狭い土地でも冬の日当たりを確保する方法
今日は動画を見ていただいている方からのご質問にお答えします。
どういう内容かと言うと、日当たりの良い家が欲しいけど、そこまで広くない土地の場合、どのような配置にしたら冬も十分な日当たりが取れますか?というものです。
私の絵を見てください。
今回はこのような条件にしています。土地の南側に別の家が建っています。ここに自分の家が建つ想定です。
1階にリビング・ダイニングをつくって、ここの日当たりを良くするためには、一般的には隣の家から7〜8m離したほうが良いと言われています。
でも、そんなに距離を取ったら、「家が敷地内に収まらない」とか「駐車スペースがつくれない」といった問題が出てくるので、日当たりは諦めるしかないと考えてしまう方が多いようです。
こうした状況を踏まえて、日当たりを良くしつつ、敷地に収まる配置を図にしてみました。
最初にお伝えしておきますが、この配置は絶対ではありません。隣にある建物など、敷地の条件によって結果は変わります。
僕は今回、このような条件を想定しています。
まずは隣の建物の高さ。
特に軒高(のきだか)と言って、地盤面から軒桁までの高さは6mを想定しています。
こちらの家は、地盤面(GLライン)から60cm上がったところを1階のフロアラインに設定しています。そこから3m上がったところが、2階のフロアラインです。
全体的に少し高さを抑えて、階高が2500mmの家で解説をします。
家づくりのプロは日当たりを考える時、冬至(12月22日付近)を気にします。
冬至は1年のうちで一番太陽高度が低くて、夜の時間が一番長いので、日照時間という点で見ると一番不利な状況です。なので、このケースを想定しておくんですね。
このブルーのラインに注目してください。。
こちらを真南としたとき、敷地境界線から10m位の範囲はずっと影が差した状態です。つまり、このラインの下に関しては日が当たりません。
ちなみに、隣の建物に関しては、この境界からざっと1m位離れていると考えて、この結果を出しています。
そうすると、この条件で敷地配置を4m50cmより抑えた場合、1階部分には、日がほとんど当たりません。スペース的にも車2台が置けるかどうか、というところです。
でも、この家に吹き抜けがあると状況が変わります。
この部分から太陽光が入ってきて1階にも日が当たります。
なので4m50cmというのを絶望的な配置と決めてしまうのではなく、吹き抜けがあればここまでいけるかなという風に僕は捉えています。
先程、一般的には7〜8m離すという事を言いましたが、4m50cm位でも家の間取りによっては有りになります。
これ以上寄せると、1階に日当たりを確保するのは難しいと思いますね。
なので、今回想定した内容を頭に置いていただいて、イメージするときに活用してください。
今回のケースですが、敷地が四角で真南ならいいのですが、方位が振れると、また結果が変わります。
なので実際の家づくりでは、敷地が決まった時点でプロの方に相談をして、三次元で確認をしてください。
ここで今回の質問に話を戻します。相談者の方は質問の中で「日当たりを良くしたい」とおっしゃっていました。これは、単に日当たりのいい家がほしいのではなくて、冬も暖かく過ごせる家がほしいというのが、本当に求めていることだと思います。
そうすると冬至(12月22日)は、確かに寒い時期ではありますが、1年中で最も寒い日ではありません。
僕の住んでる西日本の場合、厳冬期は2月頃になります。
今回の動画では2月の太陽の動きもチェックします。たった2ヶ月でも、太陽の角度はここまで変わります。7m80cmまで縮まります。
意外かもしれませんが、1年の中で1番寒さが厳しい時期は、冬至より日が入るんですね。
なので今回のケースなら、僕は4m50cmまで寄せる配置は全然OKだと思います。
この図の場合、1階部分はここまで影になります。梁や配線用のスペースで少し天井が低くなることや、窓が取り付けられる位置を考えると、この1階部分を明るくするには
天井高いっぱい位までの背の高い窓を取り付ける必要があります。
南に窓を取り付けるとなると掃き出し窓のように大きなものでなくてはいけない、と思う人もいます。でも今回は上半分に、天井いっぱいまでの窓があれば、かなりの日射が確保できます。
高い場所に窓を取り付けることは有効に働くことが多いので、それも頭に置いてもらえたらと思います。
その上で、ここに吹き抜けがあると、この角度で太陽の光が差し込むので一番寒い時期でも1階部分の奥まで日が当たります。
一般的な間取りでは、この辺りがリビングとかダイニング、キッチンになることが多いです。料理する場所が明るくて暖かければ、作業する人うれしいですよね。
なので配置を寄せる際は、吹き抜けを上手に活用するとうまくいきます。
このような配置や寸法を出すための理屈を押されば、間口が小さくて南北に長い敷地であっても、冬も比較的、日当たりの良い家になりますし、駐車スペースがしっかり確保できると思います。