家づくりで起こりがちな失敗(資金計画編①)
家づくりをするにあたり、多くの方が住宅ローンを利用されると思いますが、今回はその時に起こりがちな失敗について解説をします。
アメリカの大統領に、トランプさんが返り咲きましたね。これからどんな風に世の中が動いていくのか、気になるところです。「そんなことと何の関係があるの?」と思うかもしれませんが、アメリカのFRBのやることによって、日銀が影響を受けたりする可能性はあります。日本の経済は長らくデフレでしたが、ここ2〜3年間でようやくインフレになってきました。そういう時代で住宅ローンを組むのは、どうなのかなと思いますよね。また、みなさんの諸先輩は、デフレの世界に生きて住宅ローンを借りてきた人たちだから、過去の経験というのはあまり役に立ちません。
そもそもインフレとは何かというと、例えば100円でリンゴを買ったとします。それがインフレになったら150円になるので、リンゴ1個という値打ちでお金を見ると、お金の価値は下がるということです。デフレというのは、100円で買ったリンゴが80円や50円になるので、逆にお金の価値は上がるということです。住宅ローンを借りる人の中には、今すぐ借りる人もいれば何年後かに借りる人もいると思いますが、よく「インフレになったら金利が上がるんですよね?」と聞かれます。リンゴの例えと一緒で、インフレの場合、3000万円を借りた数年後には、家の価値は下がります。そのため、小さな家にしたり、性能を落とすということは無理もありません。
それから、「住宅ローンには変動金利と固定金利があるけど、どっちがいいんですか?」という質問をされることがあります。僕が見ている限りでは、変動金利で借りる人が多いです。FPの人に聞いたところ、実際に7割以上の人は変動金利を選んでいるということでした。ただ、「きちんとわかって変動金利を借りているのかな?」と、要らぬ心配をしてしまいます。なぜそう思うかについて、いろいろありますがお話ししていきます。
月々の返済額がいくらになるかという視点で考える人は多いですよね。家計がしんどくならないように、なるべく少なくしたいはずです。1つの例ですが、住宅ローンを3500万円借りたとします。返済期間は35年で、固定金利の場合、金利は2%前後が多いので、月々の返済額は116,301円です。一方、変動金利では安いと0.345%ということもあるので、月々の返済額は88,477円になります。そうなると、月々の返済額の差は27,824円もあります。そして、その額を35年返済していくので、結果的に11,686,080円も違うことになります。つまり固定金利を選んだらこんなに余分に返済しなくてはならないため、「やっぱり変動金利かな?」と考えるわけです。
月々の返済額はどういう条件で決まるのかというと、多くの人は年収、返済比率、社会的信用などと言うと思いますが、そうではなく「借入金額」「返済期間」「金利」という3つの条件で算出されます。この中で僕が問いたいのは、最も気にすることが多いと感じる「金利」に関してです。とある銀行では、板書にあるように、一番安い金利は変動金利で0.345%です。でも、全期間固定金利35年だったら、一番高いと2.02%です。この金利の差は一体何なのかというと、金利を固定する期間が違うことによります。変動金利というのは、「金利が上がったり下がったりしますけど、半年に1回見直しさせてもらいます。」というもので、固定金利10年というのは、「10年間はこの金利で固定させてもらいますが、以後は状況によって変わります。」というもので、全期間固定金利というのは、「何があっても、35年間はこの金利にさせてもらいます。」というものです。
では固定する期間が違うと、なぜ安くなったり高くなったりするのか。それはズバリ、銀行にとってのリスクが違うからです。半年に1回見直せるということは、金利が上がっても、「金利が高くなったので上げますね。」と言えるため、リスクがありません。でも全期間固定金利だと、金利が上がっても35年間、2%にしなければいけません。そうするとリスクがありますよね。そのため、リスクが高いか低いかというのが金利の正体と言えます。
失敗しない資金計画をするには住宅ローンをどのように考えたらいいのかというと、答えははっきりしています。いつ定年になるかは、人によって違いますよね。30歳の人が35年返済したら65歳になるので、ちょうど定年です。でも35歳の人だったら、定年までは30年になります。定年以降も働くという意欲はあるとしても、定年になったら収入はなくなるし、最後の5年間は年金で払うというのは無理があります。なので安全でリスクがないのは、定年までの期間で見るということです。そして金利に関しては、リスクのない全期間固定金利で考える必要があります。つまり、リスクのない資金計画をすることが大事というわけです。
定年までに完済できる期間と、全期間固定金利という2つの要素を固定して、そこから逆算すると借りてもいい金額の上限が出ます。家計の都合で「月々の返済額はこれぐらいにしたい。」という人にとっても、リスクがありません。まずは自分たちにとってリスクがない状況はどういうことなのかを押さえて、確認することから健全な資金計画が始まります。
そうは言っても、「それで大丈夫かな?」と心配に思う人はいると思いますので、また違う動画で解説しようと思います。続きはそちらでご確認ください。