脱衣室といっしょに着衣室を考えておきたい理由
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今回は、脱衣室と一緒に着衣室を考えておきたい理由について解説します。
間取りづくりの話の中で、洗面・脱衣場とか、ユーティリティとか、脱衣に関する部屋についての議論がよくあります。それと一体に、逆に着衣する部屋をどういう風に考えるかについて、みなさんと一緒に考えていきたいと思います。
「脱衣室」という言葉はよく聞くと思いますが、「着衣室」なんて言い方は聞いたことありますか?人間は、朝起きたら学校なり職場なりに行きますが、起きてから家を出るまでの間に、一体私たちは何をしているのか、ということから考えてみます。間取りのことを考える時には、いきなり方眼紙を出して「ここにリビング」「ここに何」などと考えてしまいますが、もう少しリアルな暮らしを思い出しながら、あるいはこれからの新しい暮らしをどうするかを想像しながら考える方がいいと思います。
まず、朝起きてから出かける前にすることについてです。朝起きたら、いきなり着替えますか?ということから考えます。これに対しては「すぐ着替える」という人と「そんなことはない」という人に分かれます。すぐは着替えない人は、例えばトイレに行くとか、トイレの次は洗面に行くとか、洗面では歯を磨くとか、歯だけ磨いてエクササイズをするという人もいます。
私は、毎朝愛犬のコタロウと一緒に散歩しています。起きたらすぐにジャージに着替えて、コタロウと散歩に行きます。散歩以外にも、お家でラジオ体操やヨガをやる人もいると思います。そして、夏場なら散歩から帰ってきたら、汗をかくのでシャワーを浴びたり、もう死語かもしれませんが、朝シャンをする人もいます。
そして、出勤するまでの間には当然、朝食も食べるし、お化粧をしたり、髭を剃ったりもします。私はご飯を食べたらすぐこぼすので、ネクタイを付けたて食事をしたら味噌汁のつゆが飛んで、女房に怒られるみたいなこともあります。また、シャツを着てから顔を洗ったら濡れたりして、また着替えないとアカンみたいなことにもなるので、私は着替えるのは最後で、着替えた瞬間に家を出るみたいな感じです。しかし中には、きちんと服を着てからご飯を食べて、スッと出かける人もいるわけで、人によっていろいろだと思います。
どのタイミングで服を身にまとうかについて、今回は、大島健二先生が書かれた「住まいかた解剖図鑑」という本に合わせて紹介していきたいと思います。これはすごく素晴らしい本なので、ぜひみなさんにも見ていただきたいです。
まずは、寝室で着替えるパターンです。隣でパートナーが寝ていても、そっと起きて着替えをするような感じです。この場合には、ギッと音を立てて開くドアよりもスッと開く引き戸の方がいいかもしれません。
次に、脱衣室で着替えもするというパターンです。脱衣室は大概洗面台・洗濯機と一緒になっていることが多いです。そうすると、朝自分より先に奥さんが起きて洗濯をしていたり、自分よりも先に起きた子どもが顔を洗っていたりすると、足元が濡れていることがありますよね。靴下をせっかく履いたのにすぐ濡れてしまって、履き替えないといけなくなることもあるので、それはどうなのかなという点もあります。
脱衣場に関して思うのは、衣類はどこから持ってくるのか?ということです。脱衣場に洋服タンスがある人はあまり聞いたことがないので、起きたときにそっと持ってくるとか、脱衣場のそばにクローゼットがあるとか、そういう感じじゃないかと思います。脱衣場で着替える場合には、収納をどんな風にするのかも含めて考えることが必要じゃないかと思います。
3つ目が、リビングダイニングで着替えるパターンです。これは割と多くて、私もその1人です。リビングに服を置いておいて、そこで着替えています。私の場合は、起きたらまずジャージを着て、散歩・洗顔をして、ジャージを脱いでその場で服に着替えて、ジャケットを羽織って出かけていきます。リビングダイニングは空調をかけていることが多いし、冬は暖かいし夏は涼しいし、快適でいいですよね。 私の友人に聞くと、その人は娘さんばかりなのですが、女性陣はリビングダイニングで着替えるらしいですが、その時に絶対にカーテンを開けたらアカンらしいです。男の人は「清々しい朝にカーテンをパッと開けて着替えたい」と思うかもしれませんが、娘さんが居ると「お父さんダメ」と言われるようなこともあります。
リビングダイニングで着替える場合にも、先ほどと一緒で、どこから服を持ってくるのかが問題になります。それを踏まえて4つ目は、ウォークインクローゼット(ウォークスルークローゼット)で着替えるパターンです。ただここは、服を置いている以外に人気がない場所ですから、寒い・暑いなどの可能性があります。また、私はクローゼットで着替える時にいつも思いますが、年を重ねると結構ひょろひょろして、靴下を立って履こうとしてもよろけることがあり、椅子が欲しいと思うこともあります。ウォークインクローゼットの場合でも、どんな機能をどんな風に設えるか、という問題が出てきます。
私は、ウォークインクローゼット(いわゆる出入りクローゼット)など、家族みんなの着替えができる場所を持つのがいいなと思っています。ただそこには、姿鏡がないとアカンと思うし、寒くないように工夫しないとアカンと思います。そして、そのクローゼットが寝室と近いなら、先ほどの1つ目のパターンにも近くていいですよね。
しかし寝室と離れている場合には、家事動線を考慮して脱衣場・洗濯室と近くするなどの考えも出てきます。 しかし、そういう都合もあるけど、着替えは広いところでテレビを見ながらやりたい、などとなるとリビングダイニングで着替えることになります。このように、暮らし方から部屋の繋がり方が粗方決まっていきます。
なのでぜひ、間取りを考えていく時には、リビングをここに置きたいなどということを考えると同時に、着衣をどこでするのか、どういう風に衣類を保管して、どこに持っていって着替えるのか、などを包括して考えられていないと、家づくりは上手くいかないと思います。これは、家の使いやすさ、家事のしやすさに直結します。何より、家の大きさに直結します。
家の大きさについて、最近私が繰り返し言っていることがあります。昔私たちの頃は、「とりあえず30坪の家が欲しい」「40坪の家が欲しい」という人が多かったですが、最近は住宅のコストが上がっています。本当にそれだけの面積が要るの?と考えてみてほしいです。要るなら作ればいいと思いますが、暮らしぶりを見つめて考え直したら、もっと小さくても使い勝手がよくて気持ちのいい家ができると思います。ここに、脱衣室・着衣室の組み合わせの考えが、すごく綿密に関わってくると強く思うんです。
いよいよ間取りを考えていく時には、ぜひこういう視点で、家族で話し合ったり、好みをシェアしてもらったり、「新しい家ではこういう風にしよう」「今は違うけど新しい家はこうしたいね」などと、ぜひ今回の話をネタに話し合ってもらえたらと思います。ぜひ参考にしてください。
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