いま一度ハザードマップについて確認する
▼重ねるハザードマップ
https://disaportal.gsi.go.jp/hazardmap/maps/
▼わがまちハザードマップ
https://disaportal.gsi.go.jp/hazardmap/
今日は、今一度ハザードマップについて確認していただきたいなと思い、そのことについて解説していきたいと思います。これから家づくりをされる方はもちろん、今お住まいの方にとっても、「もう住んでいるからしょうがない」ではなく、今一度ご自分やご家族のために確認していただきたいと感じています。
ハザードマップって何かというと、定義としては「自然災害による被害の軽減と防災対策に使用するために作られた地図」というものです。被災地想定地域や避難場所、避難経路などの防災施設の位置が表示された地図がハザードマップです。
こんなことは何度も聞いたことがあるかと思いますが、どこが出しているかというと、国土交通省が国土地理院を通じてまとめて出しています。都道府県ごと、市町村レベル、さらに細かく校区ごとのハザードマップもあります。例えば、僕が住んでいる姫路でも校区ごとのハザードマップがあって、これは非常に見やすく、僕らも家づくりの計画時によく参考にさせてもらっています。
最近では防災アプリもありますので、こういったものも活用していただきたいと思います。ハザードマップには、災害が起きた際にどんな被害が予想されるか、またどの場所に避難するか、どのルートを通るかなども記されています。
今回の悲劇も、こうした情報をしっかり確認していれば、防げたかもしれません。万が一災害が起きた際に、どこに逃げるか、どのルートが安全かを把握しておくことが重要です。また、浸水の危険度や、どれくらいの深さまで水が浸かるかといった情報も記載されています。
災害時には通行規制も起こりやすいので、例えば「この橋は通れない」「この道路は崖の下だから危険だ」といったことも分かります。過去に発生した災害の被害規模も記録されていますので、今は一見大丈夫そうに見える場所でも、そうした記録を読むことで新たな気づきが得られることもあります。
ハザードマップの代表的なものには、洪水ハザードマップがあります。これは、洪水になった際にどれくらい水が浸かるかを示すもので、例えば「5m以上」「3mくらい」「3m未満」などと記載されています。3m浸かる場所では1階が丸々浸かり、5m浸かる場合は2階まで浸かるということです。2階建ての家だと、逃げる場所は屋根しかない、ということになります。
また、土砂災害のハザードマップもあります。熱海や広島でも大きな土砂災害がありましたよね。
すごい勢いで土石流が来る場所がどこか、どういうところが危険かということも重要です。急傾斜地で地滑りが起きやすい場所がどこか、あるいは僕たちにはあまり関係ないかもしれませんが、雪深い新潟などでは雪崩がどのように起きやすいかという情報も含まれています。僕たちは雪崩の怖さを実感できませんが、小屋ぐらいは軽々と倒れる力があると言われています。こうした危険箇所が、土砂災害ハザードマップには記載されています。
また、津波のハザードマップもあります。これに加えて、高潮ハザードマップもあります。津波や高潮の時にどれくらい浸水するのか、5メートル浸かるのか、あるいは1メートル以下になるのかなどが想定されていて、地震が起きた時の状況も含めて書かれています。
もう一つ重要な情報として「道路防災情報」があります。自然災害が起きた時に、どの道路が通行規制になるか、通行困難になるか、落石や冠水があるかなどが記されています。こうした情報も確認することが大事です。
特に、新築を考えている方や建て替えを検討している方には、洪水、土砂災害、津波のハザードマップをしっかりと確認していただきたいです。僕たちが住んでいる姫路には、有名な山崎断層があります。また、最近よくマスコミが取り上げている南海トラフ地震、ここ30年の間に絶対に起きると言われています。先日、九州で南海トラフ地震の最初の警報が出て驚きましたが、九州、四国、近畿の南側、中部地方、東海地方などもリスクが高いと言われています。
瀬戸内海側に住んでいる僕たちにも、被害の想定があるので、こうした情報をしっかり把握しておくことが大切です。特に、液状化の危険分布も分かるようになっています。液状化は、例えば千葉などでよく耳にする現象で、地盤が波打つように変化してしまうことです。これに対して、地盤調査を行い、地盤補強をすることがよくありますが、家そのものには問題がない場合でも、配管や排水などのライフラインが液状化の影響を受けて壊滅的な打撃を受けることがあります。
