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熱中症を甘くみない! 築30年以上の家の親孝行リフォームのすゝめ

今日は熱中症対策を考えたリフォームについて解説します。

暑い日が増えてくるといつも思うことがあります。私は82歳の母親と同居しているのですが、彼女はなかなか我慢強く、息子である私にはそれが心配の種となることも少なくありません。一番心配なのは、暑い時期の熱中症問題です。

熱中症はすごく怖いです。幸い、私の母は今まで熱中症になったことはありませんが、彼女の周囲の友人たちの中には、脱水症状で救急車で運ばれたとか、かなり危険な状態だったなどという話を耳にすることが増えてきました。

そうした事態を受け、今日は「熱中症」にフォーカスして考えてみたいと思います。特に高齢者の方は、ある程度年季の入った建物にお住まいの方も多いです。そのような方に積極的にお家をリフォームしていただきたいと思い、その理由についてお話しします。

総務省が統計を取った、「熱中症がどこで起こるか」をまとめた資料があります。主には野外の職場や学校、不特定多数の人々が出入りする大規模な施設や道路といったところです。暑い時に暑い場所に行けば、当然熱中症になる可能性が高まると考えられます。

しかし驚くべきことに、熱中症の約4割が自宅で発生しているのです。自分の家で熱中症になるなんて思いますか?しかし、現実にそれは高い確率で起こっています。

タレントの所ジョージさんが、経口補水液という、水分摂取を容易にする病者用食品の広告をされていますよね。所さん自身、外にいた際に気づいたら倒れて、それが熱中症だったという経験があるそうです。その経験から、熱中症は決して侮れない危険なもので、命が奪われる可能性すらあるという思いから、その広告に出演されているそうです。

それくらい、熱中症は恐ろしいものです。安全だと思い込んでいる自宅でさえ、熱中症が発生する可能性があります。さらに言えば、日本の家は現在、激暑になっており、家に住む人々の年齢も上がり続けています。ですから、甘く見ずに私の話を聞いてください。

熱中症の原因は、主に4つあると言われています。1つ目は当たり前ですが、気温が高くなることです。読み替えれば、家の室温が高いということです。2つ目は、気温だけでなく湿度も高まることです。ムシムシとした湿度と気温の、二重の影響を受けます。3つ目は、風がなく、無風状態になることです。4つ目は、強い日差しが当たることです。これらの4つの要素が原因となり、熱中症は発生すると言われています。

1軒のお家の中で熱中症対策を考えるとすれば、4つの原因のうち一番大きな問題は「日差しが強い」という問題です。強い太陽の光を家の中に入れないようにすることが非常に重要です。

夏の太陽を甘く見ている方が多い印象があります。これをよくわかっている方は、雨戸を閉めるなどの対策をしている方もいらっしゃいます。それはそれで良いのですが、雨戸を閉めると部屋が真っ暗になるから嫌だという方もいらっしゃいます。

そこで私が最初におすすめするのは、すだれやよしずを使用することです。

すだれとよしずの違いは、以前別の動画でもお話ししましたが、文字通りすだれは窓のところに垂らすもの、よしずは立てかけるものです。

冬に、親孝行の一環としてプラスチックダンボール(プラダン)で窓の断熱性を高めるプレゼントが良いという提案をしたことがあります。「あれはよかった」と言ってくださる方が多かったため、悪ノリして夏にも似たような提案をしようと思います。

それが「よしずを作ってプレゼントしよう」ということです。作り方はとても簡単で、それほど費用もかかりません。角材を2〜3本用意し、それにブルーシートを貼るだけです。ピンと張れば幕になり、畳めば小さくなって立てかけておけます。

すだれの1つの欠点として、風が吹いたり強い台風が来たりする時には畳まなければならない点があります。すだれを畳むのは面倒くさいので、巻き取り式のシェードがおすすめです。

よしずの良い所は、そういう風が強い時には簡単に倒しておける点です。重いもので括っておけば、風で飛んでしまうこともありません。

そして何より、よしずは立てかけるので、窓のそばに斜めの空間が開き、出入りがしやすくなります。例えば窓の前に洗濯物を干す場所を作っている場合、よしずの角度を上手に調節すれば、よしずの横から出て洗濯物を干してまた家の中に戻ることもできます。

次に言われている対策は、風が吹かない夏場に重要な通風です。窓を開けられる状況であれば、そのまま開ける方が多いと思います。

しかし、私がリフォームの現場に足を運ぶと、窓があるのに開けていないお家をよく見かけます。理由は様々で、窓自体が古くて開かない、建て付けが悪くなって窓が引っかかって開けられないなどがあります。

窓を開けられるのに開けていない場合は、網戸がないケースが多いです。「虫が入るから開けられない」という理由なら、網戸の設置を提案します。また、網戸があっても破れていて、それを放置している方もいます。直すなどして網戸も活用すれば、通風を改善することができます。

また、2階建てのお家で子どもたちが巣立った後、ご両親やおじいちゃん・おばあちゃんが1階で生活している場合、2階は閉め切っているということがあります。2階に上がることもないし、開けていられないとなると、2階は蒸し風呂状態になります。

1階と2階の間には断熱材なんてないですから、2階の熱は1階にも伝わります。よく「エアコンをつけても効かない」とお悩みの方がいらっしゃいますが、それは2階が暑いからかもしれません。

