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家は若いうちに買う方が得する?

今日は、ある方からいただいた質問にお答えします。質問の内容は、「家は若いうちに買ったのがいいの?」というものです。

この質問は家づくりをする上で、普遍的な悩みかなと思います。今回も、こうして質問をいただいたので、改めて考えてみました。家を若いうちに買ったほうがいいかどうかを悩む心理は、一体どこにあるのかということを探っていきたいと思います。いろいろありますが、1つ大きな要素としては「損が得か?」ということですね。もう1つが、若いが故に、先走って買ったら何かとんでもない事が起きるかもしれない、という恐れです。

損か得かの視点で、よくお客様から出る話があります。それは「家賃って、掛け捨てみたいなものですよね」ということです。確かにどんどん払っていったら消えていきますよね。でも一方で、住宅ローンというのは金利も払うけど、少しずつ自分のものになる。だから急いだ方がいいのかなぁ、という考え方です。

ここでですね、この話について1つの結論を出しときたいんですね。この話って平たく言うと、持ち家がいいのか?賃貸がいいのか?ということになります。家賃が損か得かということで考えるよりは、住宅ローンを借りて家を持つことによって起こる資産効果や経済的リスクということで考えたほうが、僕はいいと思っています。

例えば、住宅ローンで3000万円を借りたとします。7年とか10年ぐらいの期間の中で、いろんな諸事情ができて、家を手放さないといけないというのが最大のリスクです。
僕の知り合いで、全国の工務店の社長さん50人くらいに、こんな質問をしてみました。「3000万の家買って、7年〜10年年経ったら、どれぐらいで売れるかな?」と。そしたら、ほとんどの社員さんが「1500万〜1800万円くらいかな」と言いました。価格の幅は地域によるものだと思ってください。価格に300万円くらい幅がありますが、簡単に言うと、7年〜10年経つと、家は買ったときの半分ぐらいになります。下落の仕方がすごいですよね。そう考えたら、家を買うことってリスクがあるんです。諸事情が発生するかしないかは人それぞれですが、今回のケースはあり得る話ですね。

売ること前提で考えたら、1800万はキツイ。1500万になるように、ちょっと頑張っていい土地を買ってリスク軽減する。それで3年間後2000万円で売る、という楽観的なシナリオを考えた時でもですね、今の資金の相場で言ったら、7年くらいで約200万を返済することになります。そうするとローン残高は2800万になりますよね。2800万のローンの残高に対して、売れた金額が2000万だとしたら、800万円の負債が残ります。この800万円がリスクの正体になります。

家を持つのが早い遅いとかは関係なくて、家を持つとこうしたリスクが1つはある、というのを知ったら、普通は怖くて買えないです。家をつくっている工務店の親父が、こんなこと言ったら「お前大丈夫か?」と言われそうですが、正直そうなんですよね。だからここは、最初から知っていただいた方がいいと思います。

このリスクを知った上で、僕は今回の質問者の方にお聞きしたいことがあります。家を買うのはお金の面で確かにリスクがあります。でも、あなたにとって、家を持つことに値段以上の価値はありますか?もしあるなら、それは何になりますか? ということです。カッコよく言うと「付加価値は何ですか?」ということですね。

この付加価値を考える時、僕たち工務店の親父は、“大きな質問”と言うのを投げかけます。家づくりをするとき、いろいろな質問をします。「どんな家がほしいですか?」とか。いろいろ聞くんですけど、僕が一番聞きたいのは「そもそも、なぜ家建てたいんですか?」ということです。だからね、うちの会社にいらっしゃったお客様に、出し抜けに「あなたは、どうして家建てたいんですか?」と聞いてしまうことがあります。みなさん、すごく不思議な顔されますすが、僕の中では絶対に外せない質問です。

家が欲しい、とにかく欲しいという気持ちは分かる。じゃあ、何で欲しいの?ということなんです。

僕が、その質問を投げかけられたときのことをイメージしてみました20年前に家を建てたので、その時の事を振り返ってみました。そうすると「家は家族の求心力やなぁ」と思ったのが、僕の答えになります。今、僕は58歳です。自分の昔話で恐縮ですが、僕が小さな頃のレジャーというのは田舎にある両親の実家に行くことでした。今はどこかに旅行する家族も多いですが、そういうことはお金持ちの家じゃないとできないことでした。お盆とか年末年始に、おじいちゃんやおばあちゃんの家に行きますよね。その時、僕が楽しかったのは、従弟のお兄ちゃんお姉ちゃんだったり、弟や妹みたいな子達とわっさわっさ遊ぶこと。川遊びしたり、餅つきしたりね。そういうことを振り返ると、家というのは僕にとって郷愁と言うか、ノストラジックの根源なんです。今もそうです。

今は、娘たちが大きくなって。長女は社会人になって、離れたところで暮らしてます。でも、休みになると帰ってきたりしてますね。次女は大学生で下宿生活してます。でも関西の大学なので、お姉ちゃんと同じように休みになると帰ってきてくれます。彼女たちが帰ってきたときは、やっぱり家の中がいつもより賑やかですね。僕が今この歳になって一番楽しい時間は、久しぶりに娘達が帰ってきて、みんなでワイワイ過ごしている時ですね。家には僕の母も住んでいるので、おばあちゃんも入れてみんなで過ごしています。

