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蓄電池で元が取れるようになってきたのは本当か?

今回は、住宅用の蓄電池が「元が取れるかどうか」について解説します。

太陽光発電を効率よく利用する装置として、蓄電池を耳にすることが多いと思います。しかし、「蓄電池で元が取れるのか」「採算が合うのか」という疑問を抱いている方が多く、私自身もその一人でした。最近になって「蓄電池で元が取れるようになってきた」という話があり、それが本当かどうかを見ていきましょう。

新建ハウジング新聞社という、住宅業界のプロ向けの情報を提供する新聞社があります。そこに、私の師匠である松尾和也先生が「蓄電池が元が取れるようになってきた。そろそろ導入しても良いのではないか」というコラムを書かれていました。これはプロ向けの記事なので、一般の方が読むと少し難しく感じるかもしれません。そこで、今日は松尾先生がどのようなことを述べていたのかを、大まかに解説していきます。

松尾先生が今回特に強調していたのは、蓄電池が「材工費用込みで非常に安価になってきた」「価格破壊が進んでいる」という点です。以前はテスラ社の「パワーウォール」が注目されていましたが、導入を検討してみると工事費用が予想以上に高かったため、まだ時期が早いと感じていました。

蓄電池自体のコストもさることながら、周辺の工事費用もお客様にとっては大きな負担です。その材工価格が下がってきたことで、蓄電池の導入が現実的になってきました。ただし、蓄電池を使うには、太陽光発電との組み合わせが必須です。家庭用で利用する再生可能エネルギーの中では、太陽光発電が最も適しています。太陽光発電が7〜8kW、蓄電池が10kWh程度の容量があれば、一般家庭で十分に使えるとされています。しかし、これまで蓄電池10kWhの価格が下がらず、導入には高額な費用がかかっていました。以前は300万円や250万円といった価格でしたが、松尾先生の記事では現在、材工価格が170万円程度にまで下がっていると書かれています。これにより、蓄電池の導入が一気に現実味を帯びてきました。

電気代が今後も変わらないと仮定してシミュレーションするのではなく、社会背景を考慮することが大切です。皆さんも実感されていると思いますが、電気代が非常に高くなってきていますよね。

新聞からの抜粋の記事を見ていただきたいのですが、現在、北海道から沖縄まで約10社ほどの電力会社があります。従量電灯契約という一つのくくりで考えた場合、全国の単価を平均すると34.83円/kWhあたりと言われています。従量電灯契約で約35円/kWhで、この170万円がどういう意味を持つかということです。

少し話は変わりますが、資源エネルギー庁の発表によると、電気代は2016年4月から2022年12月の期間で統計を取っています。従量電灯契約の上昇率は、単利計算で4.8%だそうです。複利でも4.22%です。結構変わっていませんか?5%を少し切るくらい上がっているのは、すごくないですか?これは従量電灯契約の話ですが、一般的に今のオール電化のように、深夜電力を利用する自由料金の契約群では、単利ベースで16.6%ほど上がっているそうです。すごくないですか?複利でも11.79%なので、かなりの上がり方をしています。以前は27〜28円ぐらいだったのが、あっという間に35円です。すごい上がり方です。ちなみに今は補助金の1.8円は含まれていません。

これは日本だけでなく、世界的な問題です。例えばヨーロッパやアメリカに行くと、国や地域ごとに電気代の上昇率は、年2〜3%の複利で上がると予測されています。それは日本の最新物価指数も2.8%ほど上がっているので、燃料は同じかそれ以上に上がっていくことが予想されますよね。一時的に円高になった時期もありましたが、円安が進んでいくことを考えると、電気代が35円のまま留まることは予測しづらいと言えます。材工価格が下がったことと、段階的に単価が上がることを考えると、それがどういう意味を持つのかということを解説したのが、今回のまとめた記事です。松尾先生がわかりやすく、ざっくりと話を簡略化して解説されています。

例えば、10kWhの蓄電池を昼間に充電して夜に使うことが確実にできたとしたら、35円で10kWhなので350円の儲けになります。しかし、太陽光発電は昼間16円で売れるので、実質の価値は16円×10kWhを引いた190円になります。1日190円ということは、年間で16万9350円の儲けになります。そして導入してから10年間の儲けが69万3500円ということになります。そして10年経つと卒FITで売電金額が変わり、今は平均で10.35円ぐらいなので、ざっくり10円で計算すると、35円×10kWhで350円から、10円×10kWhを引いた250円が利益になります。したがって、10年を超えて20年未満の期間の方が、1日あたりの実質手取りが多くなります。それを全部足していくと、250円×365日で年間91万2500円ぐらいの利益が出て、20年合算でいくと160万6000円の利益になるということです。160万円の利益で言うと、さっきの170万円と結構近い感じしませんか?

でも確実に10kWhということはなくて、雨が降ったり曇ったりすることもあるので、有効利用率はもっと2〜3割減るんじゃないですか?ということで、それも踏まえて、100%、80%、60%利用できた時のざっくりとしたシミュレーションを松尾先生がしてくださっています。これがこの表です。少しポイントだけ言っておくと、例えば2024年頃から始まって20年後は2045年です。2045年までの間、年利2%で電気代が上がっていったとしたら、今の平均電気代34.83円は52.79円と予想されています。すごくないですか?17円も多く、つまり18円近く上がります。これが3%になると65円ぐらいになり、4%になると80円ぐらいになります。そうなってくると、例えば2%の上昇で考えた場合、100%有効利用なら元が取れて、おつりが50万円ぐらいくる感じです。しかし、現実は甘くなく、4割減ぐらいの厳しい目で見た場合でもマイナス36万円ぐらいです。でも、2%で済むかなと少し思いませんか?

例えばアメリカやロシアは、自分たちの国が資源国だから、ある程度価格に対する強さを持っていますよね。しかし日本は資源国ではないので、価格を押し付けられます。おそらく国力も減少してくると思うので、電気代は高くなると思います。ですから、年利3〜4%ぐらいになると、6割ぐらいの利用率でも、4%の上昇なら完全に元が取れたりします。これは本当にざっくりとした話ですが、この話の筋が悪くないということを、松尾先生が分かりやすく、端的に解説してくださいました。

これから家づくりを考えている方や、卒FIT(太陽光発電の10年間の固定買取期間)が終わった方は、この安い蓄電池を利用して、より生活防衛を真剣に考えてもいい時期になったと思います。ぜひみなさんもそれを頭に置いて、これから計画してください。

最後に、当たり前ですが、今の35円というのは平均値であり、地域によって変わります。同じ関電管轄でも、隣に高い高層ビルがあって日陰ができる場合、太陽光発電が思ったように発電できないこともありますよね。また、家の形状や屋根の向きが北向きだったり、勾配が北向きだったり、あるいは屋根があまり大きくなかったりすると、影響も変わってきます。

これはざっくりとした話の概要として、筋がそれほど悪くないというところに立っています。なので、これから皆さんは、価格が安くて高性能なものを入手できる業者さんを探してください。もちろん、当社のお客様にはそういったルートをぜひ紹介したいと思っています。その上で、価格破壊を訴えてくる業者さんは、平たく言えばやり手です。私も何社か面談をしていますが、少し手強い人たちだなという印象があります。そういった方にカチッとしたシミュレーションをしてもらってください。その結果を踏まえて、最終的にぜひ判断をしていただきたいと思います。蓄電池が本格的に家庭で使える時代が来たことをお伝えできてよかったなと思っています。ぜひ参考にしてください。

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