風通しのいい家は本当に涼しいのか
今回のテーマは
風通しのいい家は
本当に涼しいのか
です。
家づくりを考える
時に風通しを気にする
方がよくおられます。
特に僕より年長者の
シニアの方、僕の
お爺ちゃんなんかが
よく言っていました。
風通しのいい家に
せなアカン、と。
お爺ちゃんたちが
風通しのいい家を
求めたのは、まさに
涼しさという所と、
家のために風を通して
おいた方が家の保ちが
良いと、そんな事
だったと思います。
でもこの涼しさという
テーマで考えた時に、
今の現代社会では
なかなか難しい問題に
なっています。
例えば個人的な経験で
言いますと、僕は結構、
山の上の郡部の村で
育ったんですね。
ですから子供の頃は、
大きい部屋に蚊帳を
吊って、広縁の方を
開けて風を通して
いました。
夏でも涼しくて、
よく眠れた経験が
子供心にあります。
僕の故郷にはまだ
親族が住んでいますが、
彼たち彼女たちに
聞くと、最近の日本の
気候ではそういう
暮らし方はできない
そうです。
もう暑くて、
閉め切ってエアコンを
かけないと寝れないと
言っています。
風通しを確保したから
と言って、涼しさには
繋がらないんですよね。
北海道はちょっと
違うかもしれませんが、
それ以外の地域は
夏の湿気の多さや
気温の高さというのは
昔の日本ではないです。
だから風通しを
よくしても、
湿気や熱が入ってくる
だけなので、全然
快適ではありません。
これからの
日本の涼しさというのは、
きちんとした空調計画を
して、クーラーが効く
家にする、もうこの
一つしかないというのが
現場を見ている僕の
今の実感です。
もし涼しい家が
欲しいという事で
風通しを気にする
ということであれば、
それは優先順位なので
それもやった方が
いいですが、やっぱり
空調計画がしっかり
されてるという事に
重きを置いていただき
たいんです。
ぜひそういう視点で
これからの家づくりは
やっていただきたいと
思います。
その中でその理由を
もっと強く言うと、
例えば夏に涼しい家の
イメージというと、
田んぼがあって広い所で
一軒家が建ってる様な、
もうこれ以上風通しの
いい家はないみたいな
所を思い浮かべる人も
いると思います。
でも実際、夏場に
そういう田んぼの中の
一軒家に行ったら、
田んぼの水もお湯
みたいになっていて、
熱風で湯気があおられて
入ってくるみたいな感じで
サウナになっている様な
状態でした。
もう本当に余程の
条件でもダメです。
都市部に行ったら
もっとダメなのは、
建て込んでいて
隣近所の家がいっぱい
近くにありますよね。
みんな暑いから、
クーラーを付けています。
室外機から出ている
熱風がすぐ傍にある
状態です。
だから外気は
夜になって下がるかも
しれませんが、
エアコンがフル回転に
なっているので、
熱風でかえって
夜中の方が暑いという
ことは都市部で
よくある話です。
風通しを考えて
涼しさを求めるという
基本の考え方は、
これからはもう諦める
ということを頭に
置いておいて欲しいです。
あくまで涼しさに
関しては空調計画で
担保する。
だから風通しを
求めると、窓をいっぱい
作るじゃないですか。
窓をいっぱい作ると、
そこはエネルギーの
ロスになるので、
せっかく冷やした家が
涼しくならないという
二律相反する問題に
なります。
風通しを求めたが故に
開口の大きい窓を付けて、
それがアダになっている
という事もあり得ます。
ぜひご注意をして
いただきたと思います。