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住宅関連の保証に加入する時の注意点

今回は住宅関連の保証に加入する時の注意点について解説します。

家づくりを考えているお客様から「いろんな保証制度がありますが、どんなものに入ったらいいですか?」という質問を受けました。今日は保証の考え方について説明していきます。

「保証」という言葉はよく聞きますが、これは大きく2つに分けられると思っています。1つ目は、これから家づくりを任せる工務店さん・ハウスメーカーさんが、お施主様に対してする保証です。2つ目は、お施主さん・工務店さん・ハウスメーカーさん以外の第三者が、責任を持って何かを保証するものです。それぞれの中身に関して解説していきます。

まず、契約する工務店・ハウスメーカーが保証するタイプについてです。代表的なものに、基本保証があります。基本保証に関しては、構造体の保証、雨漏りに関する保証、シロアリに関する保証の3つがあります。これらは大体10年保証がスタンダードだと思います。

10年保証を言い出したのは大きな会社さん・メーカーさんだったと思いますが、これは2000年から義務化されました。契約不適合責任といって、昔の瑕疵担保責任がこれにあたります。会社が大きくても小さくても、10年間は契約が不適合にならないように守る、責任を負わないとアカンという法律が作られました。

そういう背景から、大手ハウスメーカーさんでは「20年構造保証します」「うちは30年保証します」という会社が出てきました。「やっぱり大手はすごい」という感じもするかもしれませんが、これに関しては少し注意した方がいい点がありますので、後ほど説明します。

基本保証は、請負者の会社さん自体が担保します。しかしそれを裏で下支えするものもあります。それが設備・素材メーカーの出している、独自の保証です。例えば、よく屋根の性能の話で出てくるルーフィング(防水紙)では、10年・30年・50年保証などがあります。また、無結露補償(ある断熱のパネルを使ったら結露がないことを保証します、みたいなもの)や、防水に関する保証もあります。これらの保証は素材メーカーが言っているものですが、もしなにか事故があった時には請け負われた会社さんに言うべきです。

ただ、基本保証で30年保証と書いてあっても、実はこれには条件があるんです。契約書・カタログに小さく書いてあるのですが、点検・適切な補修工事をすることが前提になっています。だから、10年までは問答無用で何かあったら保証となりますが、それを超えると多くの会社さんが「10年の時点で1回点検させてください」と言ってきます。点検だけなら無料かもしれませんが、ここで何か問題が出ると「補修工事が必要です」と言われます。そこで「そんなお金はないから補修工事はしなくていい」と断ると、「保証はもうここで切れます」と言われます。

補修は有償ですから「点検・補修したらいくらでも保証期間を延ばす」というのは、ある意味誰でも言えることではないかと思います。怒られるかもしれませんが、それほどありがたいことでもないんじゃないかとも私は思います。

よく「超長期保証」「60年保証」と言いますが、あれは絶対に途中の点検・有償工事による補修工事が必要です。「60年間全く何もせず、完全に保証してくれる」ということではないと覚えておいてください。

それと合わせて、大事な保証的なお約束として、定期点検があります。例えば、家を建ててから6ヶ月・1年・2年・10年で行うようなものです。それ以降は15年・20年点検もあります。大きい会社の場合は無料で点検してくれることもあるかもしれませんが、点検をして問題があったら「有償の補修工事をやりませんか」と言われるので、実際は点検という名のリフォームのセールスです。

私の感覚では、5年ぐらいで少し気になるところが出てくると思うので、2年・5年の点検は来てもらうといいと思います。それから10年目は、瑕疵担保を守る契約不適合責任の1つの節目になります。例えば10年半で何か問題があっても嫌なので、ここでも見ておいてもらうといいです。

それから、設備の保証もあります。これは会社さんによってばらつきがありますが、お客さんにとっては実害としてすごくリアルに感じるものです。例えば家電量販店さんで家電を買うとわかると思いますが、パナソニックさん・シャープさん・日立さんなど、家電メーカーさんの保証は大抵1年です。住宅も、住設系統はだいたい1年保証が多いですが、中には2年・5年保証してくれるところもあり、強者は10年保証してくれるところもあります。

機械が壊れるのは10年目ぐらいだと思います。だから10年保証だとしても、10年を超えて壊れたとしたら、口の悪い言い方をするとハズレです。保証の範囲から少しマイナスに傾いている時は、5年ぐらいなら保証をしてくれる所もあり、結構手厚い印象があります。

これらが、請負・契約をしてくれている会社そのものがする保証です。一方で、私が質問を受けた「何の保証に入ったらいいんですか?」というのは、第三者がする保証のことを聞かれていると思います。その代表的なところを見ていきます。

まず、地盤保証です。家づくりは基礎から始まりますが、基礎を考える上で一番大事なのが地盤です。今は新築を建てる際に、その土地の地盤調査が義務付けられています。その調査の結果に基づいて、基礎の仕様・鉄筋の量を調整したり、地盤自体が軟弱だったら補強をしないとアカン、などということが義務化されています。

地盤に関しては、問題があった時には担保される事が重要になるので、地盤保証という制度が出てきました。大手ハウスメーカーさんは、地盤保証も自分の所でやっています。大手さんは規模が大きいので、供託金というものが使えます。銀行で言う貸し倒れ引当金で、トラブルがあった時にそこから使って直します。

