小屋裏エアコンは後付けできるのか?
今回は、小屋裏エアコンは後付けできるのか?というテーマで解説します。
今年の夏も暑いですね。そういう暑い夏の中で、私たちは小屋裏エアコンという方法を扱っています。「小屋裏エアコンはなかなかいいですね」「涼しくて、やってよかった」などと思っていただけるお話も聞く中で「小屋裏エアコンをやっておけばよかった」「これってうちの家じゃ無理なんですか?」「後付けできないんですか」などと詰められる時もあります。
できるかできないかでいうと、「条件次第です」という答えになります。ではその条件とは何かというのを、お話したいと思います。
小屋裏エアコンは難しい部分もあって、私たちも苦労しながらやっています。特に、今はものすごく暑くなっていて、何年か前にやらせていただいたお客さんの家で、建てた当時は良かったけど、想定以上に気温が高くなって効きにくくなったということもあります。でも一方で、シンプルに考えればできる要素もある、というのが今日の答えです。そのために、まずは小屋裏エアコンが成立する前提を確認しておきます。
小屋裏エアコンの前提は、何と言っても屋根断熱であることです。屋根断熱でないと、小屋裏エアコンは機能しません。小屋裏・天井裏というものは、天井断熱でも屋根断熱でもあるのですが、その小屋裏空間を利用して空調していくものなので、屋根断熱である必要があるのです。
さらに、昨今これだけ暑いと、屋根の表面温度は60〜70℃になることもザラにありますから、屋根断熱もしっかりする必要があります。16Kグラスウールやセルロースファイバーの換算で、最低でも200mmは必要です。これはいわゆる熱伝導率で0.04ぐらいです。フェノール系のネオマフォームだったら10cmでもいいかもしれませんが、私はもう少し厚くてもいいんじゃないかと思います。
2つ目が、一定の小屋裏スペース空間があることです。例えば、勾配がめちゃくちゃ緩くてスペースがなかったら、機械も入られないしダクトも敷設できません。さらに、エアコンを後から設置する際には潜って作業することになりますから、ある程度人が乗れる床がないといけません。絶対にできないという訳ではないですが、職人さんはできても、その後の掃除やメンテナンスはお客さん自身でやらなくてはいけませんから、床はあった方がいいです。場合によっては、一部梁の追加などが必要になることもあります。
さらに言うと、エアコンをつけた小屋裏の床の真下に個室群(子ども部屋や寝室)があると、ダクトを最低限にできます。場合によっては、エアパスファンを使えばダクトなしにもできます。そういうことがうまくできると、小屋裏エアコンは非常にやりやすいと思います。
3つ目に、吹き抜けやカウンターローファンをつけるスペースがあることです。小屋裏エアコンで簡単に冷房ができるのは、主に2階の小屋裏で、エアコンの直下の部屋です。でも実際は、リビングは1階にあることもありますから、1階に冷気を下ろしたいですよね。そのために、吹き抜けか、またはカウンターローファンという大量に冷気を送れる垂直ダクトを取り付けられるスペースが必要です。
そして4つ目に、忘れがちなことですけど、日射遮蔽ができていることです。南はもちろん、一部東西の窓も含めて、夏の強い日差しを遮断できないと、十分に冷えません。例えば建物の南に十分庇が出ているとか、シェード・葦簀・簾などで日よけができることが前提になります。
これらのようなことをやれば、場合によっては小屋裏エアコンがやれる、というのが、回答になると思います。ただ私が思うのは、そういうことを思われる方は、小屋裏エアコンが欲しいのではなくて、1〜2台で運用できる全館冷房がしたいんだということです。その手段としては、小屋裏にこだわらなくてもいいことも頭に置いておいてください。
例えば、私の友人で岡山の小林工業の社長さんが得意にされていることでは、2階のホールを利用する方法があります。階段を上がって踊り場みたいなホールがありますが、そこにエアコンを設置して、そのホール空間を十分冷やして、そこから各居室に冷気を送る方法です。あるいは、例えばリビング階段などが一番やりやすいんですけど、階段の形を使って、そこから冷気が行くようにすることもできます。
ちなみに、今回当社もほぼ平屋というモデルハウスをやっています。これは小屋裏エアコンならぬ、2階のホールエアコンで全館冷房を実現しています。興味がある方は、どんなことなのかをぜひ見に来てください。
もう1つは、収納の上部を利用する方法です。例えば2階建てのお家では、ウォークインクローゼットや納戸がある家が多いと思います。そのようなお家なら、ダイキンさんが出しているアメニティエアコンというタイプのダクティングエアコンがいいと思います。ルームエアコンほど世の中に多数出回っているわけではないですが、非常に実績のあるエアコンです。これをウォークインクローゼットの上部に取り付け、ダクティングで冷気を送ります。大体クローゼットは寝室や廊下に面しているから、そういう点もうまく使って冷房できます。
後付けリフォームで・後施工で全館空調をやりたい方は、こんな感じで小屋裏エアコンを後付けしたり、2階ホール利用・収納上部利用もあるということを踏まえておいてください。その上でお家の現形の特性を見ていただいて、ある程度小屋裏エアコンをやり慣れていて、いろんなことがわかっている方に相談してやられると、できる可能性は一定パーセントはあると思います。ぜひ参考にしてください。