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「目安光熱費」の意味を解説します

今回は目安光熱費について解説します。

先日、住宅の省エネ性能ラベルに目安光熱費という表記がつき、これが画期的だという話をしました。その話に関して、「目安光熱費の中身について詳しく知りたい」という声がありましたので、そのことに絞ってお話をしていきます。

車にも、燃費がリッターいくらとか、10モード燃費という表記の仕方があります。それによって、この車は燃費がいい、などとわかるようになっています。

車は、省エネ性能を上げるように言われた時代が住宅よりも早く来ました。車を買う時に、馬力ばかりではなくて燃費も見ないといけないとか、この車はすごく高出力なのに燃費もよくて最高、などと言うようになりました。

住宅にも、それに似たような、公が示す基準値のようなものが出てきて、それが目安光熱費です。ラベルの見た目は画像を載せていて、目安光熱費が「約〇〇万円/年間」などと記載されています。この家に住んだらこれくらいの光熱費になる、という目安になります。

目安光熱費を定義的に言うと、住宅の省エネルギー性能、つまり家の断熱性能や使っている設備の省エネ性に基づき、一定の設定条件の下で想定される年間の光熱費の目安額です。ただし、実際の光熱費と必ずしも一致するとは限りません。光熱費は、使用条件や使い方によって変わってくるためです。いろんなことを言ったらきりがないですが、とりあえずこう決めたということが画期的だと思います。

目安光熱費には、設定された前提の条件があります。まず1つ目に、その家に住む居住人数が何人を想定しているかです。ただしこれは家の客観的評価なので、実際に何人住むかという想定ではありません。住戸面積に対して居住人数の想定がされています。

基本は 30㎡(約9坪)に1人の人間が住むという想定になっています。ただ、面積が大きくなったら居住人数も増えるわけではなく、評価としては120㎡(35~36坪)を目安に4人を設定しています。面積がそれ以上でも4人です。

もう1つの設定条件が、生活のスケジュールです。詳しく何時から何時ということは明記されていませんが、1日のうちに冷房・暖房・お湯・照明を、この時間帯に使っているだろうということを想定して、一般的な感じで決めてあります。平日と休日で分けてあって、平日の昼間の場合はこれぐらい、休日のうち何%かは外出もするだろうという想定で決めてあります。基準になる人物・家族像があって想定されている感じです。

さらに、地域によって外気温が違うので、全国を8つの地域に分けて、その地域ごとにどれだけ設備を使うかを想定して、目安光熱費が作られています。

目安光熱費の具体な算出方法を分解して見てみます。まず当たり前ですが、光熱費ですから使われるものは電気・ガス・灯油です。これらのそれぞれに消費量と単価があり、その合計で目安光熱費を求めることができます。例えばオール電化のお家だったら、ガス・灯油は除外されて電気だけで評価されますし、灯油のボイラーがあるお家だったら灯油も評価されることになります。

令和5年9月現在、電気は27円/kwh、都市ガスは156円/㎥、LPガスは706円/㎥、灯油は88円/ℓという値が制定されており、この数値で算出されています。ここがポイントになってきます。

このラベルを見て家の目安高熱費を知るわけですが、例えば分譲住宅を買う場合は家が完成してから買うので、事前の打ち合わせもありません。いきなり結果はどうなんですか、と目安光熱費を聞くことになると思います。

その時に、それがいつの基準・単価で算出されたかを聞く必要があります。ラベルに「令和何年何月現在」と書かれているので、国交省のサイトを見て、どのような値で計算されているのかを確認していただくことになります。

一方で、現実の暮らしと目安光熱費には乖離が生じます。要因の1つ目は、住み手には個人差があるので、使用条件・使い方も異なることです。夜に寝ないような人もいれば、1日中家を留守にする人もいれば、ずっと家にいて暖房をつけてるお家もあります。

2つ目には、電気・ガス・灯油の配給先の契約会社によって単価が異なることです。東京電力さんと関西電力さん、九州電力さんでも違います。ガス・灯油も、販売する地域によって値段が違います。

なおかつ、これは僕の師匠の松尾先生もおっしゃっていますが、電気は27円/kWhという数値で行政の何年も決算をしていますが、今は燃料費の調整費・還付金が付加されていて、実際は40円/kWh近いと言われています。27円と40円では すごい差ですから、それによっても差が出てきます。

もっと注意しないとアカンのが、ラベルの省エネ性能の達成項目の部分です。この建物はZEH基準かどうか、という表記です。これも見ておかないと、目安光熱費だけを見て一喜一憂してもアカンということです。

また、太陽光発電を載せたお家には売電があります。これがあるので、差し引きすると光熱費が少なくなりますが、その分は入れていません。

一方、コージェネレーション設備という、例えばエネファームさんなどガスで発電するようなものに関しては、発電する時に使うガス料金が含まれます。コージェネレーション設備がついてるお家の評価を見る時は、その分が入って割高になっていることを知っておいてください。

太陽光もコーディネーション設備も、どっちも同じように含めたらいい感じもするんですけど、そこに関してはZEHの評価で見ます。ZEHとは、ゼロエネルギーハウスのことです。この家はエネルギー収支がプラスマイナスゼロに近いものであるかどうか、ということです。

非常に省エネ住宅を見る時の大事な基準なので、繰り返し解説していきます。

家で暮らす時は、必ずエネルギーを使います。その際に、断熱性能を上げたり、すごく効率性の高い設備機器・エアコン・給湯器を使ってエネルギーを節約したりします。一方、節約に対して創エネと言って、太陽光発電のようにエネルギーを作ることもしています。

節約と作る分を合わせて、それを使うものから引いて、プラマイ収支が≒ゼロになるものが、エネルギー収支がゼロの家、ZEH、ゼロエネルギー住宅ということです。

また、表記には「ZEH水準」と「ZEH」があって、似ていますが違うものです。

ZEH水準とは、この家はゼロエネルギー住宅になれる可能性・ポテンシャルがあるという表記です。ZEHとは、太陽光発電を載せたり省エネ性を高めるなどして、エネルギー収支がゼロ以下になったお家です。それを達成したものがZEHです。

ですから、例えば目安高熱費が何万円かあっても「ZEH」と書いてあったらエネルギー収支がゼロなわけです。この辺に流通している建物にしてはやや高くない?と思っても、その家は光熱費がほとんどかからないのであれば、すごく得だということです。

このように、目安光熱費の評価の中身を知り、ラベルの意味を知ってもらうと、みなさんのこれからの家づくりにプラスになると思います。何かのご事情で家を売買される時にも非常に有利だということを、頭に置いておいてもらえたらと思います。ぜひ参考にしてください。

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