地震保険は必要なのか?
▼YouTubeチャンネルはこちら
https://bit.ly/m-athome
————-
今回は地震保険は必要なのか解説します。
まずは、昨年1月に発生しました能登の地震で被災されたみなさまに改めてお見舞い申し上げます。まだまだ生活の立て直しはこれからが本番だと思いますが、私たちも全力で支えていきたいと考えています。能登の地震の際には、多くの悲劇があったと聞いております。その中で、地震保険にまつわる問題が原因で、大きな悲劇が助長されたケースもあったかもしれません。本日は、あるお施主様からいただいたご質問をもとにお話ししたいと思います。その質問とは、「森下さん、地震保険って必要なんですか?」というものです。
まず、そもそも地震保険とは何かについてお話しします。文字通り、地震が発生した際に被害を補償する保険のことです。この地震保険は、実は誕生が非常に古く、1966年に始まりました。私が4歳の頃から存在している保険だそうです。非常に歴史のある保険です。地震保険の特筆すべき点は、多くの保険が民間の損害保険会社によって運営されているのに対し、地震保険は国と民間が共同で運営していることです。これは大規模な地震が発生した場合、被害の規模が非常に大きくなることがあるからです。その場合、民間の損害保険会社だけでは補償しきれないことも考えられます。最悪の場合、保険会社自体が破綻するリスクもあります。そのような事態が起きれば、被害を受けた方々がさらに追い詰められることになります。そこで、国も一緒にリスクを担保し、バックアップ体制を整える形になっています。この仕組みは、まさにセーフティーネットと呼ぶにふさわしいものです。大地震が発生すれば、建物などが火災や損壊の被害を受けることが少なくありません。地震保険は、そうした被害を補償し、被災者の生活再建や経済的な打撃の緩和を目的としています。
地震保険では、地震そのものによる被害だけでなく、地震に伴う火山の噴火や津波による被害も補償の対象となります。例えば、地震や津波が原因で発生した建物火災、建物の損壊、土砂崩れによる埋没、津波や土石流による流出などが含まれます。これらの被害に対して補償が提供される仕組みです。具体的にどのような補償があるのかというと、例えば住宅ローンの返済を肩代わりしてくれる場合や、引っ越しや仮住まいの費用をサポートしてくれる場合があります。また、当面の生活費を担保する形で補償が行われることもあります。ただし地震保険は単独で加入することはできず、火災保険とセットで加入する形になります。このため、「火災保険が満期にならないと地震保険に加入できないのでは?」と思う方もいらっしゃいますが、実際には火災保険の期間中でも「今日から入りたい」と申し出れば、途中加入が可能です。こうした仕組みについて知っておいていただければと思います。さらに、地震保険の性質上、耐震性が低い建物については、特に加入を検討すべきです。地震がいつ来るかわからないからと加入を先延ばしにしていると、地震が発生したときに多大な損害を被り、火災保険では補償が適用されない場合があります。また、持ち家だけでなく、賃貸住宅に住んでいる方でも地震保険に加入することが可能です。賃貸物件の場合、大家さんが建物の被害を補償する一方で、借主も火災保険をかけることで、地震による影響をカバーすることができます。
地震保険には補償の限度額があります。建物については最大5,000万円、火災については最大1,000万円が上限です。たとえば、「うちの家は2億円相当だから、その全額を補償してほしい」といった場合でも、それ以上の補償額は設定できない仕組みとなっています。さらに、地震保険の特徴として、補償金の使い道が限定されていない点が挙げられます。生活再建に必要な費用であれば、どのように使っても問題ありません。ただし、地震保険の補償金額は火災保険の補償額に依存しています。たとえば、火災保険で1,000万円の補償を設定している場合、地震保険ではその半分の500万円が上限となります。「なぜ半分だけ?」と思うかもしれませんが、地震保険が発動されるようなケースでは、被害の規模が非常に大きくなることが多いためです。一方、火災保険は1件単位の損害に対応する仕組みであるため、保険会社が運営を続けやすいのです。地震保険では、こうした特性があることを覚えておいてください。
冒頭で能登の地震の悲劇についてお話ししましたが、このような悲劇は過去にもありました。例えば、1995年の阪神淡路大震災です。特に神戸市長田区では、街全体が焼けてしまうという大規模な火災が発生しました。その際、「うちは火災保険に入っているから大丈夫」と安心していた方々が、実際には火災保険の補償を受けられないケースがありました。なぜかというと、火災保険は地震が原因で発生した火災については免責となる場合が多いためです。当時の火災の多くが地震によるものであると判断され、保険が下りなかったのです。「え?」と思われる方もいるかもしれませんが、これは地震保険に入っていなければ補償されない仕組みになっています。能登の地震でも、地震が原因で火災被害を受けた方々が地震保険に加入しておらず、補償を受けられなかったというケースがありました。このような状況は本当にお気の毒としか言いようがありません。こうした事態を防ぐためにも、地震保険は新築住宅だけでなく、古い家にお住まいの方にとっても必要だと思います。一見高く感じる保険料も、冷静に考えれば必要経費として捉えるべきではないでしょうか。ちなみに、私の地元である兵庫県では、今後30年以内に震度5強以上の地震が発生する確率が80%と言われています。特に耐震性能が低い住宅では、震度5強でも倒壊の危険性があり、さらに密集地では地震をきっかけに火災が発生するリスクも高まります。こうしたリスクを考えると、地震保険の加入を真剣に検討すべきです。
