適材適所の床材選びについて
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今回は、家づくりの中で多くの方がこだわる「無垢の床材」についてお話しします。無垢の床は、足触りが優しく、年を重ねるごとに味わいが増すため、とても人気があります。少々の反りやひび割れといったデメリットがあっても、その魅力はそれをはるかに超えるものがあると私も思っています。
無垢の床材は主にLDK(リビング・ダイニング・キッチン)で使われることが多いですが、ここでよく聞かれるのが、「実用性やメンテナンス性を考えて、他に注意すべきポイントや別の選択肢はないか」という質問です。そこで、今回はこのテーマをもとに解説していきたいと思います。
最近、建築系の新聞記事で興味深い調査結果がありました。キッチンの床材について、現在は無垢材とそれ以外の素材が「4対6」に分かれているとのことです。つまり、40%の人はリビングやダイニングと同じく無垢の床材をキッチンにも使用し、残りの60%は水や油の跳ねるキッチンには耐久性の高い素材を選んでいるということです。
私個人の意見としては、無垢材でもキッチンに使って問題ないと考えています。水や油が跳ねても、こまめに拭いてさえいれば、適切なメンテナンスで問題は少ないでしょう。特にウレタン塗装がされているものなら、耐水性も高まります。ただし、料理が多いご家庭や、特に油を多用する場合には、別の素材を選ぶのも理解できます。
もし無垢床をキッチンで使用し、汚れが気になるなら、キッチンマットを敷くことも一つの解決策です。立ち仕事が多いキッチンでは、足や膝の負担を軽減するためにもマットは役立ちます。特に「アサヒ軽金属」が提供している「ドクターマット」は、長時間立っていても疲れにくいと評判です。キッチンで無垢材を使う方には、このようなマットも一緒に検討すると良いでしょう。
また、キッチン床材の別の選択肢として、クッションフロアやPタイルを挙げておきます。クッションフロアは塩化ビニール素材で、耐久性や防水性が高く、手入れがしやすいという点で人気があります。最近は、Pタイル(プラスチックタイル)も再評価されています。昭和の学校や食堂でよく見かけた素材ですが、耐久性とデザイン性が向上し、現代の家づくりでも採用され始めています。
大体1.8mぐらいの幅で、それが長いロールでジョイントしていく感じなんですけど、いろんな柄があって、厚みも1.8から3.5ミリ以上のものがあります。さっきのクッションじゃないですけど、クッション性のあるクッションフロアですね。
これ、昔はトイレとかユーティリティに貼る方が多かったんです。コストも安いし、クッション性もあるし、デザインのバリエーションが豊富でした。でも、最近ではそれに飽き足らず、Pタイルが主流になってきました。
Pタイルは大体45cmとか35cmくらいの角の薄いタイルで、「P」はプラスチックの略です。プラスチック樹脂でできていて、厚みは昔は2.5ミリと決まってましたけど、最近はもう少し厚いものも出てきました。
このPタイルには2種類あります。一つは「コンポジションタイプ」で、これは単層タイプと言って、タイルの表面から中身まで同じ樹脂でできているんです。だから、例えばブルーのタイルなら、少し傷ついても下地が見えることなく、ずっとブルーのままなんです。昔、教室に貼っていたのは、この耐久力と摩擦への強さから選ばれていたんです。
もう一つは「ホモジニアタイプ」です。こちらは複層で、コンポジションタイプに比べて柔らかいですが、柄が豊富なんです。デザイン性を重視する方に好まれることが多いですね。ホモジニアタイプでも、重歩行用のものがあって、例えばワンちゃんを飼っている家でも、これを貼っておけば傷がつきにくいです。そういった理由で、このPタイルは最近人気があります。
木造の床に貼る場合は、主流のネダレス工法で24ミリのベニヤの上に、無垢のフロアや薄いシート、タイルを貼ります。その際、無垢のフロアとPタイルの間に「見切り」を入れるかどうか悩む方が多いんですけど、僕は見切りを入れた方が良いと思います。
特に、フロア材の小口が見えてしまう場合や、見た目を綺麗に仕上げたいときは、見切りを入れるべきです。ただし、場合によっては見切りなしでも良い場合もありますね。
こういう点を考慮すると、耐久性の高い素材と無垢材がうまく収まって、汚れが飛び散っても気になりません。Pタイル系を貼っておけば、長い間綺麗な状態を保てます。でも、樹脂の素材が安っぽく感じるという方もいらっしゃいます。そういった方には、タイルや石を貼るという方法もおすすめです。
タイルを張ったら「冷たいんじゃないですか」とか「冬、嫌じゃないですか」とよく言われます。ですが、例えば僕たちが推奨する高気密・高断熱の家や、床下エアコンを使っている家では、床の断熱性能が高く、表面温度も高いんです。なので、石やタイルを張っても冬に不快になることは少ないと思います。そういう意味で、こういったものを張るのも良いんじゃないかなと思います。
ただ、その時に一つの争点になるのが、無垢のフロアを張って、その隣にタイルを張った時に、ジョイント部分をどうするかという問題です。この断面の変化は、わかりにくいかもしれませんけど、やり方の一つは目地を作ることです。タイルには目地があるじゃないですか。それと同じように、木質フロアとタイルの境目にも目地を入れる方法があります。
