木質系フローリング3種類!それぞれの耐用年数
今回は無垢材のフローリングと市販のフローリング、どちらの耐久性が高いのかについて解説します。
木質系のフローリングは大きく3種類に分かれます。その3種類それぞれに耐用年数があると、個人的には理解しています。
よく営業の人が「これは無垢材で、これはただのフローリング」という話をしています。揚げ足をとるわけじゃないですが、英語の「flooring」は床材全般を総称する言い方で、「フローリング」という名のカテゴリーはありません。ごっちゃにならないように話を聞いてもらえたらと思います。
一番安くてよく使われるのが、通称カラーフロアと言われるものです。もう1つが、複合フローリング・合板フローリング言われてるものです。前述の営業マンがフローリングと言ったようなものはこれらのことが多いと思いますが、もしかしたらしたらカラーフロアのことも言っているかもしれません。あとは無垢のフローリングです。
まずカラーフロアの耐用年数は、メーカーの公式で言っている人や私の建築経験から言うと、約10年~15年だと思います。意外に短いなと思ったかもしれません。10年ぐらいあっという間ですよね。
構造は、板状の床材でサネが付いていて、オス・メスで繋がって、ジョイントがめくり上がらないような構造になっています。ただし中身は少し違って、台番というMDF・合板になっていることが多いです。合板は木材をスライスして積層にして固めたものです。MDFは木材をチップにしてぎゅっと固めた、インシュレーションボードのようなものの総称です。普通の天然の木から見たら「木なの?」と思うと思います。
表面には木の柄で印刷したシートが貼ってあるんです。見た目は木で遠目からでも全然わからない感じです。シートは工業製品ですからいろんなデザインバリエーション、色・パターンができます。シート自体には表面コートもしてあり、表面硬度は高いので、重量物が載っても凹みにくいです。
一方、シートなので鋭利なもので引っ掛けたら、傷が入ったりめくれたりすることもあります。その代わり、工業製品なので価格は安いです。表面も樹脂のコートなのでほぼメンテナンスフリーですが、当然汚れは拭かなアカンです。ワックスは塗った方がいいですが、塗らなくていいものもあります。
ただ、耐用年数はあんまり長くないです。なぜかというと表面が樹脂シートだからです。こういう床が一番弱いのは、人が歩いて摩擦するとか、椅子でカリカリやるとかいうこともありますが、一番強力なのは太陽です。太陽の光は必ず紫外線を含んでいるので、紫外線劣化を進めます。工業製品の石油系樹脂シートはめっぽう弱いです。
樹脂で言うと、典型的な樹脂バケツも同じです。何年か外に置いていたらポロポロになりませんか?樹脂シートも同じで表面がモケモケになって、ヒビが出ることがあります。
次に複合フローリング・合板フローリングについてです。幅がありますが、10〜20年くらいもつものも多いと思います。高級品は20年もちます。図のように積層になっていて、合板が重ねられて、その上に突き板・引き板と言われる本当の木が貼ってあります。
突き板というのは薄めの単板で、2mm・5mmぐらいのものです。5mmの単板は、ちゃんとした木に見えて風格があります。さらに後ろに合板が貼ってあり、樹脂で固めて表面にウレタン塗装していることが多いので、床のねじれが起きにくく、カビもできにくいです。
引き板は、突き板に対して引くと書いている通り比較的厚めの単板です。10mm・15mmぐらいあるものです。もはや無垢とあまり変わらないものも多いと思います。無垢板は15mm全部無垢ですが、例えば10mmであれば木取りとしてはたくさん枚数が取れるので、コストが下げやすいです。価格は安いとは言えないですが、手頃なものが多いと思います。傷の補修に関しては、天然のものなので傷も付くし、ウレタンも塗っているのでそれなりに技術がいるし、直しにくいところもあると思います。
最後に無垢のフローリングです。耐用年数はいろいろな考え方がありますが、私は30年以上あると思います。無垢フロアは文字通り、1つの丸い木を製材して加工した単一材のものです。
樹種はいろいろあって、大きく言うと針葉樹と広葉樹があります。針葉樹はスギ・ヒノキ・パインなど、広葉樹はカバ・ナラ・チークなどがあります。針葉樹は比較的軽く柔らかいイメージで、価格は安いです。広葉樹は比較的重たく硬いイメージで価格は高いです。
針葉樹はなんで軽いかというと木の中の繊維の空気層が多く、空気が多いからです。逆に広葉樹は密実に木目がついて、含まれる空気が少ないから重くなります。結果的に空気がたくさんある針葉樹は、触った感じが温かいです。広葉樹は温かみがゼロではないけど重厚感が売りというイメージです。
無垢のフローリングのいいところは手触り・足触りです。歳が行けば行くほど、足触りの良さを感じます。私は暑がりなので夏は裸足で家をうろうろするんですが、表面にウレタンを塗っていない無垢の単一素材は、踏んだ時に汗かきな私でもベチャベチャしません。逆に冬は、素足で歩いても冷たさを感じないです。ウレタンは複合フローリングで、樹脂で固めているので綺麗ですし、傷も付きにくいです。一方で、冬場はスリッパがないと嫌かなと思います。
無垢は複合に比べたら木取りロスが大きいので、価格は高いです。無垢材には良さもありますが、傷が付きやすいし、ねじれ・ワレ・反り・縮みなどは起きやすいので、木の良さを生かす特性を考えた施工と、それを経年的に変化する時に味として感じる美観・価値観がない人は、やめたほうがいいです。人間でも若い時の綺麗な状態と比べたら、シワやシミができてきますが、人としての美しさがありますよね。人生の苦労が顔に滲み出ていて、そばにいたら安心するような顔立ちの方もいらっしゃいますよね。そういう愛し方をしてほしいです。ですから、カラーフロア・合板・複合フローリングに関しては「経年劣化」という説明をしますけど、無垢に関しては「経年変化、経年美化」という説明をします。
そういう性質なので、水は吸います。撥水性を保つために、ワックスやオイルなど、脂気があるもので手入れしてください。1か月に1回ぐらい、最低でも半年に1回は綺麗に表面の汚れを取ってオイルで手入れすれば、木は喜ぶし、長く美しくあると思います。
カラーフロア・合板・複合・無垢フローリングと種類がありますが、お寺・お宮とかに行くと、50年をはるかに超えた無垢フローリングも多いです。そこのお坊さんが拭いて黒光りしているものもあります。そういう意味で言うと、控えめに言って30年以上もつ、ということです。
私の家もハウスメーカーの高い複合フローリングを張りましたが、20年ぐらいで紫外線劣化でモケモケになり、削ることもできないしどうにもできませんでした。
突き板・引き板みたいに分厚い単板を貼っている場合は、昔の体育館みたいな感じを想像してください。昔は突き板を張った複合フローリングが張ってあったんです。生徒さんがスポーツをして、ウレタンが取れたらサンドで磨いて、再度ウレタンをかけることで新品みたいになるような改修工事をしたことがあります。
そういう強さもあるんですが、無垢の層がどれだけ厚いかによって寿命は変わります。高いですが15~20年で張り替えないといけません。人生は家を建ててから40年・50年という時代です。これをしておく方がトータルでお得ではないかと思うのが、私の結論です。ぜひ参考にしてみてください。