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1種換気と3種換気はどちらが良い?

今日のテーマは換気装置についてです。第一種がいいのか、それとも第三種がいいのかということについて、僕が考える現時点での回答をしていきたいと思います。

まず、みなさん第一種換気と第三種換気の違いってご存知ですか?
少し説明をしておきますと、日本の住宅には24時間換気が義務付けられています。その理由はシックハウス症候群への対策ですね。空気をいつもフレッシュにしておくために、換気装置を付けなさい、ということになっています。

換気の仕方には大きく分けて3種類の考え方があります。

1番目の考え方が第一種というものです。換気というのは換気だけでは成立しないんですね。
給気と排気があって、この2つが循環することで換気が成立します。

給気は外の空気吸い込んで室内に入れることになります。一方で排気はファン家の中にある汚くなった空気を出すことになります。この給気と排気の両方を機械、つまりファンを使って行います。さらに熱交換と言って、外の空気を室温に近づける熱の交換もした上で吸気と排気を行います。これが第一種換気になります。

第三種換気はシンプルです。給気口に関してはガラリ(=通気口)が開いてるだけです。排気に関してはファンで強制的に出すようになっています。レンジフードとか付いてるものも排気を強制的に出す仕組みになっています。

ちなみに第一種換気・第三種換気があるので第二種換気もあります。これは給気は機械でやって、排気は自然に出すものになります。第二種換気は病院の無菌室とかに使われるもので、住宅に使うケースはほとんど無いです。

住宅に話を戻します。第一種換気と第三種換気には、それぞれメリット・デメリットがあります。どういう視点で選んだらいいのか?という話をしていきますね。

ジャッジに関しては3つの視点があると言われています。

1つ目は快適性。第一種換気の家と第三種換気の家、どっちが住んでいて快適かということです。
2つ目は光熱費です。換気をするのだから光熱費が掛かりますよね。加えて冷暖房器具も使って住むことになりますから、換気だけじゃなくて、換気+冷暖房の光熱費という考え方をする必要があります。

3つ目がイニシャルコストとランニングコストです。
イニシャルコストは設備を付ける時の金額で、ランニングコストは設備を付けてから発生する金額、つまりメンテナンスコストになります。

僕の尊敬する技術者に森京介さんという方がいらっしゃいます。温熱や換気に関して詳しい方でYouTubeもされてるので、よく勉強させていただいています。その森京介先生のシミュレーションで非常にわかりやすい例があります。

冬の時期、外部の気温が0℃・湿度が70%だったとします。家の中は室温20℃・湿度40%だとして、第一種換気を回している家と第三種換気を回している家は1時間後どうなるか、という内容です。

第一種換気は、当然、熱交換をしてます。1時間後の変化は室温18℃・湿度38%にだったそうです。室温は2℃位しか変わっていないので優秀ですよね。第三種換気は1時間後、室温10℃・湿度55%だったそうです。室温が10℃も下がっているんですね。なので冬場の快適性でいうと、熱交換してくれる第一種の方に軍配が上がります。

夏はどうなのかと言うと、外部の気温は35℃・湿度55%だとします。室内は冷房が稼働していて室温26℃・湿度 50%ぐらいだとします。

先程と同じように1時間後の変化を見ると一種熱交換型の家は室温が26℃→26.9℃・湿度は50%→60%になりました。第三種換気の家は26℃→30.5℃、湿度は50%→55%になったそうです。

冬ほど大きく変化はしませんが、夏場もそれなりに室温が変わるよね、ということになります。なので一種を推す人が[快適性が全然違う]とおっしゃるのも頷けます。

一方で光熱費を考えるとこうなります。
本州で最も多い6地域で第一種換気の家であること、省エネ効果を推計するプログラムがデフォルトであることを考慮したうえで計算します

第一種換気で運用した場合、年間の暖房費用は33,689円、冷房費用は16,698円、換気にかかる費用が27,675円。つまり78,062円の光熱費がいるということがシミュレーションで出ます。(実際このくらいの金額がかかるはずです)

一方で第三種換気にすると、暖房費は明らかに増えますが、冷房費はそんなに変わりません。シミュレーションの結果は暖房費が37,368円、冷房費が16,698円になりました。

不思議ですよね。みなさん夏の強烈な暑さを体感しているので、換気したら冷気がすごい損なわれると思うのですがエアコンって意外と優秀で、あまりお金かけずに涼しい状態をキープしてくれるんです。
なので僕らとしては冷房は切らないで、どんどん使ってほしいという気持ちがあります。