そのため、こうした場所では、修理がしやすい家づくりを考え、多少費用がかかっても備えておく方が良いのです。だからこそ、このハザードマップをしっかりと読み込み、家づくりのパートナーとなる業者さんとも一緒に確認してもらうことが重要です。一人で読むのが不安であれば、複数人で見ておくのも良いと思います。
災害が本当に身近に起きた時、その悲劇を目の当たりにすると心が痛みますが、もっと大きな視点で見ると、20世紀から21世紀にかけて大きく変わってきたことがあります。それは、地震の頻度が20倍に増えているということです。これは明確な統計データで示されています。20倍です。20世紀を主に生きてきた方は「こんなものだ」と思われるかもしれませんが、今は違います。今の時代は、地震リスクが20倍に増えているということを忘れてはいけません。
そして、世界全体で見ると、地震の頻度が20倍に増えている中で、その2割が日本で起きていると言われています。日本の面積は世界全体のほんのわずかですが、それにもかかわらず、地震の20%が日本に集中している。つまり、日本は「災害大国」なんです。残念ながら。
地震が起きやすくなっていることに加えて、気候変動による影響も無視できません。例えば、先日能登で起きた悲劇も、気候変動による異常気象が原因でした。突然の豪雨や巨大な台風が今後も頻繁に発生すると予想されています。だからこそ、今までハザードマップを見たことがないという人も、必ず確認しておく必要があります。新築を考えている方はもちろん、今住んでいる方でも、「万が一の時にはここに逃げよう」と、命を守る行動を考えることが大切です。家なんて後でどうにでもなりますが、命は一度失ったら取り戻せません。
この動画を見ていただいた方には、概要欄に調べられる先を入れておくので、ぜひ家族で一緒に確認してみてください。「うちは全く心配ない」と思って安心するのではなく、災害時に道路が規制される可能性があるかもしれないなど、様々な要素を含めて確認しておくことが大事です。準備が必要な方は、その準備をしておくと良いでしょう。
最後に、調べ方を説明します。国土交通省が提供している「重ねるハザードマップ」があります。
▼重ねるハザードマップ
https://disaportal.gsi.go.jp/hazardmap/maps/
使い方は簡単で、まず地域を選び、次に災害の種類を選びます。例えば浸水リスクなど、どんなリスクがあるかを選ぶと、該当する情報が表示されます。非常に分かりやすいので、ぜひ確認してみてください。
また、「わがまちハザードマップ」という便利なツールもあります。
▼わがまちハザードマップ
https://disaportal.gsi.go.jp/hazardmap/
これも非常に良いツールで、自治体ごとに自然災害時のハザードマップをPDF形式でダウンロードできるようになっています。災害時には通信網が断絶することがあるため、ネットワークが使えない状況でも、PDFを手元に保存しておくと安心です。例えば、僕自身、2011年に東京で東北の地震に遭った時、携帯電話は全く繋がらず、唯一繋がったのがFacebookのメッセンジャーでした。そのおかげで、家族に「無事だよ」と伝えることができました。
今の時代、インターネットが使えないと何もできません。だからこそ、いざという時に備えて、ハザードマップを手元に置いておくことが重要です。我が町ハザードマップがPDFで簡単にダウンロードできる自治体もあるので、皆さんの自治体がどうなっているか、ぜひ確認しておいてください。
とにかく、このハザードマップを活用する目的は、災害のリスクを事前に把握してもらうことです。加えて、指定されている緊急避難場所を知り、通行規制の可能性を理解し、災害が発生した時に速やかに対応できるように準備することが大切です。このような情報を活用して、家族の安全を守るためにしっかりとチェックを行っていただきたいと思います。
たまたまこの動画を見たのも何かのご縁です。家族のために、少しの時間をかけてハザードマップの確認をしていただければ、きっと損はありません。今回の話は家づくりとは少し離れた内容になってしまったかもしれませんが、実際にはこうした周辺のことも含めて、災害に備えることが重要です。