梁見せ天井のメリット・デメリット
今日は梁見せ天井のメリットとデメリットについて解説します。
家づくりが詰まってくると、「どんな内装にしようかな?」というところでよく話題になる梁見せ天井・梁あらわし。このことについて、解説をしていきたいと思います。
梁見せとか梁あらわしは、みなさんやってみたいと思うでしょうか。私は「やってみたら?」と言うタイプですが、良いところ・悪いところは知っておいてもらった方がいいと思っています。
一口で梁見せ天井と言いますが、大きく言うと2つのパターンがあります。その1つは、梁がドンと現れていて天井部分・屋根部分が梁より離れているケース。もう1つが、梁と天井が引っ付いてるケースです。
そもそも、私なんかは生まれた時から梁という言葉に慣れ親しんでいる人間ですが、意外と聞かない言葉だと思うので説明しておきますね。建物は柱が立って床がある構造になっていますが、床を支える横架材のことを梁と言います。これは一般的には隠して、床を張って天井を張ったら見えなくなります。これをあえて出すというのが、梁見せ天井なのです。
なぜそうするかというと、メリットがあるからですよね。それは何かと言うと、1番はあえて出すことでデザインにメリハリをつけることです。それから天井高が高くなります。なぜかと言うと、梁の部分がボコッと出っ張っているからです。有効寸法は梁の下側になりますが、ボコッと凹んでいる分だけ天井が高くなった感じがして、開放感があります。
人間は不思議なもので、木の温もりというのは嬉しいものです。その木の温もりに併せて思うのは、例えば古民家に行ったら大きい梁が掛かったりしていますよね。あれは時間が経つほどいい感じになります。経年変化というやつです。こういうことが味わえるのが、梁見せのメリットかなと思います。
しかし実はデメリットもあって、1つは照明がつけにくいことです。ダウンライトだと埋め込み照明なので懐が必要ですが、2階の床板をむき出しの時は懐が無いため、電線を這わせる所がないなど、つけにくくなります。
特に梁が天井から離れているケースなんかは、長い暮らしの間にホコリが上に滞留したりします。最近はハタキがあるお家は少なくなったと思いますが、ハタキをかけてホコリを散らして掃除するみたいな、面倒なところがあります。
また、さっき申し上げた2階の床板をそのままむき出しにするという意匠もあるため、その時は防音性が低くなります。梁見せをやる時は、こういうことを思いながら上手にやっていくことが大事です。
梁見せを今回話題にしようと思ったのは、家のデザインに大きな影響を与えるためです。意外にそのことを意識せずにわからないままやっておられる方もいらっしゃいます。これはよく飯塚先生の話でも言うことです。梁をむき出しにして強調するやり方もありますが、梁だけを強調することの良し悪しもあります。
梁をむき出しにするとか、梁だけを強調することはよくあります。我々も提案させていただくことがあります。ただ、落ち着いたデザインを考えるなら、面として同じような素材とか同じような色調で揃えた方が、より洗練されたインテリア空間になる傾向があります。そのことをお伝えしたかったのが、今日のお話をした理由の1つです。
2つ目が、私が思う梁見せ天井の最大のメリットは天井高を低くできることです。例えば一般的な天井高は2.4mが多いのですが、上に懐が取れるので平均天井高も当然上がっていきます。ということになると、階高を抑えることができるのです。
家は正面から見ると、同じ床面積のお家でも階高が変わると見た目が変わります。もちろん好みはあると思いますが、全体的に建物が低く感じる方が外観は綺麗に見えるはずです。
階高を下げるということは、天井高が一定欲しい気持ちもわかるし、配管のスペースも取らなければならないとか、いろいろな葛藤があると思います。なおかつ相反する問題として、天井高を高く取ると階高も高くなって、建物の外観を損ねることがあるのです。梁見せ天井なら、そこに対して最初からアプローチすることになり、それらの問題が解決することもあります。
私が今日一番言いたかったのは、梁見せはただ単にインテリアのアクセントじゃなくて、建物全体のプロポーションやデザインを左右する1つの大きなポイントだということです。以上のことを頭に置いてもらって、梁見せ天井を楽しんでほしいと思います。ぜひ参考にしてみてください。