に30°Cも温度差がある所に行くことになり、しかも力むんです。これで事故が起きない方が不思議ですよね。

これは本当によくあります。トイレで倒れる人はものすごく多い。ここからのシーズン、11月以降3月ぐらいまで多いので、ぜひその対策をしてほしいです。

どんな対策があるかというと、理想は壁・床・天井を最低でも区分断熱という断熱強化をして、室温を上げていくことが一番です。でもこれは工事が大変だし、住みながらだと苦痛だからと二の足を踏む人も多いと思います。

そんな時に最低でもやってほしいのが、例えば寝室だったら2重窓にすることです。2重窓にするだけで寝室の温度が全然違います。冷気が降りにくくなるので、ひょっとしたら夜に目が覚める回数が減るかもしれません。さらにお布団より1段高いベッドの方が、床の温度が低くても影響を受けにくいのでいいですよ。ベタッと寝た所からガッと起きるよりも、ベッドからそっと起きる方が血圧の変動がありません。できれば寝具に関しては、羽毛布団のような軽いものや負担が少ないものがいいでしょう。

同時に、ぜひパネルヒーターとかオイルヒーターとかを置いてください。電気代は掛かりますけど、そんなに高い温度じゃなくてもいいので、夜中じゅう付けておくとかなり違います。理想を言うと廊下にも置いてほしいです。80代とかになって、家の断熱リフォームに関しては躊躇する。子どもたちや孫に、お金の面で迷惑を掛けたくないということがあるんだったら、電気代ぐらいは使ってください。ぜひお願いします。

そして最後に、トイレも2重窓にしたり、便器を洋風に替えたりしてください。洋風便器に替えると、大抵今は暖房便座でお尻が暖かくなります。あれもヒヤッとするとショックの一因になるので、セラミックヒーターのように一気に温度を上げるような暖房器を付けてほしいです。

とにかく2重窓にできるならしてほしいです。もしできなくても、最悪は窓を開けなくていいようにセンサー付きの換気扇を付けてください。座っただけで感知して回ってくれたら、臭さが出ていきます。トイレが臭いのって、人間が用を足した直後からですから。人間が来てから回るだけで十分ですよ。冬場に窓を開ける必要はないです。

私も数年前にお家をリフォームしました。うちの母も昭和の人なので、とにかく今でも窓を開けるんです。アカンって僕が言うのに開けるから、今はトイレの窓が開かないようにロックしています。その代わり換気扇を付けると言って付けてみたら、母はこう言いました。「換気扇を付けてくれたら臭いが全然気にならないし、寒くないからええわ」「言うたやろ、お母ちゃん」みたいなことを60歳と80歳の親子で話しています。

できるだけ完全なフル断熱が理想です。別に用を足す時だけじゃなくて、日頃を快適に暮らせるから絶対にオススメではあります。ただフル断熱ができなくても、前回も動画で解説した脱衣場・お風呂・トイレなどとにかく事故が多い所だけを強化するだけでも、ずいぶん健康被害のリスクは下がってくるはずです。ぜひやっていただきたいと思います。

最後に、よくある風景と最初に言ったのは、私の個人の体験です。父親がこういう感じでした。もう30何年前になりますけど、彼が12月のある寒い明け方にトイレに行って、そのまま倒れて帰ってこないからと母が呼びに行ったら、倒れて意識がないぐらいの状態でした。知識があれば、うちの親父はもっと長生きして、孫の顔も見て楽しい人生にしてもらえたんじゃないかなと、今でも思います。あまりにも寂しいことになるので、これは頭に置いて対策を練ってほしいです。

どんなお家でも必須の対策として、ぜひ覚えておいてください。

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