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オフグリッドハウス:エネルギーを自給自足できる家の目安とは?

今回はエネルギーを自給自足できる家「オフグリットハウス」について解説いたします。

この春にまた電気代が上がりましたよね。ぐんぐん電気代が上がりますし、石油価格の高騰の影響もあるので、光熱費に対する恐れがあると思います。その中で「オフグリッドハウス」という概念の家づくりが注目されていますが、よくわからない人も多いと思います。

そういう方向けに「オフグリッドハウスを上手に考える目安があったらいいのに」と思った時に、おすすめの本があります。先日の動画でもご紹介しました「ぜんぶ絵でわかるエコハウス」という、森林文化アカデミーの辻先生が書かれた本です。イラストがいっぱい入っていてわかりやすくて、辻先生の「オフグリッドハウス」についての解説がコンパクトにまとめられています。すごくいい本なので、今日はこの本にそって、私なりの勝手な見解も入れながら解説したいと思います。

まず、オフグリッドハウスの基本的なことを説明していきます。家庭の電気は通常、電力会社(姫路なら関西電力)から電気を買って家に引き込んで使います。ここで電気を引き込まずに、自給自足でエネルギーを賄う家というのがオフグリッドハウスです。

どの電力会社でも同じですが、電気は発電所から各家に、送電線で送ります。この送電線は網目状になっていて、このネットワークのことを専門用語でグリッド(網)と言います。このグリッドから電気が一次側から家に入ってくる引き込みをカットすることを、オフグリッドと言います。一次側の電気が家の中に入ってないのに自給自足ができていて、照明・テレビ・エアコン・冷蔵庫も動く、という家です。これだけ電気代が高くなって電気代を見るたびに困っている方は「うちの家もオフグリッドにしてよ」と思うと思います。

オフグリッドハウスの概念として1つ例を出して解説します。まず、1軒の家の中で、太陽光発電を載せるのは必須です。自給自足でエネルギーを作らないとアカンので、電気を作るのは必須だということです。個人のお宅であれば太陽光発電一択です。地熱発電や風力発電もありますが、民家ではあまり馴染みがないですよね。太陽光パネルを載せて、電気を蓄電池に溜めて、インバーターを経由して交流に変換して、家全体に供給するのが、オフグリッドハウスの構造です。

これを考えるときに、パネルはどんな風に、何枚乗せて、蓄電池はどれくらい用意したらいいのかということが課題になってきます。家によって異なりますが、一般的に4人家族の電力使用量の目安は、1日あたり15~25kWぐらいと言われています。これは年間で換算すると、53~89GJかかると言われています。89GJと言われてもピンと来ないと思いますが、この電気量を自給自足するためにはすごく大きい太陽光発電と容量の大きい蓄電池が必要で、かなり大変なんです。

そこで、今電気代が上がっていく中で注目されているのが、家の高性能化が進んできたという側面です。これはこれからの未来でオフグリッドハウスを語る前提になります。どういうことかを説明します。今から当社でお客さまの新築を建てる場合、性能の基準は断熱等級6以上の家(HEAT20のG2)です。松尾先生の場合は、G2とG3の間のスペック(G2.5)の家がいいと言っています。この性能の家のメリットは、先ほど1日あたり15~25kWと言っていた電気使用量を、その半分ぐらいの10kWh/日に圧縮でき、年間に換算すると36GJぐらいになることです。もちろんこれは、エアコンの選び方や省エネ性の高い家電を使うことが前提だと思います。

ここで、例えば一般的な積載量である5kWの太陽光発電で、1日あたり5時間ぐらい日照時間を取れたら、1日に25kWh(5kWの発電量×5時間)発電できる計算です。1日の電気使用量が10kWとすると、25kWh発電できたら、賄えていますからいいですよね。

ただ、日は朝に登って夕方になったら沈みます。夜は発電できない中で、夜に冷蔵庫が止まったりしたら嫌ですよね。なので必ず蓄電池が必要ですし、何本ぐらい必要なのかも問題になってきます。さらにもう1つ忘れたらアカンのは、晴天の日ばかりではなく、曇りや薄曇りの日とかもあるということです。曇りの日だと日射量は10分の1以下に減ると言われています。薄曇りでも5分の1ぐらいになるので、1日あたりの発電量が5kWではなく2.5kWぐらいになることも、往々にしてあるんです。夜は太陽が出ない問題と、昼間でもムラがある問題を考えたら、蓄電池は絶対必要です。

辻先生は、大体15kWぐらい(1日の電気使用量を10kWとして1.5日分)の容量がある蓄電池をつけた方がいいと試算されています。1週間連続で雨ということもある中でも、ほぼオフグリッドになる目安がこれぐらいだとおっしゃっています。

ちなみに太陽光発電は1kW25万円ぐらいで、5kWだったら125万円です。蓄電池はいろいろありますが、今は1kW10万円ぐらいのものも出てきているので、15kWで150万円くらいです。そうすると、合計で275万円の設備投資したら、ほぼオフグリッドハウスになります。ただし断熱等級6以上(HEAT20のG2)クラスの家でないとアカンです。もちろんパッシブデザインも入っている方がいいと思います。

275万円かけて、太陽光発電や蓄電池の寿命を30年で試算して考えてみます。1年あたりの電気代は9万1600円で、月にしたら7600円ぐらいになるそうです。イニシャルコストは必要ですが、4人家族で月の電気代が7600円で暮らせるとしたら、オフグリッドハウスの可能性が出てきますよね。近い将来、これを考えてもいい時代が来るんじゃないかなという気がしています。

ついでに、全ての電力を自給自足で賄い、本気でオフグリットハウスをした場合も試算してみました。1つの目安として、4人家族で太陽光発電は先ほどの倍にして10kWぐらい乗せた場合を考えてみます。そうすると、15kWの蓄電池でもほぼ1.5日分ぐらいずっと溜めることができ、ムラが減るのでオフグリッドが可能になります。太陽光発電10kWの場合のコストを試算すると、1kW25万円だとしたら10kWで250万円、蓄電値が150万円で、合わせて400万円です。30年で考えたら年間13万3000円の償却で、月にしたら1.1万円です。

月1万円ぐらいの電気代なら、今も同じぐらい払ってる人は多いと思います。しかし、この先エネルギー危機がやってきて、電気代がもっと値上がりすることが想像できます。オフグリッドハウスに挑戦することは、これから30年先の電力を先買いするみたいな考え方になります。30年後に人類が一生懸命営みを続けていたら、太陽光発電や蓄電池の技術も革新されていると思います。その時に設備を更新していけば、例えば石油枯渇など、どんな問題が起きた時でも凌いでいけると考えると、安心できると思います。

これから家づくりをされる人は将来のオフグリッド化も考えて、お金に余裕があったり果敢に挑戦してみたい人は、工務店さんや設計者の方と相談しながらやってみるのもいいと思います。

最後に、今回の試算は、あくまで太陽光発電の発電効率も蓄電池の充電も落ちない前提の試算です。細かい話をするとこれよりも採算は悪くなります。私の動画を見てる人でも緻密な方がいらっしゃると思いますが、そこはご了承ください。

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