庭に草木と水と生き物「ビオトープ」のすゝめ
今回はビオトープについて解説をします。
ギリシャ語でビオというのが「命」、トープスというのが「場所」という意味ですが、「ビオ」と「トープス」を合わせて作った造語が「ビオトープ」だそうです。命の場所ってカッコいいですね。
簡単に言うと、小さな生態系を作るのがビオトープという意味です。大きな生態系はどんな所?と言うと、例えば尾瀬の国立公園。湿地帯みたいな所があって、時には水溜まりや池でもないものがあって、小さな生き物もいる。たくさんの水草があったり、水芭蕉が咲いたり、後ろに大くて綺麗な山が見えるようなあの感じが大きな生態系です。ジブリさんのアニメで言うと、もののけ姫の中で森の精が住んでいる所に水辺があって、小さな生き物がいるようなシーンがあったと思います。ああいうのが大きな生態です。あれをぎゅっとコンパクトにして、自分の家に持ってきたのがビオトープ。そんなイメージで思ってください。
ビオトープに厳格な定義があるわけではありません。例えば睡蓮鉢のような水を溜めるための器に底砂や小さな岩などを敷きます。そこに小さな生き物を飼ってほしいので、バクテリアが繁殖するために必要になります。流木なんかもいいですね。そこへ水をなみなみと入れて、水草は浮き草系のものを入れます。そこへメダカやアカヒレを飼うわけです。メダカは酸欠に強いらしいですね。魚は酸素濃度が薄くなるとやられちゃいますが、メダカ君はなかなかしぶといそうです。ビオトープを大切に運営していたら、トンボの親が来て卵を産んでくれて、ヤゴちゃんが生まれるかもしれません。アメンボやアマガエルがいる時もあります。こういうものを作るのがビオトープということになります。
これはやってみたらわかりますが、メダカちゃんはなかなかに可愛いですよ。お客さんにオススメしたり、モデルハウスでやったりしますが、多くの方々が反応してくれます。それがあることによって、いろんな気付きがあったり、みんな生きているなみたいな言葉が浮かんだりします。例えばメダカに餌をやりますが、いつもやったら水が腐ってしまいます。たまに餌をやりますが、それを子どもと一緒にやったりするわけです。基本的には底砂にバクテリアを育てるので、フィルターやポンプがなくてもある程度の小動物の数だったら水はそんなに汚れません。たまに水換えをするときはお世話をする、みたいなことをやっていただくと良いですね。
ビオトープはこの夏場にぴったりの季節です。ただ注意していただきたいのは、あまりにも暑くて水温が上がりすぎるところです。なので適度な日陰に置くのが良いです。樹木の陰や塀の所に寄せるという感じですね。もちろん一定の日は当ててあげてほしいのですが、メダカの健康のために温度変化の少ない所に置いてもらうのがいいと思います。
水を溜める器は陶器がオススメなのは、熱が伝わりにくいからです。ガラスやステンレスの器はまともに熱を受けちゃうので、オススメはしません。それから睡蓮鉢は移動ができます。日に当たりすぎたり、日が当たらないときは移動して調整ができるわけです。冬場は寒くなるので、屋内に避難してあげることもできますしね。究極は池を作るのがいいですが、大掛かりになります。睡蓮鉢を大きくするのも良いですが、移動が大変です。水もいっぱい必要になりますしね。大きいのは迫力がありますが、ほどほどがやりやすいかなと思います。
ぜひお家を建てられる時は、お庭を考える時に小さな生態系をご家族で楽しんでもらえたらと思います。