寒くなる前に確認! 「暖かい室内で高血圧を予防」
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寒さが本格化する前に、ぜひ改めて確認してもらいたい大切なことをお話しします。題しまして、「暖かい室内で高血圧を予防」というテーマです。
「森下さん、いつからお医者さんになったんだ?」と思わないでくださいね(笑)。これは家づくりの視点からのお話です。前回に引き続きという感じですが、もう一度しつこくお伝えしたいと思います。
▼寒くなる前に確認! 「足元の温度を高めて健康に」
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内容は、辻充孝先生の『全部絵でわかるエコハウス』という本を参考に、僕なりに解説していきます。前の動画を見ていない方も多いと思うので少し補足しますね。
現在「スマートウェル住宅調査」という、高性能な家とそうでない家を比較し、暮らす人間の健康や快適性にどんな影響があるのかを調べた調査があります。ここ数年でデータがしっかり蓄積され、そのエビデンスを基に辻先生の本が書かれています。僕らがなんとなく経験的に感じていたことや、一般の方が「なんとなくそうだろう」と思っていたことが、明確にデータとして数値化されているのです。
繰り返しになりますが、日本には約5,000万戸以上の住宅ストックがあると言われています。そのうち約9割、具体的には87%の住宅が現行の断熱性能基準を満たしていません。特に昭和55年より前に建てられた家はほぼ無断熱と言っていい状態です。現行の最低基準である「断熱等級4」を満たしている家は全体の1割程度しかありません。この状況が住み手の健康にどのような影響を与えているのか、考える必要があります。
暖かくない部屋や家が健康上のリスクをどう住み手に与えているか、その一例が血圧です。今ご覧の30代、40代の方、自分の血圧がどれくらいかご存じですか?僕も40代までは「上がいくら、下がいくら」と聞くけれど、普通の値がどれくらいか気にしたことがありませんでした。
僕は太っちょですが、40代までは血圧は普通でした。「健康そのものだな」と過信していたくらいです。ところが50歳を少し過ぎた頃、健康診断で測ったら上が150ありました。先生から「150は高いですよ」と怒られて、「それってそんなに問題ですか?」と驚いたのを覚えています。それくらい無頓着だったのですが、それが実は重大なリスク要因だったわけです。
若い人だったら、下が60いくら、上が120ちょっとくらいの人が多いですよね。でも、上が120とか150とか、人によっては200もある人がいます。それがどれだけ怖いことなのか、わからない方も多いと思います。今日はそういうことも含めて、高血圧に敏感な方にはもちろん聞いていただきたいですが、今のところ「関係ない」と思っている方にこそ、知ってほしい話です。
お医者さんでもない僕がこんなことを言うのも恐縮ですが、高血圧はすごくリスクなんです。人間が死ぬ原因は、交通事故などの突発的なものを除けば、三大疾病と言われています。1つ目は有名な「がん」。2つ目は循環器系、心臓や血液、リンパの流れに関連する病気。そして3つ目が頭の病気、いわゆる脳梗塞や脳出血です。
僕の親戚のおじさんは心臓の病気で亡くなりましたし、僕の父はくも膜下出血で亡くなりました。この二人に共通していたのは、血圧が高かったことです。若い頃、医者からこう言われたことがあります。「森下君、高血圧と糖尿病だけはなったらあかん。それになると怖い病気が出たときに、薬がうまく処方できなくなる」と。詳しい因果関係はお医者さんでないので説明できませんが、「怖い」という事実だけは知っておいてください。
僕は父をそういう形で亡くしたので、冬のヒートショックで血圧が急上昇し、それが引き金となり重篤な状態になる人を1人でも減らしたいと思っています。だからこそ、しつこいくらいに話しているんです。
さて、前置きが長くなりましたが、ここで1つの図を使って説明します。この縦軸が血圧の数値で、横軸が室温です。一般的なデータですが、5℃の室温では、若い人も年配の方も、みんな血圧が高くなります。なぜかというと、寒いと体が生きるために血液を送ろうと心臓が頑張るからです。これが血圧が高くなるメカニズムです。
図を見ると、20℃の部屋から10℃の部屋に移動すると、血圧が10.2mmHgも上がることがわかります。たった10℃の差でこれだけ血圧が上がるのは驚きです。さらに、80歳の男性の場合、25℃の暖かい部屋にいると血圧が低く抑えられます。60歳の男性でも23℃の部屋が適温となります。このように、部屋を暖かく保つことが、血圧を抑える上で非常に大事なのです。
ただし、年齢を重ねるごとに血圧は上がりやすくなる傾向があります。統計によると、健康な人でも10歳年を取るごとに血圧が7mmHgずつ上がるそうです。これが老化の一環なんでしょうね。
若い方はまだピンと来ないかもしれませんが、「ある日、突然来る」ということを、ぜひ覚えておいてください。僕も先輩から「森下、ある日突然来るぞ」と言われていました。その時はピンと来ませんでしたが、今になってその意味がわかります。若い方にもぜひ、将来を見据えて、今から気にしておいてほしいと思います。
統計によると、冬になり12月に入る頃から死亡者数が25%増えるそうです。
過酷な寒い日には、バタバタと人が亡くなることがあります。そうならないために、まずは家を暖かくすることが大切です。そして、その引き金になる高血圧症を和らげたり抑えたりすることができると、僕は思っています。
もちろん、暖かい家をつくるだけでなく、高血圧症については薬を飲んでセルフコントロールすることも重要です。これは医療に関わることなので、素人の僕が言うのも恐縮ですが、いろんな専門家のお話を聞いて、個人的にそう考えています。僕もまだまだこの世に未練がありますし、人生をもう少し楽しみたいと思っています。この気持ちは、きっと80歳になっても変わらないでしょう。うちの母もそうです。生きることに対する意欲は全く衰えていません。
特に今回お話しした統計は、起床時の血圧を基準にしたものです。人間の血圧は不思議なもので、1日の中でも変化します。そのため、定点で同じ条件下で測定しないと、正確な状態を把握するのは難しいです。僕は毎朝起きたらすぐに血圧を測っています。「今日は血圧が高いな」と感じたら、無理をしないように注意します。例えば、犬の散歩に行く時は、しっかり暖かいジャケットや手袋を着用するようにしています。昔は真冬でも薄着で外出していましたが、今では考えられません。
高血圧を予防するためには、住環境の整備、つまり暖かい家づくりが非常に有効です。これは「転ばぬ先の杖」のようなもので、強力な対策になると思います。僕にとってはライフワークでもありますので、しつこくお伝えします。どうか、自分の家で突然倒れて命を落とすようなことがないようにしてください。人生にはもっと素敵なことが待っていますから、ぜひ気をつけていただきたいです。
最後にまとめます。 50歳になったら、断熱リノベーションや断熱リフォームを本格的に検討してください。50歳の頃はまだ気力も体力もあるので、そのタイミングが最適です。62歳になった僕が言えることは、50歳の頃より確実にパワーが落ちているということです。何かを決断する力が弱くなっています。ですから、「もしかしたら遅いかも」と思う家があるなら、早めの決断をおすすめします。
これから冬が近づいてきます。家族や自分へのプレゼントとして、大事なおじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さんへのプレゼントとして、「暖かい家」という選択を本気で考えてみてください。
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