しかし私たちのような小さい工務店では、そんなことはできません。私たちの場合は、地盤保障会社によってカバーします。地盤保証会社の裏には当然保険会社がついていて、そこの保険を使います。ですから、これから建築を依頼される会社さんが、地盤保証会社に加盟・登録されていることはチェックしておいてください。

地盤保証は大体、10年保証か20年保証が用意されています。地盤保証のプロフェッショナルの方に聞いた話では、もし地盤に何かあったら、問題は早ければ数年、長くても10年以内に起きるそうです。10年無事だったら、それ以降は無事だということもかなりあるそうなので、10年保証でもいいのかなとも思います。

ここで注意してほしいのが、地盤保証の免責事項です。まず、天災は免責です。例えば地震・地割れ・土砂崩れ・洪水・津波などにまつわるものに関しては、地盤保証の適用外になります。地震で地盤が動いて家が傾いても、これは免責だということです。これに対応するのは、地盤保証ではなく地震保険です。

ただ最近は、地盤保証の中でも液状化特約というものがあります。液状化して家が傾いたということに関して、担保できる特約を持っている保証会社も出てきているようです。ハザードマップを見て、もし液状化の危険がある地域だと出ているのなら、地盤保証に液状化特約が入っているかを見るのも大事なポイントだと思います。

次に、住宅瑕疵担保責任保険です。これは10年保証を担保するためのもので、義務化されている、絶対に入らないといけないものです。大手さんはこれも供託してやっています。2000年以降は、品格法によってこの縛りができたので、今は10年保証があらゆる会社で担保されていることがとても魅力です。小さい会社では廃業・倒産の可能性もありますが、これは会社が無くなっても有効ですので、知っておいてください。

次に少し変わったもので、完成保証があります。大手さんが倒産することはあまりないかと思いますが、昔大きな証券会社も倒産したことがあるぐらいですし、住宅の着工棟数が減っている中では大手ハウスメーカーの統廃合もあるかもしれません。小さい会社なら廃業の危険性もありますし、最も怖いのは倒産です。倒産は突然起こります。そうなった時に、建築工事を引き継いで代わりにやってくれる会社を探したり、次にやってくれる人に対して払うコストを守ってくれたりするものです。心配な方は入られてもいいと思います。

完成保証を迷っている場合は、これは裏技ですが、まずは「御社は完成保証をできますか?」と聞いてみてください。「うちは加盟しているのできますよ」という会社なら、この保証に入らなくてもある程度は安心だと思います。というのは、加盟させる時に保険屋さんがその会社の財務状態をある程度調べて、状況がよくなかったらそもそも加盟できないんです。「完成保証は必要ない」と言う会社には2つのパターンがあると思います。1つは加盟できないことを隠しているか、もう1つは家が完成する1年そこらの間では絶対に潰れない自信がある会社です。それがどっちなのかは、聞いておいてもいいと思います。

次に、設備保証があります。先ほど話した設備保証はメーカーさんがするものですが、外部にも設備保証をする会社があります。例えば家電量販店で、5年・10年延長できる保証がありますよね。あんな感じのもので、ある機関にお金を払ったら5年・10年は修理費用・交換費用を保証してくれるものです。

これのいい点は、結構幅広いトラブルに対応してくれることです。どこで買ったものでも全部保証してくれたり、家の設備以外のことも対応してくれたりします。また、24時間対応窓口みたいなものがあることもポイントです。大体月1000円程だと思うので、その値段なら入るのもありかな、とも思います。

個人的には、貯金でカバーする方法も悪くないと思っています。私が新築を建てる人によく言うのは「家電貯金をした方がいいよ」ということです。家を建てるのは、結婚して5年ぐらいの人が多いです。それから大体5年後に、新婚の時に買った家電が壊れるんです。この時に、例えば月に5000円を、10年貯めたら60万円貯まります。これぐらい貯めておくと、やりくりもしやすいと思います。修理としての貯金で考えるなら、月に1000円ずつ貯めても10年で12万円貯まります。これぐらいあると、修理は大体カバーできると思います。そんなことも頭に置いてもらえたらと思います。

最後に、家の保証という感じではないですが、地震保険もあります。例えば活断層の近くに家を建てないとアカンとか、怖い地震が何十年に1回は来るかもしれないなどと言われている地域の場合は、入られてもいいと思います。ここで注意していただきたいのは、地震保険は全てを補填するものではなく、生活の立て直しの助けになるものだということです。そこを誤解しないでください。

保険というのは元々そういうものです。例えば生命保険なら、その家の世帯主・稼ぎ手に何かあった時に、ショックを和らげるものです。怪我したお父さんを治したり、生き返らせたりするものではないです。地震保険も、ショックを和らげて立て直しを促進するものです。これをやったから全部報われるとは限らないと思っていただいて、第三者保証を考えていただくといいと思います。

地震保険に関しては、耐震等級3などの家そのものの基本性能も、保険以上に重要なものです。ここもぜひ忘れずにやっていただけたらと思います。ぜひ参考にしてください。

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