この目地には、弾力性の高いシーリングを使うのがおすすめです。例えば、イナックスの「インテリアフロアシーリング」という商品名のものがあって、床の目地に適した材料なんです。少しお金がかかりますが、純正のタイルに馴染む商品を使うと、見た目も綺麗だし、耐久性もあって割れにくいのでおすすめです。
他の方法としては、「床見切り」を入れることもあります。床見切りは、大きく分けて2種類あって、「T型見切り」と「L型見切り」です。T型は簡単で、接着剤を使って上からペチョッと押さえる感じです。手軽でコストも安いですが、外れることもゼロではないです。
L型見切りは、タイルの下側を床の下地にビスで止めるので、耐久性がありますし、見た目もシャープです。ただし、タイルとフロアのジョイント部分には目地を取り、コーキングするのがポイントです。タイルは多少ひねりがあることが多いので、隙間が完全にぴったりとならない場合があります。そのため、目地を取っておくことで埃がたまりにくく、綺麗に仕上がると思います。
また、新築時は床下に24ミリのベニヤを使うことが多いですが、リフォームやリノベーションの場合は既存の「ネダ」を利用することがあります。この時はネダのピッチに注意が必要です。大体30cmピッチぐらいでネダを細かく入れる方法と、455ピッチでざっくり入れる方法がありますが、455ピッチの場合は15ミリぐらいの合板を使う方が良いと思います。そうしないと、タイルや石を貼った時に振動が伝わりやすく、目地が割れやすくなるからです。
最後に、目地材も重要です。イナックスの「スーパークリーンインテリアフロア」や「スーパークリーンストロング」といった商品名の目地材が人気ですが、他のメーカーでも粘りがあって割れにくいものを選ぶと良いです。タイルや石のデザインにこだわる方が多いですが、目地にも配慮して、しっかりとした素材を選んでください。
それで、クッションフロアとかPタイルを選ばれるのは、僕は全然いいと思うんですけど、一つだけ余計なおせっかいがあるんです。それは、選ぶときに柄やフェイクを慎重に選んだほうがいいということです。柄やフェイクには必ず流行りがあって、大体僕の感覚では5年くらいでガッサリ変わるんですよね。
家を見に行くと、「これは10年前の柄だな」「これは5年前」「これは15年前くらいに流行ったな」とすぐにわかります。ずっと住んでいたら気にしないかもしれませんが、無地のほうが無難かなと僕は思います。新築やリフォームで変わったことをしたいと思うかもしれませんが、内装の色味は3色までに抑えるのがきれいに仕上げるコツです。
例えば、壁や天井が白っぽいクロスで、床がブラウンの板材なら2色。これで無地を選んで3色に収まります。もし柄を取り入れると、4色、5色、6色になってしまい、コーディネートには高度なセンスが必要になります。センスのある人ならチャレンジしてもらってもいいですが、流行りは移り変わるので、ベーシックなものにしておくのがいいかなと思います。
最後に、無垢系の素材が好きな方から「脱衣所やユーティリティにはクッションフロアを貼るところが多いけど、ここだけ別素材にしたい」とか、「もっと快適で気持ちの良い素材はないの?」とよく言われます。その場合には、自然素材の床材が良い選択肢です。
代表的なものが3つあります。まず、糖(とう)の床材です。糖はヤシ科の植物で、ラタンとも呼ばれることがあります。ラタン家具は竹よりも軽くて、柔軟で、しなやかさがあり、強度もある。細かく裂いて床に貼ったものが糖の床材です。
もう一つは竹の床材。だいたい40cm角で、糖なら厚みが8ミリ、竹だと薄いものでは5.5ミリがあります。温泉の脱衣所やゴルフ場のお風呂の脱衣スペースで使われていることが多いですね。これを見ているお父さんたち、ゴルフやってる方は「あるある」と思ってもらえるんじゃないかな。
特徴としては、足触りがいいのと、水切れが良いという点です。バスマットでちゃんと足を拭いてから上がってもらうと良いですね。糖や竹なので、もちろん塗装もされていますが、糖の床材には不織布をバックに使ったものや、天然ゴムを貼ったものもあります。
不織布のものは湿気を吸収して足触りが良くなりますが、例えば、やんちゃな男の子が3人いて水浸しにするなんて場合は、ゴム系の方がメンテナンスがしやすいかなと思います。そういうことも踏まえて、選んでいただけると良いかと思います。
竹に関しても、糖と同様に水分があると伸びる性質があります。乾燥しすぎると油分がなくなり、バラバラになったり、ささくれが出やすくなることもありますので、素材の特徴として頭に入れておいてください。また、紫外線焼けについても、普通のフロアと同じように影響を受けます。
そして、もう一つご紹介するのがサイザル麻です。これは麻で作ったタイルカーペットのようなイメージです。だいたい50cm角ぐらいで、厚みがあり、ふわっとしたループ状のものがあります。麻は夏に好まれる素材で、断熱性や調湿性、防音性もあります。色合いも染められるので、グレーや茶色、麻の自然な色合いなど、お好みに合わせて選ぶことが可能です。
ただし、水分を含むと繊維が縮む傾向があるため、無垢の床と同様にばらつきが出ることは念頭に置いておいてください。ぜひ床選びの参考にしていただければと思います。
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