メニュー

Movie

トップページ / 動画 / 初心者の方におすすめ / 工務店の親父が考える玄関のポイント

工務店の親父が考える玄関のポイント

今回は、玄関を考える時のポイントについて解説します。

リビング・キッチン・水回りの配置がある程度決まってくると、次に心配になってくるのが玄関ですよね。

ある打ち合わせの時、お客様に「玄関ってどういうことを気にしたらいいんですかね?」と聞かれました。なので今日は、僕が工務店のオヤジ目線で玄関の気にするポイントということに関して解説したいと思います。

玄関には、なくてはならない4点セットがあります。ドア・表札・インターホン・照明です。これは最低限あった方がいいというか、ないと不自由かなと思います。これらをどう展開していくのかは、頭に置いておいてください。

次に、玄関は外と中とを仕切る境界線の部分になるので、第一の境界はドアです。京都に行ったら、路地に面してガラガラと開く格子の引き戸があって、中に入ると土間があり、そこにもう1個扉があるような造りのお家がよくあると思います。ああいう二重ドアみたいなやり方もあるし、開けたら即入れるという一重ドアというやり方がありますよね。

土間で言うと、狭いか・広いかという問題もあるし、屋根があるか・ないかによっても全然違います。ドア(戸)に関しては開きなのか引きなのか、開きの場合は袖付きなのか、親子ドアみたいな感じで小さい扉と大きい扉のドアなのかみたいなことを、機能としても決めないといけません。

引き戸は場所を取らないから非常に好む人が多いのですが、1つの弱点としては気密が取りにくいことです。これまでの日本ではあまり気にされていませんでしたが、玄関も暖かい家を考える場合はドアの機能が重要になります。

例えば窓はすごく気にして樹脂窓にしたんだけど、あまりドアは気にしてなかったということもあるので、ここら辺はチェックがいるかなと思います。

さっきちょっと言いかけましたが、玄関を開けた時に何があるかというのも重要です。例えば開けたら土間があるというのは普通だと思いますが、リビング空間になっているお家もあります。

造りによってはドアを開けてすぐ階段がある家とか、ドアを開けたら向こうにFIX(はめ殺し)の大きな窓があって、その向こうに綺麗な山や庭木が見えるみたいな。こういうのもすごく素敵ですよね。玄関に入ってどんなものがあったら豊か・素敵か、みたいなことをチェックしてもらったらいいかなと思います。

あとは昔の日本の家屋にあったものに、玄関の脇の大きな保管庫があります。極端に言うと
玄関に押し入れがあった方がいいみたいな感じです。

玄関先に置きたい物には、意外と重い物(タイヤなど)や外使いの物(ほうき・ちりとり・鎌・ハサミみたいなもの)があるかもしれません。自転車・子どもさんの三輪車・バギーとかも、玄関の土間に置くのもいいのですが、ちょっとしまえる所があると非常にスッキリすると思います。

特に保管庫としての収納機能は、よく考えて取っておいた方が家は片付きます。玄関が小さいから物が散らかるということがあるので、ここは気にしておかれてもいいと思います。

あとは2WAY玄関というのも最近流行ってますよね。お客さん用のパブリックな部分と、ちょっと入った所の家族用のプライベートな部分。

例えば年頃の男子が大きな靴を下駄箱に入れないで脱ぎっぱなしみたいなことがあって、玄関が靴だらけになって嫌だと言うお母さんがいるじゃないですか。そうすると2WAY玄関は非常に有効かなと思います。

下駄箱って、設えてあるものはあまり容量がないんですよね。でもスポーツをやっていたり靴好きだったりする家庭は、2WAY玄関が非常に有効かなと思います。

あとはプライベート玄関という形もあります。簡単に言ったら靴が脱げる勝手口です。外に土間を作って入ってくる勝手口って結構あるんですけど、靴が脱げないですよね。スリッパを置いていても、雨が降ったらベチャベチャになって履けません。

場合によっては、玄関の方向と駐車場の方向が遠かったら、駐車場側にお勝手を作ってそこにプライベート玄関を作るのもいいのかなと思います。

もう1つ僕が気にするポイントは、第二の境界線、玄関框というやつです。玄関の土間と1階の床との間にある太い木を框(かまち)と言います。框というものが玄関の空間を支配するんです。

例えば今はバリアフリー玄関が主なので、玄関土間から1階の床までは20cm前後が多いと思います。ただ、僕みたいに歳を取って膝・足首が痛い時に、20cmのところに座って靴を履くのは苦痛というかやりにくいんです。