では第三種換気の換気に掛かる費用はと言うと12,600円になります。第一種換気の半分以下です。

それぞれトータルしたらわかりますよね?光熱費という視点で見ると、第一種熱交換型って意外に光熱費が掛かるんです。なので熱交換型は、冬や夏はメリットが大きいですが、中間期は熱交換する必要ないですよね。でも、その期間も、たくさんファンを回してることになるから、ちょっと不利になるケースがあります。これが意外に感じられる人が多いと思います。

「第一種は光熱費も安いんじゃない?」みたいなイメージがあって「それなら暖房費も得するやん」という感じのまま取り付けると、実は換気に結構なエネルギーが掛かっていて、思いもしない結果になる、というケースもありえます。あくまで6地域のシミュレーションになりますが、気をつけてください。

最後にイニシャルコスト・ランニングコスト(メンテナンスコスト)になります。
イニシャルコストの場合、第三種はご存知のとおり、あまりがお金が掛かりません。器具の金額で言うと、1軒あたり10万前後であることが多いです。第一種は幅がありますが、1軒あたり30万〜50万ほど掛かります。ちなみに第一種はダクト工事が必要で、それにも30万〜50万ぐらいかかります。これは建物のつくり方に左右されますが、こういった金額が発生します。

なので、それぞれのイニシャルコストを考えると、第一種と第三種とでは導入コストの差が80万〜100万ぐらい違うと言われています。

ちなみにメンテナスコストは第一種が第三種より年間何千円〜1万円くらい高くなると言われています。フィルターやファンに掛かるお金ですね。

コストバランスを考えると第一種換気は導入にもメンテナンスにもコストが掛かります。あと第一種換気を取り付けた家でよく聞くのが、お客さんがあまり掃除をされていなくて、熱効率が落ちたり臭気が排出されにくくなっていたということを聞きます。工務店の人がメンテナンスに行ったときに見てみたら、フィルターが目詰まりしてたとか部品が壊れていたということも聞きますね。

あと第一種換気はダクトを通す必要があるので、デザイン的にも制約がいろいろとあります。

まとめると換気システムを選ぶときは、まず自分たちが住んでるところがどこなのかが大きな基準になります。たとえば僕は関西地方に住んでいるので6地域になりますが、北海道や長野のような1地域・2地域になると熱交換が重要になります。

もし僕が北海道で家を建てるなら第一種換気にします。でも関西で家を建てるなら、第三種換気にするという選択肢もアリです。

これは住む人の考え方によります。例えば病気を抱えている方がいるとか、より心地いいお家にしたい、メンテナンスは自分たちでこまめにする、ということであれば第一種換気でいいと思います。

でも「僕はちょっとものぐさだから」とか暖房費用・冷房費用も含めたコストを考えると、姫路は瀬戸内気候区で温暖なので第三種換気でもいいのかなと思うんですね。

最近、松尾和也先生もよくおっしゃいますが、第一種換気の設備費用を光熱費で取り返すというのは、なかなか難しいです。

なので、予算がある人は第一種換気を付けられたらいいと思いますが、予算が厳しいなら第三種換気にするという考え方があります。

ただ、第一種換気にも、こんなものがあります。
三菱さんが取り扱っている第一種換気で「ロスナイ」というものがあります。昔からあるもので金額もそこまで高くないんです。僕は1つだけ短所があると思っていて、小さなエアコンぐらいのサイズ感なんですよね。なので、デザインにこだわる人からすると気になると思います。

僕はコロナのことがあってから、窓はなるべく閉めておきつつ、空気を変えたい気持ちが強くなりました。そうすると「ロスナイっていいな」と思うことが増えたんですよね。

デザインのことだけクリアできれば、なかなかコストパフォーマンスが高くて、熱環境も良くなる良い機械だと思っています。

今回の内容をまとめますね。
まず、住んでいるエリアが6地域であること、そして建物の気密がしっかり取れてることを前提にするなら、僕は第三種換気でもいいかなと思います。でも「第一種がいい」というなら第一種換気を取り付けてください。
第一種と第三種とで迷っていて、デザインがそこまで気にならないのであればロスナイを使うという選択肢をオススメします。

このような形で第一種換気か第三種換気かを決めていただけたらいいと思います。

ちなみに建物の気密がC値=2ぐらいの家だと第一種換気の方がいいです。第一種換気は建物の気密が低くても、換気しっかり行ってくれます。一方で第三種換気はC値=1以下の高気密な建物でなければ、思ってるように空気が流れないので機能しにくいです。これを知って置かないと本末転倒になってしまいますので、最後に1つ付け加えておきます。

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