台風に備える家づくり2024
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今回の台風15号、なかなか癖のある台風でしたね。多くの方が台風の被害に遭われて、広範囲にわたる被害が出たと思います。改めてお見舞いを申し上げます。
そういうこともありまして、今日は2024年度版の「台風に備える家づくり」について、もう一度確認していきたいと思います。いつものように僕の板書を見ながら、僕のうだうだした話を聞いてもらえたらと思います。
まず、台風が本当に怖いなと感じるのは、今回の台風もそうなんですが、500年に一度のレベルの台風という言葉があります。僕が子供の頃に教えてもらったのが、1959年に上陸した伊勢湾台風です。伊勢湾台風はすごい台風だったみたいで、僕は子供だったから実感はないんですけど、年寄りの方々が大変な被害に遭ったと聞いています。
姫路やこの周辺はまだマシだったようですが、中部地方の方はひどいことになり、家が倒れたり、亡くなった方も多く出ました。三重県から名古屋方面に突き抜け、新潟まで、富山県・長野県もひどい目に遭ったそうです。それが瞬間最大風速55.3メートルの記録で、当時の建物はひとたまりもなく、多くの命が失われました。これが500年に一度の出来事だと言われたそうです。
それはさておき、2018年には大阪に台風21号が上陸しました。関空の連絡橋に船が突っ込んだり、大阪のある地域では瓦が飛んだり、軽自動車が転んだりと大変な被害でした。その時の瞬間最大風速が58.1メートルで、伊勢湾台風を上回る風の強さでした。500年に一度の台風がもう一度来たような感じで、僕もすごくビビりました。
最初は姫路に上陸すると言われていたので、現場がいっぱいあるしどうしようとドキドキしましたが、最終的には大阪に逸れてくれました。大阪の方々には申し訳ないですが、正直ホッとしたのを覚えています。
そして翌年、2019年に千葉に台風15号が上陸しました。ゴルフ場の巨大なネットが倒れた時の台風で、その時の瞬間最大風速が57.5メートルでした。500年に一度ではなく、連続して巨大な台風が来るような感じで、本当に台風は怖いと感じました。気候変動の影響で、昔よりも大きな台風が来るリスクが高まっていると、みんなが認識し始めた時期でした。
そして、今回の台風10号ですが、初期の報道では大阪に来た台風21号くらいの規模かもしれないと言われていました。実際に被害を受けた方々の話によると、今回は雨が強かったんです。風よりも雨の印象が強かったですね。
今回は姫路は台風が逸れてくれましたが、被害に遭われた街もあります。みんな、自分ごととして考えなければならない時代になっています。なので、もう一度、台風に備えるための知識を確認しておくべきだと思いました。
台風被害には3つの種類があります。1つ目は風害、つまり風による被害です。台風といえばやはり風が怖いという印象がありますよね。2つ目は水害、つまり雨です。特に最近は豪雨による床下浸水や床上浸水が多発しており、被害を受けたら本当に絶望的な気持ちになります。3つ目は高潮被害です。台風による低気圧で海が持ち上げられ、満潮時に重なると、雨が少なくても海岸沿いの家が浸水することがあります。
これら3つの被害に対する対策が必要です。まず、風害に対する対策ですが、瓦が飛ばされることや、鉄板や瓦棒がめくれることが問題です。
あれは何かというと、屋根材の固定がしっかり野地板や垂木にされていないケースです。これをしっかり固定することが大事なんです。
最近の瓦は一枚一枚ビス止めされていて、かなり固定がしっかりしていますが、昔の家では瓦を並べただけとか、瓦桟に引っ掛けただけ、という場合もあって、そういうのがよく飛んでいくんです。最近のビスで固定された瓦が飛ぶことは、かなり少ないんじゃないかなと思います。
もちろん、釘やビスを打っていても、それが鉄製で錆びていたら飛ぶ可能性があります。今ではステンレスのビスを使うことで、錆びにくくなり、固定もしっかりされるようになってきました。なので、瓦そのものの問題ではなく、固定の仕方がすごく大事なんです。
それから、過去の動画でも説明しましたが、僕たちは「軒のしっかり出た家がいい」と言っているんですが、台風の時は軒が出ていると風で煽られやすくなります。下から風がバッと軒を煽る様子は、想像できると思います。このため、軒の出し過ぎには注意が必要です。
特に、地理的な条件によっては、岬の外れや高台の場所では風の被害が大きくなる可能性があります。軒を出す際には、屋根垂木を伸ばす必要がありますが、その垂木が建物の桁や梁にしっかり固定されていることが重要です。この部分については、別の動画で詳しく解説しているので、興味があればそちらも見ていただければと思います。
