内装に合板をアクセントに使ってみよう
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今回は内装合板について解説します。
最近、家の内装工事をするときに、「合板、つまりベニヤ板を使うのはどうなんでしょう?」と聞かれることが多くなりました。そこで今日は、私がおすすめするベニヤ板、合板を内装に使用する際のポイントについてお話ししたいと思います。
この動画をご覧いただいている方は、比較的若い世代の方から、私と同年代、あるいはそれより少し上の年代の方まで幅広いのではないかと思います。特に私より上の年代の方々は、昔、ベニヤ板を粗末なものと見なす風潮があったのではないでしょうか。ベニヤ板は「ベコベコしている」、「安っぽい」というイメージが強く、「ベニヤ張っとんか」と揶揄されることもありましたよね。
私もおじいちゃんが大工だった影響で、いわゆるちゃんとしたハメ板(無垢の木を薄く切ったもの)や、突板と呼ばれるある程度しっかりした表面材を使うのが最低限、という考えが染み付いていました。ベニヤ板といえば、工事現場の仮設事務所の壁に貼る程度の用途という印象が強く、長期間使用すると表面が剥がれたり、ガサガサになったりするため、あくまで下地材という位置づけだったのです。
しかし、最近では合板を内装のアクセントとして使用する例が大幅に増えています。特に著名な建築家や設計士の方々が、その風合いをうまく活かしたデザインを積極的に取り入れています。また、いわゆる「自然素材の家」を提案する業者でも、合板を内装に取り入れるケースが増えてきたように感じます。もちろん、このような使い方に対して否定的な意見もあると思いますが、最終的には好みや価値観に依存する部分が大きいでしょう。
それでは、現在の時流に合った合板の種類について解説していきます。今日ご紹介するのは、5種類から6種類の合板です。
まず最初にご紹介するのは、最も広く使われている「シナベニヤ」です。シナの木をご存じない方も多いかと思いますが、この木材は非常に表面が滑らかで、つるんとした質感が特徴です。特に木材には必ず木目がありますが、その木目がまっすぐ整っているものを「正目」と呼びます。一方、木目がうねりを伴うものは「板目」と呼ばれます。このシナベニヤは、板目があったとしても印象が薄く、全体的に穏やかなトーンが特徴です。
ナチュラルな色味が好きな方や、例えばフロア材として樺桜やアカシアなどを選ばれる方には、このシナベニヤが非常にマッチすると思います。
シナベニヤは表面が非常に綺麗で、滑らかで柔らかいのが特徴です。そのため、塗装の下地にも向いています。このシナベニヤを貼り、そのままの質感を楽しむ方法もありますが、その上にオスモカラーや水性塗料を塗る方法もおすすめです。例えば、シナベニヤを用いることで少し茶色味を強調した仕上げや、グレー、ほんのりピンクといった色味を表現することも可能です。このようにデザイン面でも幅広く活用でき、非常に使い勝手が良い素材です。
私の朋友である小暮さんは、このシナベニヤを巧みに活用してセンスの良い仕上げをされています。ただし、シナベニヤは塗装を施さないと表面が柔らかいため、汚れに弱いという弱点があります。壁面に剥き出しで使用すると手垢がつきやすくなるため、何かしらの塗装を施しておくのがおすすめです。
次に、最近注目されているもう1つのアイテム「ラワンベニヤ」についてお話しします。ラワンベニヤは、シナベニヤと比較してあまり色味が変わらない白っぽいものから、少し赤みがかったオレンジ色や茶色に近いものまで、バリエーションがあります。シナベニヤがシナという木を桂剥きにしてロール状にしたものなのに対し、ラワンベニヤはその名の通りラワンという木材を使用しています。
ラワンベニヤの特徴としては、柔らかいので曲げやすく軽量であることが挙げられます。ただし、表面はシナベニヤよりザラザラしており、指で触れるとささくれができやすい点には注意が必要です。板目が目立つため、木目のうねりが好みの人には心地よく映りますが、強すぎるアクセントと感じる人もいるかもしれません。
ラワンベニヤを使う際は、事前にサンプルを確認することを強くおすすめします。特に小さなサンプルだけでなく、大きな板を数枚並べて全体のイメージを確認すると安心です。また、赤みが強いラワンベニヤは、ウォールナットやアカシアのような色味の床材と組み合わせると、とてもスタイリッシュな空間を演出できます。