だから家というのは、家族が成長して、それぞれが独立しても、何かあれば戻ってくる場所になっているんですね。僕にとっての家の最大の付加価値は、これになります。だから僕は損得で家を建てていないです。すごく説教がましいおじさんの話で、若い人が聞いたら「なに言ってるの?」という感じがするかもしれません。でも、この質問に対する自分なりの答えを考えほしいんですね。

ただ僕が若い方に「どんな家建てたいの?」と質問しても、どういう風に言ったらいいのか分からないところがあると思います。僕が若いご夫婦とお話をしてきて、結構良いかなと思った1つの投げかけがあります。「あなた達が45歳とか50歳になった時に、人生に望むものは何ですか?」という質問です。大抵の人は「楽しく幸せに暮らしたい」とおっしゃいます。そこから、もう少し絞って聞いていくと2極に分かれていくことが多いです。

1つが、家族にまつわることを挙げる方。例えば「子どもを立派に育てておきたい」とか「夫婦で仲良く、新婚当初と変わらない恋人のような感じで暮らしたい」とかですね。もう1つが趣味とかライフスタイルに寄ったことを挙げる方。例えば「趣味も大事にしたいです」とか「旅行にもしょっちゅう行きたい」とかですね。

そうした話を聞いて僕は、家族のことが中心に出てくる人には「家を持ったらいいと思います」と言っています。「損とか得とか、リスクとかもあるかもしれんけど、それを超える価値があなたにあるからいいと思うよ。だから、そのための作戦を一緒に練ろうよ」となって、僕が相談の入り口になる感じですね。趣味の事が出てきた人に関しては「家に関しては吟味がいりますね」とお伝えしています。あるいは「建てるのもいいけど、コストは絞って、抑えるべきところは抑えたほうがいいね」と言っています。その上で、建てるかどうかを考えてもらうという感じです。

心理学者に名越先生という方がいらっしゃって、その方のお話で「ホンマにそうやなぁ」と共感したことがあります。名越先生は、人間が根源的に持ってる願望というのは究極2つなんだ、とおっしゃっています。1つが自由、もう1つが幸福です。名越先生は「自由というのは、一人で楽しむものなんだよ」とおっしゃっています。言われてみると、その通りですよね。

でも、幸福というのは違うそうです。幸福は恋人とか子どもとか、多くの場合家族と分かち合うものになります、と。そうするとですね、一生で稼ぐお金が決まってる以上、どこにお金のウエイトを置くか選ぶことになります。僕も結婚した時に思いました。嫁さん一緒になってくれた、子どもも出来た。「うれしい、うれしい。良かった。」って気持ち。一方で、結婚して小遣い制になって。子どもが生まれたので「パパ我慢するとこして」と言われて「俺もこぶつきになっちゃった」みたいな気持ちもあります。でも、よく考えたらバランスをどう取るかなんですよ。

例えば、僕の友人で古めのアパートに住んでいるご夫婦がいます。でも車はフェラーリとかポルシェで、海外旅行も割と行っています。2人は、車とか旅行の方に重きを置いているので、アパートは2人で住めたらそれでいい、という考え方なんですよね。そういうような生き方もあれば、家族のために、何かをやっていくという生き方もあります。自分の自由は少し我慢することになったけど、娘をちゃんと大学に通わせることができたとか、年老いた両親の面倒も見れたとか。そうした経験をして「これも良かったかな」と思う、みたいな感じです。だから自由と幸福のトレードオフという中で、例えば45歳とか50歳の割と近い未来を考えた時に「自分たちはどんな人生を望んでいるか」「どんなものを獲得しておきたいか」を考えた上で、家の価値を確認していただきたいんです。

まとめると、若いうちに家を持った方がいいかどうか?については、経済的側面で言うと誰にも答えは出せないです。なぜかと言ったら7年後、10年後のことは誰にも分からないのでね。でも、家を持つことの価値が自分の中にちゃんとある、ローンとかリスクのことを上回っているというなら、家は早いうちに獲得した方がいいと思います。こういう考え方も参考にしていただいて、家を早く持つべきなのか、それともゆっくり考える方がいいのか改めて吟味してもらえたらと思います。

最後、蛇足になりますが、住宅ローンを持つことと太陽光発電をすることは、ちょっと似てるところがあります。例えば住宅ローンを持つ時に、変動金利がいいか固定金利がいいかで悩む人がいらっしゃいます。変動金利は簡単に言うとハイリスク・ハイリターンです。固定金利はローリスクローリターンです。

月々の支払いが減るということは、家計に回すお金が増えるという事ですよね。太陽光パネルもつけたら売電できて、電気代が減るから、家庭に入れるお金が増える。でも、その浮いたお金をちゃんと貯金に回せるとか、お金のコントロールができたら、すごく得になりますが、多くの場合は浪費してしまいます。ランチに行ったり、外食で少しいいレストランに行ったりとかね。だから僕が思うのは、確かにローンというのはリスクがあるけど、お金をしっかり返していかなくてはならない、という強制性があります。ついつい浪費をしてしまう人には、歯止めとして働く側面があるんですね。

なので損とか得とか、数字的に考える人は、自分の自由意思をどこまできちんとコントロールできるかも考えた方がいいと思います。こんな視点も持っていただいて、「自分たちがどんな風に家づくりを進めるか考えていただいたらどうでしょうか?」というのが、今日のおせっかいおじさんからの提案になります。

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