そういうリスクを減らすには、框の横にベンチをつけたりすることも有効だと思います。造り付けのベンチでもいいし、小さな椅子を置くのでもいいです。框の境界線の取り方とか、框面と土間天との高さの差はよく頭に置いておかないといけないと思います。

これはよく松尾先生にも教えていただくのですが、斜め框プラス2段です。2段斜め框みたいな感じですね。この利点は、垂直に框を入れたら間口は小さくなるけど、斜めにしたら玄関をちょっと広めに使えることです。

バリアフリー玄関で1階の床との差が20cmと言いましたが、土間天から框までを40cmにして中間に20cmのステップをかますイメージです。

40cmは、人が腰掛けるのにちょうどいい高さで、いわゆるブーツや長靴を履く時なんかも座って履けるので重宝しますし、お年寄りや足腰の調子が悪い時にもやりやすくて良いです。腰掛けると狭い玄関でも融通が効くので、斜め框の境界の取り方も非常に玄関を機能的にします。

ちょっと変わり種で言うと、アール框なんてものも空間的にも意匠的にも面白いし、アール框は框の総長が伸びるから、そういう意味でも使い勝手がいいんです。こういうところも覚えてください。

次に風除室という考え方です。北海道なんかの寒い所に行ったら、必ず家の前にガラスのケースみたいなものがあって、文字通り一旦そこで風をせき止めます。そして奥に玄関ドアがあります。

外が-10℃・-15℃の世界のところは重宝するのですが、僕たちの住む姫路のような温暖地なら、玄関をストレートに入って框を上がった所の土間を建具か何かで仕切って、疑似的にショックを吸収する空間を作る方法もあります。風除室の考え方も頭に置いておくと、特に冬に道路から強い風が入りやすいお家は重宝されると思います。

あとは、いきなりクローゼットです。さっきは保管庫としての収納と言いましたが、玄関に欲しいのはクローゼットですね。玄関を入ったところにクローゼットがあったら、コート・ダウンジャケットとか帽子・かばんがポンポン置けるので重宝します。

僕の知り合いに土木関係のオヤジさんがいます。「俺は外で泥だらけになって仕事から帰ってくるから、女房に『泥を持って上がって来ないで』と言われて玄関先で服を脱がなアカンねん」と言うのです。

「ただ、うちの家の玄関は寒いからホンマに困ってんねん」と言っていましたが、その方は断熱リフォームをされて玄関が暖かくなってストレスがなくなったとおっしゃっていました。せっかく脱ぐんだったら、その場でルームウェア・ジャージとか着られるようなものを掛けておいてもいいかと思うので、そういうスペースがあるとすごく便利だと思います。

あと欲しいものと言えば、玄関に水道があった方がいいですよね。元気なわんぱくな男の子がいるようなお家なんかは、立水栓の1つでもあるとすごく重宝します。それと最近でしたら、宅配スペースも玄関を考える時に機能として考えるといいポイントだと思います。

僕の家は土間と1階床との差は18cmぐらいしかありません。80代の母と同居していますが、最近の母を見ているとそれでも段差があるんです。だから玄関の土間の間にすのこを置いてます。

年老いた母は足腰の調子が悪かったら、20cmも跨いで上がれないんです。だから一旦すのこの上にチョンと足を掛けて上がると、非常に快適に上がります。

普通に歩くなら大体40〜45cmくらい幅があった方がいいと思いますが、元気な男の子とか若いご夫婦ならもっと狭く25cmぐらいでも歩けますよね。

キャットウォーク的に細いすのこを置いたり、細い玄関框の延長で家族玄関と繋ぐみたいなことも、有効かもしれません。あまり寸法を狭めたら危なくなるので注意してほしいんですけど、そういうのもいいと思います。

あとはそもそも、玄関の位置決めは重要です。本当は一番最初に考えないといけないんですけどね。キッチンに近い玄関の方がキッチンの搬入がラクだし、車庫から入ってきてすぐに玄関がある方がいろいろラクです。

また、道路境界線や車庫からのアプローチを長く取って、そこに草木を植えたりちょっとした照明をつけたりして、旅館のアプローチみたいにムーディーにするのも楽しいし、敷地に余裕があればこういうところもポイントになります。

玄関を考える時はこんなことも役に立てていただいたら、素敵な家づくりになるんじゃないかと思います。ぜひ参考にしてみてください。

家づくりのことなら、なんでもお気軽にご相談ください
お電話でのお問い合わせ
受付時間 9:00〜18:00 【水曜定休】