メニュー

Movie

トップページ / 動画 / 家づくりについてもっと知りたい方 / 窓のあり方を考える4つの目的意識

窓のあり方を考える4つの目的意識

今回は、窓のあり方を考える、4つの目的意識について解説します。

家づくりの設計・デザイン考える上で、窓はすごく大事な要素です。これまでも窓については、いろんな形でいろんな話をしてきました。今日は大島健二先生の「住まいかた解剖図鑑」という本の中からすごく素敵な考え方を学ばせていただいたので、これを私なりに解説させてもらえたらと思います。

私は、師匠の松尾先生のご指導のおかげで、パッシブ設計、太陽と素直に付き合うことをやっています。太陽と素直に付き合うことの1つの鍵が、窓をどう考えるかということなので、常々窓に対してはいつも気にしています。

そういうパッシブ的な要素以外に、窓を考えるときの目的意識という視点で、大島先生が解説されていたことが本当にすごくよかったんです。これから家づくりを考える方は、こういう視点を持っておられるだけでだいぶ違うのかなと思い、この話をしようと思ったんです。

まず、目的意識は4つに整理されています。この整理は、今までも語られた東西南北の4つの方位になるのですが、これに目的意識という視点を捉えて、大島先生は語られています。

1つ目は東の窓です。1日の始まりは東から日が昇りますので、東の窓は「おはようの窓」だとおっしゃっています。人間は、朝の日の出の光が目に入ったり体に当たると、覚醒しますよね。エネルギーがみなぎってきて、1日始まるぞ!みたいな気持ちになります。これが東の窓の目的だという捉え方です。

例えば、建物の部屋の隅に、東の方の窓を切るとか、天井のそばに高窓で窓を切るようなことをすると、すごくいいと思います。起きてから動き出すまで、身支度をしたり1日の家事のスタートをするみたいな所には、すごく似つかわしいですよね。

一方で、寝室に朝日が入りすぎると、目が早く覚めてしまいます。ゆっくりギリギリまで睡眠をとりたい部屋に「おはようの窓」がついていたら困るので、そういうところを活かしながら考えていただくと、すごくいいと思います。

朝一番の光はやっぱり嬉しいものです。冬はとっても嬉しいし、夏の朝一の光はまだ気温も低めなので、涼しいうちからサクサクやっていこう、という気持ちにもなってすごくいいんじゃないかと思います。

2つ目に、今は1日の始まりのことを言いましたが、1日の終わりは日没です。その間際に使うのが、西の窓です。古来から、西日は厄介なものだと言いますよね。夏の西日は暑くて嫌ですけど、でも冬の西日はすごく嬉しいんです。ここで大島先生は、西の窓は「おかえりの窓」だとおっしゃっています。1日の終わりに「おかえり」「頑張ったね」と言って迎えてくれるような目的ということだと思います。

大島先生の事例では、例えば玄関の西側にスリットなどで柔らかい日が入るようにするなどしています。家に子どもが帰ってきた時に、玄関に西日が入ってほんわかしているみたいな感じになって、素敵ですよね。このように、西の窓は「おかえりの窓」だという目的意識があります。

次に、南の窓は「くつろぎの窓」だと言われています。南の大きな窓があるところは、リビング・ダイニングなどが多いと思います。人がゆっくりしたりくつろいだりするところにマッチします。

南の窓にはいろいろな要素があると思いますが、例えば春や秋の爽やかな季節には、風通しが嬉しかったりすることもあります。また、開口部の真ん中に窓のサンがあるとノイズになって美しく見えないので、絵のように真ん中をFIX窓にすると、ピクチャーウィンドウみたいになり、1枚の絵画のようにも見えます。さらに、例えばウッドデッキを外に作って中のリビングとウッドデッキとの繋がりを作ったり、そういうものでくつろぎ感や家族の団欒を高めることができます。

もちろん南側は、日射を十分取り入れることも目的にあると思います。しかし一方で、夏場は暑くてしょうがないので、ここにハニカムブラインドをつけたり、外付けのブラインドをつけたりすることも必要です。それから、ここは「くつろぎの窓」であるが故に、プライバシーの配慮の仕掛けが必要です。例えば南側の道路ですごく見晴らしがいいところなら、道路から中が丸見えだったらくつろげないですよね。そうすると、人の視線をカットするような、フェンス・植栽などがあると、窓の目的がより高まっていきます。

最後に北の窓です。ここが素敵で「集中の窓」とおっしゃっています。日本の建築では、庭を作る時に北側に作ることを結構やります。なぜかというと、北側の光は純光と言って正面から当たってくる柔らかな光なので、北に作った庭は南に作った庭より美しいという考えがあるからです。南の窓は日当たりがいいが故に、庭に日が当たりすぎてハレーションを起こすとか、木も水を撒いてやらないと枯れてしまうこともあります。

北側は、家の中にとっての純光みたいな感じで、直接日が差し込まないので「眩しい!」ということがないんです。そのように気持ちが削がれないので、テレワーク・勉強部屋・書斎とか、あるいは篭ってクリエイティブなことをやるときに向いていると言われています。

これから窓を考えるときは、パッシブの視点で日射取得・日射遮蔽とか、景観を取り込むなどの視点もありますが、ぜひこの目的意識で考えてみてください。おはようなのか、おかえりなのか、くつろぎなのか、集中なのか。4つの目的で考えていただいても、すごく素敵な窓の配置を作っていけると思います。ぜひ参考にしてみてください。

家づくりのことなら、なんでもお気軽にご相談ください
お電話でのお問い合わせ
受付時間 9:00〜18:00 【水曜定休】