さらに、タルキックやハリケーン金物といった、風の煽りを食い止めるための対策も必要です。風の力についてはこの後詳しく説明しますが、ガッと屋根を持ち上げる大きな力がかかると、垂木だけでなく、母屋や束、梁などの部分もしっかり固定されていないと、屋根全体が飛んでしまうこともあります。
建物全体に風が当たると、言ってみれば屏風のような状態になります。屏風に風が当たると、下が固定されていなければ、メリッと取れてしまうこともあります。基礎と壁をしっかり緊結するために、ホールダウンアンカーやボルトアンカーを使うことが必要です。これらは地震対策としても有効ですが、台風の際にも建物を支える役割を果たします。
さらに、家の形状についても考えなければなりません。シンプルな四角い家の方が、風に対して強いと言われています。複雑な凹凸を持つ家や、庭があるコの字型の家は、風の影響を受けやすいです。地形によっては、家の形状をよく吟味する必要があると思います。
そして、今回特に注目したいのが、雨戸やシャッターの有効性です。これらは台風時に非常に役立ちます。台風の風が建物に当たると、その面に「正圧」という押す力がかかります。この押す力に対して建物がとどまっているのは、内側からの押し返す力とバランスが取れているからです。
内圧も一つの要因になりますが、特定の条件下でしか大きな影響はありません。台風時、屋根に当たった風が建物を超える際に、風の力が大きく作用します。
風がビュッと一方から吹いてきて、屋根の棟を越えた瞬間に力の作用が変わります。今度は押す力が引っ張る力に変わり、これを「負圧」と呼びます。実は、この負圧が台風で最も怖い現象です。屋根が飛んでしまうのは、この負圧の影響が大きいのです。
例えば、台風で南側に大きな窓がある家だと、強い風が吹き付けて窓が割れてしまうことがあります。その時、風が家の中に入り込み、内圧が急激に高まります。これは風船に空気を入れた時のように、家の中の圧力が増加するというイメージです。この内圧が外の負圧と合わさると、建物の一部が飛んでしまう危険性があるのです。
この現象を防ぐために、雨戸やシャッターが非常に有効です。台風の風が直接家の開口部に当たらないようにすることで、内圧が急激に高まるのを防ぎ、屋根や壁が飛んでしまうリスクを減らします。特に、台風対策が進んでいる沖縄や奄美大島などでは、雨戸をしっかり閉め、開口部を守るためにロープをかけたり、木材をバッテンに打ち付けたりすることが一般的です。
また、窓ガラスが割れても飛び散らないように、飛散防止フィルムを貼ることも効果的です。これにより、急激に空気が流れ込むのを防ぎ、内圧の急上昇を抑えることができます。
さらに、最近の窓ガラスやシャッターは、風の圧力に対して強く作られているものもあります。特に、風の強い地域では台風用の厚手シャッターを設置することも非常に有効な対策です。住宅地の中では風の影響が緩和されることが多いですが、草原や高台にある一軒家などでは、これらの対策をしっかりと考慮する必要があります。
また、家を建てる際には耐震等級と同じように、耐風等級にも注意を払うことが重要です。耐風等級1は、伊勢湾台風の時に多くの家が倒壊した教訓から生まれた基準です。
そういう中で、まず命を守ることが重要です。しかし、命を守るだけではなく、その後も安全に生活し続けるためには、耐風等級2という強度を持つ家が求められます。耐風等級2は、耐風等級1の1.2倍の強度があり、より強い風に耐えられる設計です。耐震等級3の家を検討している方は、耐風等級2の要件も考慮し、風に対する強度も十分に検討することが大切です。
次に、水害と高潮の対策についてですが、ハザードマップをチェックして、浸水リスクを把握することが重要です。例えば、1階の床の高さを50cmから1m程度に設定することで、浸水リスクを減らすことができます。高基礎や造成で地盤を上げる方法もあります。また、場合によっては1階を車庫にして、2階で居住することも考えられます。浸水が予想される高さに合わせて、車庫として使えるだけの最低限の高さにするのも一つの方法です。
さらに、電気設備も高い位置に設置することが推奨されます。例えば、エアコンの室外機やエコ給湯器などが水に浸かると使えなくなる可能性があります。これらの設備は、高い場所に設置することで、被害を防ぐことができます。壁付けや台を設置するなどの対策が有効です。
以上の対策を講じることで、台風や水害に対する備えが強化され、より安全な家づくりが可能になります。
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