木材は自然乾燥が一番良い?
今日は
家に使う
木材についてのお話です。
とあるお客様から
質問をいただきました。
その方は、
おじいちゃんから
「せっかく家
建てるんやったら
自然乾燥した材木を
使ってもらいなさい」
と言われたみたいです。
それって、
どういうことですか?と
聞かれたので、
現時点の回答を
解説します。
一般的に、
木材の乾燥させ方には
主に3つが
挙げられます。
AD材、KD材、
グリーン材です。
ADはエアドライ、
KDはキルンドライの
略になります。
AD(エアドライ)は
一般的に
自然乾燥と
言われるものです。
今回出てきた
おじいちゃんは
この材木のことを
仰ってるのだと
思います。
KD(キルンドライ)は
強制乾燥。
釜の中とかにに入れて、
燻蒸(くんじょう)した
材木です。
ボイラーや電気など
いろんな形が
ありますが、
そうした機械で
木材の乾燥を
どんどん促進する
というものです。
最後のグリーン材は
名前に反して、
建築業界では
意外と厄介者
みたいな存在です。
名前がグリーンやから
エコでよさそう
と思われる方が
多いのですが。
AD材は
倉庫のような
屋根のあるところに
切り倒してきた木を
ある程度粗します。
木の皮むいて
粗で製材した形で
積んで
じっくり時間をかけて
乾燥させます。
これは私が知る限り
一番贅沢な
乾燥方法です。。
屋根のあるところに
何時間も置く
必要がありますから。
現代において
時間というのは
コストになるので。
贅沢な方法と言えます。
長所としては、
時間をかけて
水分を抜くので
狂いが少ないこと。
あとは木材にとって
優しいところです。
古い職人さんはよく
自然乾燥の方が
絶対持ちがいいと言う方
いらっしゃいます。
これは多分
口伝えと言って
職人さんの
歴史の中で
受け継がれている
部分もあると思います。
一方ですね
KD材というのは
強制的に、短時間で
乾燥させます。
急激に乾燥させるので
狂いが出て、
弾かないといけない
ものも出てきます。
ロスが出るので
コストがかかるという
弱点があります。
ただ、
先程の話に戻ると
機械乾燥でやるから
持ちが悪いという
点については
それほど差が
なかったりします。
特に
一般の人が持つ家は
100年とか150年の
単位になるので。
法隆寺みたいに
500年とか
1000年位の
スパンになると
話は別になりますが。
3つ目の
グリーン材は
生えていた木を
ポンと切って、
しばらく寝転がして
粗乾燥させたような
材料なので
水分が非常に多いです。
昔の大工さんは、
重要な柱とか梁は
乾燥材で、
敷居とか鴨居とかは
グリーン材に近いもの
使ってるケースが
多かったと思います。
20年以上
経ってるような
お家で
鴨居が下がったり
曲がったり、
戸の立て付けが
悪くなったりしていると
グリーン材に近いものが
使われていることが
多いです。
建てる時は
まっすぐな木材でも
後で変形が
起きたりするので
僕らは嫌厭しがちです。
ただ値段は安いので
野縁とか
銅縁のような形で
使うことはあります。
自然乾燥の木材は
確かに良いのですが
完成までの過程に
すごく手間が
かかります。
僕の母方の
おじいちゃんは
森林組合の
組合長をしていて
木にこだわりのある
男でした。
おじいちゃんが
自分の人生最後の
家を建てる時に
大学生だった僕は
手伝いをすることに
なりました。
これは建物の
平面図です。
このような平面図を
田の字プランと
僕らは読んでいます。
外周部に柱を立てて
真ん中に、
外周の柱の
約4倍位の断面の
太い柱をやると
いうものです。
昔の家づくりで
よく見るものです。
この太い柱を
一般的に
大黒柱と呼びます。
古いお家に行くと
大黒柱あったり
しますよね?
建物の屋台骨を支える
一番重要な柱
ということで
「大黒」と言います。
「大黒」には
諸説ありますが、
黒っぽい柱を
使うことが多くて。
ケヤキの木とかが
よく見られます。
日本でケヤキの木
というのは、
非常に硬くて
高価な木です。
丈夫なので、
ケヤキの柱を
大黒に使うのが、
おじいちゃん達にとっては
自慢だったりしました。
ケヤキはね
大きな丸太で
買うんです。
5年以上
寝かせるんですね。
5年位
寝かした段階で
粗製材と言って
丸太を四角く切る
作業をします。
それを
また寝かせます。
その柱が反ったり、
グイーッとねじれたり、
すごい変化するんです。
それをまた
中間製材という
作業を施します。
なので完成までに
7年8年位
かかるんですよね。
おじいちゃんは
8年から9年位
寝かせていた
記憶があります。
すごく手間を
かけているので
建てたら立派ですし、
狂いも少ないんです。
ただ現代で、
そこまで時間が
かけられるケースは
かなり稀になると
思います。
欅の
一本ものの柱も
なかなか取れないです。
ちょっと前までは
台湾から仕入れる
ルートもありましたが、
台湾も工業化していて
難しくなっています。
そうすると
南洋材を使うことに
なりますが
やはり自然乾燥は
なかなか手が届かない
ものなんですね。
強制乾燥の話に
なりますが、
これは工業製品のような
ものなので
品質のばらつきが
少ないという
メリットがあります。
自然乾燥のやつは
いいんですが、
上手に乾燥
できたものと、
上手くいかなかったものとで
差があったりして。
同じような
評価ができなくて、
構造計算に
のせにくいことが
あります。
強制乾燥のものは、
質が非常に
安定していますし、
トータルで考えると
コストが安く済む。
安全を計算による
担保もしやすいです。
僕は
時間との戦いや
安全性について考えたら
KD材の方が
いいと思います。
自然乾燥も
悪くはないです。
それだけのお金と
時間かけられる場合は
ぜひ取り入れてみて
ください。
そこまで出来ないけど
安心して
家づくりしたい人は
KD材で全然OKです。
ちなみに
「平均含水率」という
言葉があります。
建物に使うものは
大体15%位だと良いです。
現場では
15〜20%位に
なってたら
OKかなと思います。
気の利いた工務店さんとか
木造に強い
ハウスメーカーさんだと
含水率計を使って
チェック
してくれたりします。
ぜひ、みなさん
家づくりする時に
役立てて
いただけたらと
思います。
合わせまして
グリーン材の代わりに
最近「LVL」と言って
薄い木を貼り付けて
つくったような
野縁もあります。
グリーン材と比べて
ひねりや波打ち、割れが
ずいぶんマシに
なっています。
どちらかと言うと
KD材の一部に
なりますが。
木材の乾燥に関しては
自然乾燥がいいですが、
それ以外でも
いい家づくりは
できますので、
ぜひ頭に置いといて
ください。