一方、新築住宅の場合はどうでしょうか?最近では、耐震等級3をクリアしている建物も多く、「これなら地震保険は不要ではないか?」と考える方もいらっしゃいます。確かに、過去のデータを見ると、熊本地震では耐震等級3を満たしている建物の87.5%が無被害、残りの12.5%も軽微な損害で済んだという報告があります。このデータから見ると、耐震等級3の家は非常に安全だと感じられるかもしれません。さらに、地震保険では耐震等級に応じた割引があり、耐震等級3の場合は保険料が50%も割引されます。しかし、それでも「半額の割引にとどまる理由」を考える必要があります。それは、地震による被害が建物の揺れだけに限らないためです。例えば、地震が引き起こす火災、土砂崩れによる埋没、津波による流出など、耐震性能では防げない被害が存在します。また、大地震は1回だけで終わるとは限りません。一度大きな地震に耐えたとしても、その後に余震や別の大地震が発生する可能性があります。その際、耐震等級3の家でもダメージが完全にゼロというわけではなく、少しずつ蓄積することを念頭に置くべきです。
耐震等級3に加え、制振装置や免震装置を導入することで、地震の揺れによる建物へのダメージを軽減できるかもしれません。しかし、それでも地震による火災や土砂崩れ、津波などの揺れ以外のリスクには対応できません。こうしたことを踏まえ、建物の性能や周辺環境を十分に吟味した上で、地震保険の必要性を検討することが重要です。また、最近では南海トラフ地震の発生が30年以内に予想されており、さらに活火山の影響も地域によっては懸念されています。そのため、居住地域のリスクをハザードマップなどで確認し、自分の家の性能と合わせて保険を検討する必要があります。さらに補足として、洪水被害についても考えるべきです。洪水は地震保険ではカバーされませんが、火災保険の水災補償で対応可能です。これにより、洪水や土砂災害による床上浸水などに備えることができます。ただし、注意すべき点として、床下浸水は水災補償の対象外となる場合があります。このようなリスクに対しては、保険だけでなく建物の構造も考慮することが大切です。例えば、床下浸水の被害を軽減するためには、布基礎ではなくベタ基礎を採用するほうがよいと考えます。布基礎は水の抜けが良いという利点がある一方、泥や有機物が流入した場合の清掃が困難です。ベタ基礎であれば、泥の除去や消毒が比較的容易で、被害後の対応が迅速に行えます。
最終的には、「災害は忘れた頃にやってくる」という言葉の通り、保険に加入しておいてよかったと思える日が来るかもしれません。特に、現代は災害の頻度が増加しているように感じられます。20世紀と21世紀を比較すると、地震の発生回数が増加していると言われており、日本は災害リスクの高い時代に突入したのではないかと感じます。新築住宅についても、今の基準を満たした建物は50年以上、場合によっては100年近く使うことを前提に建てられるケースが多いです。そのため、一度建てた建物が数十年後に再び地震に見舞われる可能性を考慮しなければなりません。特に耐震等級3で建てた家でも、地震のたびにダメージが蓄積されることは避けられません。それを維持するためのメンテナンスや地震保険の活用も必要です。また、建てた本人が家の構造やリスクを理解していても、後世の子孫にその知識が引き継がれない場合があります。例えば、「この家は耐震等級3だから安心」と言われていても、見えないところでダメージが蓄積していることに気付かない可能性があります。そのため、建物の性能を維持する取り組みと併せて、地震保険で備えることが重要です。災害リスクを軽減するために、家の構造や保険内容を適切に検討し、長期的な視点で備えを進めていただければと思います。
——————–
ホームページはこちらです。
https://www.m-athome.co.jp/
新しいモデルハウスはこちらです。
https://www.m-athome.co.jp/modelhouse/yasumuro/
高性能リノベーションはこちらです。
https://www.m-athome.co.jp/lp/renovation/
見学会を受付中です。
https://www.m-athome.co.jp/eventinfo/tour
ルームツアーはこちらです。
https://www.youtube.com/@morishita.athome_room-tour