私自身、子どもの頃はラワンベニヤに安っぽいイメージを抱いていました。しかし、私の師匠のさらに師匠である大西健二先生の施工事例を見せていただいた際、一面にラワンベニヤが貼られた空間に強いインパクトを感じ、近づいてよく見たらそれがラワンベニヤだったのです。この経験を通じて、ラワンベニヤに対する認識が大きく変わりました。大西健二先生の施工例はホームページで多数紹介されているので、ぜひご覧ください。
▼大西憲司設計工房 http://ohnishi-net.com/
さらに、変わった選択肢として「OSB(Oriented Strand Board)」も挙げられます。OSBは木片を樹脂で固めたもので、ランダムな木の破片が作り出す独特の柄が特徴です。この風合いは偶然が生み出す美しさとも言え、手作り感が際立ちます。同じものが二つとないため、内装に使用するとワイルドな印象を与えます。
例えば、インナーガレージの壁面に使用すると、バイクやジープのような車との相性が良く、非常にカッコいい空間を作ることができます。カラマツ合板やポプラ合板といった素材も同様にラフな印象を与えますが、やや粗すぎる場合があるため、事前に現物を確認することをおすすめします。OSBは工業製品として一定の品質が保たれているため、大きなイメージ違いが発生することは少ないと言えます。
シナベニヤとラワンベニヤには、それぞれ「有孔合板」というバリエーションがあります。皆さんも昔、おばあちゃんの台所に、水色に塗られた等間隔の穴が開いている壁を見たことがあるかもしれません。お玉や鍋をフックで掛けられるような、あの壁が「有孔合板」の一例です。この有孔合板には、シナの素地とラワンの素地があり、「穴あき合板」や「パンチングボード」と呼ばれることもあります。
有孔合板には2つの大きな利点があります。1つ目は吸音性に優れていることです。音楽室や体育館の壁に穴が開いているのを見たことがありませんか? 音が響きやすい場所に有孔合板を貼ると、音を吸収してくれます。ただし、石膏ボードにそのまま貼るだけでは吸音効果が弱いので、胴縁などを挟んで空気層を作ると、吸音性が格段に向上します。
高気密・高断熱を特徴とする高性能住宅では、音が響きやすいことがあります。例えば、広い吹き抜けがあるリビングでは、有孔合板を一面に使うことで音の響きを和らげる効果が期待できます。特に外断熱に樹脂系の素材を使っている場合、繊維系断熱材よりも吸音性が低い傾向があるため、シナの有孔合板が効果的です。同様に、ラワン特有の色味を楽しみたい方にはラワンの有孔合板がおすすめです。
有孔合板は2.5cm〜3cm程度のピッチで穴が開いていることが多く、フックを掛けられるため、インテリアとしても活用できます。例えば、私たちの「辻井モデルハウス」では、有孔ボードを一面に貼り、アウトドア用の雑貨をディスプレイしています。こうした活用法は、実用性だけでなく見た目の美しさも兼ね備えています。一面に使うことで、スタイリッシュな空間を演出できますので、ぜひ試してみてください。
さらに「ヒノキ合板」も注目の素材です。ヒノキは香りが良く、合板にアレルギーがある方でも安心して使用できます。また、「バーチ(カバノキ)」や「メープル(カエデ)」といった素材もおすすめです。バーチはフィンランド産で硬く独特の木目があり、メープルは滑らかで高級感があります。ただし、これらはシナやラワン、OSBと比べて価格が高めです。予算に余裕がある場合は、これらの素材を使うことでよりリッチな仕上がりを目指せるでしょう。
最後に、最近では木を内装に取り入れる事例が増えています。特に「梁のあらわし」と呼ばれる手法で、梁部分だけ木目を見せることがありますが、飯塚先生によると、これは一面単位で木を使用する方法に比べて効果が薄いそうです。木のアクセントを取り入れるなら、壁や天井などを一面、あるいは二面だけ木目にするほうがセンス良く仕上がります。木目の面積を効果的に切り分けて使うことで、より洗練された空間が実現できます。
合板を活用して内装をデザインする際は、これらのポイントをぜひ参考にして、豊かな空間作りに挑戦してみてください。
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