これからの家は市街地に建てた方がいい理由
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今回は、これから家を建てるなら市街地に建てた方がいいと思っている理由について解説します。
日本は終戦から立ち直り、第二次世界大戦から高度経済成長期を経て、バブル経済と言われる時代になりました。この頃には人口も増え、急激に都市が拡大していきました。その後、バブル崩壊の後には平成の時代になりました。平成前期(西暦1989〜2004年頃)に社会問題になったのが、中心都市の中心部の空洞化です。「シャッター商店街」とか言われたあれです。1990年に、大規模な小売店を規制する法律が改正になり、そのおかげで都市の郊外に大規模な小売店ができました。ショッピングセンターみたいな感じです。
平成後期になると、様相が変わってきました。西暦2005〜2018年の間に、日本には強烈な変化が起きました。総人口がピークアウトしたんです。2008年を頂点にして、一気に人口減少・少子高齢化が甚だしくなってきました。その結果、市街地の衰退がどんどん進みました。スポンジ化が進み、高齢者は交通弱者になりました。中心市街地には公共交通機関があったけど、スポンジ化したら使う人がいなくなり、どんどん廃れます。
ものすごく大きな問題が出てきたのが、郊外の建物・街もだんだん中心街と変わらなくなってきたり、高齢化が進んだりして、中心地が歯抜けになってきたことです。その結果、上下水道の公共投資・整備がおろそかになってきたり、苦しくなってきました。水道管が直されないなんて、今まで考えたこともなかったですが、そんなことが地方では起きてきました。
これを受けて、当然国は動きを変えてきます。一番有名なのが、2014年に制定された「改正都市再生特別措置法」通称コンパクトシティ法の施行です。簡単にいうと、膨張した街をコンパクトにしていこうという法律です。狙いはいわゆる旧市街地のコミュニティが歯抜けになってスポンジ状態になったのを再生して、もっと活気のある住みやすい街に活性化していくことなんです。
国としては、高度経済成長の時代に本当はやるべきだったのは、将来の人口減少を考えると都市部の高層化だったんです。だから、郊外に住んでいた人が年を取って住めなくなった時、駅近のマンションがほとんど高齢者で埋まっている現状です。まさに行政が狙った通りに人が集まってきて、その結果、都市部の固定資産税が高くなる。人が多く住むため、固定資産税が増え、都市計画税も上がる。そのため、地方の税収の確保も容易になります。さらにコンパクトシティになることで、限られたエリア内での公共サービスやインフラ整備が合理化できるのです。少ない範囲に集中的に投資できるからです。これが国が進めている国策の1つで、大きな社会の潮流になっています。
さらに言うと、2023年12月には新たな法律が改正されます。それが空き家対策特別措置法です。しかし、どうやら行政はこれだけでは不十分だと感じたようです。なぜかというと、空き家が「特定空き家」になるまでには段階があるからです。その途中に「管理不全状態の家」という状態があります。例えば、草がボウボウに生えている程度の家は「管理不全」と呼ばれます。このような「特定空き家」になりそうな兆候がある空き家に対しても問題視するようになり、そのために「管理不全空き家」という新たな言葉が作られました。「特定空き家」の前段階の空き家も問題として扱うようになったわけです。
それに対してどういう対応が取られるかというと、住宅を建てると固定資産税が優遇されていた仕組みがありました。自宅で住む場合は固定資産税が6分の1に優遇されていたのですが、「管理不全空き家」になった場合はこの優遇措置を廃止するというものです。これにより、放置している人たちの固定資産税が増えるというわけです。
こういった動きがある中で、これからは市街地の不動産が大きく動いてくると思います。昔はみんな市街地に住みたかったけど、土地がなくて高すぎて手が出なかった。一方で郊外は手頃で、若い世代が住みやすかったため、郊外に広がっていったという経緯があります。しかし、現在はコンパクトシティを進める中で、社会インフラの維持が難しくなってきた。これが時代の流れとしてはっきりしてきたわけです。
だから、これから新しい家づくりを考える人は、市街地に注目するのも悪くないと思います。
2075年の予想では、人口の38.7%が高齢者になるとされています。これを逆算すると、若い人の数は50年後に4300万人になる見込みです。つまり、現在の約9000万人の若年層が、50年後には半分以下の人数に減少するわけです。これが50年後の日本の現実です。
暗くて重い話に聞こえるかもしれませんが、これがこれからの日本の「見たくない現実」です。この現実を踏まえて、賢い若者たちには強調して言いたいことがあります。50年後を見据えている彼らにとって、市街地に家を建てる選択肢は決して悪いものではない、ということです。
最後にまとめとして、ドラッカー先生の言葉をご紹介します。彼は「人口減少社会というのは暮らしの合理化を促す。そして、この変化はすでに始まっている」とおっしゃっています。つまり、人口減少問題による影響は既に進行しており、これは未来ではなく「すでに起こっている未来」であるというニュアンスで語られています。この人口問題が私たちの生活に与える影響は非常に大きく、彼の洞察力には改めて感心させられます。
これから家づくりを考えている方には、市街地も一つの選択肢として検討してほしいと思います。ひょっとすると、今まで何でもないと思っていた場所でも、これからの時代には郊外で暮らすことがますます難しくなるかもしれません。つまり、住むのに覚悟が求められる時代がやってくるのです。
この話は脅しではなく、切実な現実の一面として、家づくりや暮らしを考える際の参考にしていただければと思います。
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