例えば、2階の窓を頻繁に開けるのが面倒な場合は、2階に換気扇を設置して適度な換気をすることも断熱リフォーム・親孝行リフォームの一環と言えます。

また、気温が30℃以上になると、窓を開けると熱風が入ってくることがあります。町中では、隣の家のエアコンの室外機から熱風が吹き込んでくることもあります。そういった状況では、エアコンなどの空調設備に頼らざるを得ません。その際に大切なことは、空調機をきちんと稼働することと、稼働に関してきちんと管理をすることです。

築30年以上の家で、ある程度年配の方が住んでいる時に、使用しているエアコンがとても古い場合があります。エアコンの一般的な耐用年数は約10年と言われますが、15年を遥かに超えるエアコンがついている場合もあります。

しかし、その15年の間に省エネ性能は大幅に向上しています。ですから、1シーズン落ちで構いませんから省エネ性能の高いエアコンに交換することをおすすめします。そうすると、エアコンをつけても意外と電気代がかからないことがあります。最新のエアコンは制御が上手にできて、あまり電気の負荷をかけなくても涼しくできるエアコンもあります。

また、3〜4年前に替えていて古いエアコンではないという時は、エアコンを掃除しているかチェックしてください。中には設置してから何もしていないという方もいらっしゃいます。

お掃除機能がついているモデルで安心しきっている方もいらっしゃいますが、内部は開けたら汚れていますから、定期的に掃除することが必要です。

エアコンを考える時に、私は母といつもバトルになります。彼女は「日中は私1人しかいないからもったいない」と言って、エアコンを切るんです。しかしその電気代よりも、母が熱中症で倒れた方が、私の娘たちも心配するし悲しみます。だから頼むからつけておいて、と言っています。

これは森下家の恥ずかしい話ですが、我が家は朝エアコンをつけて、リモコンを母の背の届かない高い所に置いておくんです。そうしたら母は自分でエアコンを切れませんから。それで夜に、「どうやったお袋?」「いや涼しかった」などという会話をしています。

エアコンをつけることに罪悪感を感じるような方もいます。古き良き日本人だと思いますが、そんなことより自分の体の健康の方が大切ですから、ぜひ親御さんに進言してあげてほしいです。

「森下さんは同居しているからできるけど、僕は親と別々に暮らしているから」という時は、最近のスマホで制御できるようなタイプがおすすめです。「エアコンの操作は僕がするから」と言って、管理してあげてもいいと思います。「うちの子がコントロールするから私は触れないのよ」というぐらいに使ってほしいなと思います。

暑くてエアコンをつけて寝るときには、タイマーが切れたら暑さで目が覚めるということもあるかと思います。お家の断熱スペックにもよるかと思いますが、コントロールについては、もちろん親御さんにしていただいても構いませんが、子どもさんやお孫さんが一緒になって対話することが大切です。

「もうエアコンを切って」という電話がおばあちゃんから入ることもあるかもしれません。私自身もそうですが、息子が言うと口論になりがちですが、私の娘が言うと「わかった」と聞き入れてくれます。そのようにして対応してもらうと良いと思います。

また、冬期と同様に、日射遮蔽に関わる部分もありますが、やはり窓の断熱強化は非常に大切です。二重窓などにするだけでエアコンも効きやすくなり、外からの熱の流入も少なくなります。二重窓にするリフォームの補助金もあるので、併せて考えていただけると良いかと思います。

日射遮蔽について窓を交換する予算が無い場合は、よしずで対処する方法もありますが、遮熱シートも有効です。家の中にカーテンを設けたり、ハニカムシェードを使ったりしても、効果があります。

しかし、夏場の太陽エネルギーは非常に強力です。一度窓に熱が入ってしまう前に、窓の外でシャットアウトすることが重要です。これこそがリフォームだと思いますので、ぜひこうした対策を取ってください。

エアコンの室外機についても触れておきます。家の南側の窓にエアコンを設置していると、室外機は自然と南側に置くことが多いと思います。しかし、そこに直射日光が当たるのはよくありません。ロスが生じ、ヒートポンプの効率が下がり、上手く働かなくなることがあります。

ですから、室外機には屋根をつけてあげてください。例えばお魚を買ったときについてくるような発泡スチロールでも構いません。それを載せておくだけでも全然違います。

ただし、前面の風が通る部分は塞がないでください。塞いでしまうとラジエーターが上手く冷えなくなり、熱を汲み取ることができなくなるので、やめてください。

直射日光は太陽高度が高いので、屋根を作ると室外機の焼け込みが緩和されます。それも含めて、先程の手作りのよしず程度でもいいので、ぜひやってみてほしいです。

最後に、ここまでは緊急避難的な話ばかりしていましたが、これを機に2階や下屋の屋根部分の断熱強化、床下の断熱強化をプロに依頼してやってほしいです。屋根は直射日光の影響を強く受けるので、屋根の断熱ができればエアコンの効率も向上し、格段に涼しくなり、特に2階が暑い現象が大幅に改善されます。

さらに1階の床の断熱強化も効果的です。築30年以上のお家は、外周部分や間仕切り部分の気流止めがうまくできていなくて、そこから湿気や暖かい空気が上がって悪さをすることがよくあります。

吹き付けの発泡ウレタンなどを吹くと、断熱もできて気密性も確保することができます。これにより、エアコンは少ない電力でより効率的に動作するようになります。

予算が許す範囲であれば、まず窓の改善をしてもらって、断熱・空調と、三位一体で進めることで、快適なお家になると思います。

熱中症は、自覚症状なく進んで、重篤な状態になってから自覚するようなことがあります。非常に危険なので、ぜひ今日のお話を頭に置いてください。まだ本格的な夏が訪れるまでに時間があるので、この時期に休日を利用してこれらの対策を進めることをおすすめします。ぜひ参考にしてください。

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