家の外観をカッコよくする基本的なポイント
今回は家の外観をカッコよくする外観のポイントについて解説します。
せっかく家を建てるなら、外観もカッコよくしたいですよね。先日ある仲間の工務店さんの若い社員の方から、ある相談を受けました。
「今いろんな基本設計に取り組んでいるんですけど、なかなかカッコいい外観の家ができません。1つの色で家を作るとどうしても単調になるから、色の張り分け・色分けをしたいです。どうやったら綺麗に見えるようにできますか?」という内容でした。
私自身の考えというよりは、松尾先生や飯塚先生などの偉い先生に教えていただいた内容で、自分なりに「そういうことか」と腹に落ちたことがあったので、受け売りでしたが彼に対して解説しました。そうすると、彼も「なるほど」と言ってくれました。
これは同じ内容をみなさんにもお披露目したら役に立つのではないかと思いましたので、解説していきたいと思います。
質問者の彼が私に聞いたのは、「どういう塗り分け方がカッコいいですか?」という質問でした。「塗り分け」と言うこと自体に、私は少し違和感があり「塗り分けってどういうこと?」と聞きました。
例えば総2階の家で、1階と2階とで色味を変えて塗っていることがよくありますよね。実際にそういう建物はとても多いと思います。もう1つは、水平ではなくて垂直に色分けされているケースです。建物のコーナー部分だけ違う色を塗っているようなものです。このようなお家も結構建っています。彼は、「いろいろやっても普通の家になっちゃって、カッコよくないんですよね」と言いました。
こういう色分けの建物はたくさん見ますよね。なぜこれがカッコよく見えないのかについて考えてみます。建物を、1つの塊・ブロックとして考えて、そのブロックを色・素材で分けて区別するようなことを考えています。
以前松尾先生から言われたことで、「建物を、同一の色にはしないで分けたい・メリハリをつけたいのなら、その時のポイントは大きなブロック・小さなブロックの組み合わせで建物の塊を見ることだ」と教えていただいたことがあります。
どういうことかというと、先ほどのような水平・垂直の塗り分けではなく、大きな1つの建物とそれにくっついたブロックで分けて考えるということです。そうすると、それなりにカッコよく見えます。
人間が無意識で「なんかこの家カッコいいな」と思う家がありますよね。その家をよく見てみてください。今お話ししたように、ブロック分けになっている家がとても多いです。「これが基本的なポイントの1つだよ」と彼に言いました。
ブロック分けの考え方はなかなか難しいのですが、これをすごくわかりやすい形で教えてくださったのが飯塚先生です。飯塚先生の有名な理論があって、私はそれを勝手に「豆腐理論」と呼んでいます。
真四角な形の白い豆腐がありますよね。その形を元の形として考えて、それを1回操作したら、いろんなブロックのバリエーションができるという話を飯塚先生がおっしゃっていました。それを初めて聞いた時は、目からウロコという感じでした。
例えば、豆腐を半分に分けると、ブロックが2つできます。これが1つ目の形です。それをくっつけたまま縦にずらすと、また違った形になります。それから、豆腐の中からスポーンと柱を抜くような感じで穴を開けても、ブロックが分かれます。それからもう1つは、松尾先生のブロック分けの話でも書いたように、大きなブロックに小さなブロックを足しても形ができます。そして、ブロックを噛み合わせるという方法もあります。それから、四角のある一面をビヨーンと引っ張っていくような感じで面を出す方法もあります。それから、どこかで斜めにスパッと切って面を取る方法もあります。これは建築の世界ではよく「面取り」と言います。それから、コーナー部分を切り取る方法です。
これらのような8つの基本パターンを組み合わせながら考えると、ほしい建物の面積感が出た時に、ブロックでどういう風に組み合わせたら、カッコよく興味深い形になるのかというのが、飯塚先生の「豆腐理論」だと私は思います。ここを頭に置いてもらえると、建物の外観はカッコよく仕上がります。
それと、もう1つ松尾先生が補足でおっしゃっていたことをご紹介します。例えば、2つのブロックを横並びでくっつけた形の建物があります。建物はどうしても、箱だけではなくて屋根も必要ですよね。その屋根を一体にかけてしまうと、カッコ悪くなってしまいます。大きいブロックと小さいブロックに分かれていますが、屋根のかけ方でも形の善し悪し・センスの良さのようなものが出てきます。
ですから、基本的には先ほどお話しした「1回操作」をもう1回やって、ブロックを足したり引いたりします。あまり何回も操作するとグチャグチャになってしまうので、できれば3回操作以内の組み合わせのブロックにすると、よりカッコいい・落ち着きのある外観になるということもおっしゃっています。
これはいろんなパターンがありますから、講釈を垂らされてもわからないという方もいらっしゃるかもしれません。しかし、建物のメリハリをつける時に、ブロックで形を整えるという視点だけあれば、随分と建物の見せ方は変わってきます。みなさんもぜひ頭に置いておいてください。
最後にもう1つ、ブロックの組み合わせ以外のポイントで、テクスチャーの種類をあまり作らないということがあります。テクスチャーとは、元々は織物の織り方みたいな意味なのですが、派生して表面の色・素材感などのことを言います。
外観に関しては、色目や素材を3つぐらいまでに収めてほしいということです。1つでも、2つでも、3つでも構いません。ただ、これが4つ・5つになってくると、ダメではないかもしれませんが、とてもセンスが要ります。
洋服もそうですよね。2つのパターンぐらいであれば割と基本的なバランスで組み合わせられると思います。しかし、それが3色を超えて4色以上になると、ガチャガチャのチンドン屋みたいになることがよくあります。チンドン屋と言うと昭和の言葉で申し訳ないですが、要はゴチャゴチャするみたいなことです。
それは家でも一緒です。例えば、白い壁に、少しグレーのボックスの塗り分けがあって、玄関ドアだけ木目調の色。これでテクスチャー3つです。これに他の色が加わると、ガチャガチャしてしまいます。当然、窓枠の色なども白か黒に寄せる方がいいですよね。そのようにしてもらうと、外観は随分スッキリすると思います。
家づくりがいよいよ煮詰まってくると、色はどれにするか、どんな風に外観のメリハリをつけるのかと議論をされると思います。そのような時に、ぜひ参考にしてもらえたらと思います。