多機能洗面台からシンプル洗面台にした方がいい理由
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今回も先日紹介させていただいた大島健二先生が書かれた「住まい方解剖図鑑」の中から、すごく参考になったことについて解説します。
テーマは、多機能洗面台からシンプル洗面台にした方がいい理由についてです。
今普通に売っている住設メーカーの洗面台は、多機能洗面台が多いんですけど、シンプルな洗面台にした方がいいという理由について確認をしていけたらと思います。
多機能洗面台は簡単に書くとこの絵のような感じです。三面鏡の鏡があって、鏡の後ろが全部収納になっているタイプです。その上にLEDライトが付いていて、上にはアッパーキャビネット(吊り戸)が付いています。水栓に関しては、三面鏡の真下から出るような感じです。
水栓が水槽の上から出る作りにはメリットがあります。昔の蛇口は洗面台の面から出ていましたが、そうするとあそこは必ず汚れるんです。上から出ることによって汚れる率が少なくなり、掃除の手間が軽減されます。
引き出しは大概のものが2段のフルスライドになっていて、そこにたくさん収納できます。すごいものでは、巾木の部分に体重計まで格納できるタイプのものもあります。体重計は結構邪魔ですよね。こんな感じで、多機能洗面台は結構「いいよね」ともてはやされている感じです。
間取りはこの絵のような形が可能になります。お風呂があってその隣に1坪ぐらいの洗面脱衣場(ユーティリティー)があって、そこに多機能洗面台・洗濯機がある感じです。
多機能というぐらいなので、脱衣スペースでは体重チェック・手洗い・洗面・ドライヤー・髭剃り・歯磨き・スキンケア・お化粧・整髪など、全てをこの機能でカバーできます。でも実際は、ここには今挙げたものよりもたくさんの物が集まってくる傾向があります。1坪ぐらいの多機能型洗面台を駆使したコンパクトユーティリティーは、キャパオーバーになる傾向が多く、家が片付かない元凶になります。
これを受けて、ではどんな風にしたらいいのかを描きました。まずお風呂があったら、隣には脱衣室が必要です。私は見られても平気ですけど、うちの娘たちは怒ります。1畳ぐらいあれば、収納もある程度取れますし、脱ぐのにも足りますよね。そしてその隣に洗面スペースがあります。この洗面スペースに関しては、先ほどの最近多い例では脱衣場に取り込まれた感じでしたが、この洗面スペースはオープンになっています。その横には洗濯機とスロップシンクを置きます。洗濯スペースの面積は増えますが、合理性・家事のしやすさ、最終的にキャパオーバーさせないことを考えると必要だということで、提案されています。
スロップシンクはこの写真のようなもので、深さがあるのが特徴です。例えば野球・サッカーをやっているお子さんがいる場合、泥んこにして帰ってくることが多いと思います。靴下をいきなり洗濯機に入れるわけにはいかないので、下洗いしますよね。また、ウール等の高級なものは優しく手洗いをした方がいいとなると、スロップシンクはおすすめです。それから他にも、スニーカー・バーベキューで使った後の道具・頑固な油のもの・泥のついた野菜なども、ここで洗えます。スイカやビールを冷やしたりするスペースにも使えます。そういう意味で言うと、これはキッチン・ダイニングに近い方が、動線的にはいいと思います。
シンプルな洗面台にして何がいいかというと、収納に関して割り切っているので、洗面台が洗面室に取り込まれた形にしなくてもいいことです。そうすると、この絵のように洗面台の上に窓を設置して、明るさを取ったりもできます。普通洗面台のところに窓は付けられないですが、機能を絞ることでこういうことができます。
さらに私が思うのは、「洗面台」なので、一番しなくてはいけないことは洗面なんです。洗面台を「洗面ボウル」「洗面ユニット」などと言いますが、これは実に洗いにくいと感じます。私は顔を洗うのが好きなんですけど洗面器やたらいが一番洗いやすいです。洗面台で排水の栓をしてお湯を溜めて顔を洗うこともできますが、ボウルが結構大きいから、溜まるまで水を入れたら時間もかかるし、水が大量に必要です。大体みんな蛇口から水を流したまま顔を洗って、水を手ですくっている時以外、蛇口からは水が流れっぱなしです。この時に、洗面器があると水を受けて溜めながら顔を洗えるので、水も無駄にならないし実際に洗いやすいです。蛇口から出ている水を受けて顔を洗うのは洗いにくいです。特にスキンケアを重要視している方は、騙されたと思って、洗面台・洗面器を使うシンプル洗面台の効能を見直してもらえたらと思います。
また、洗面台がユーティリティーに取り込まれていないメリットとして、例えば娘さんがお風呂に入ってる時に、お父さんが顔を洗うことができます。また、来客があって手を洗ってもらう時にもルートが作りやすいです。極端に言うと、洗面所を独立させてもいいんです。私は玄関の傍に洗面台があるといいと思っています。ウィズコロナじゃないですけど、外から帰ったら洗面所までいかなくても玄関で手を洗えます。わざわざ手を洗うためだけのものにするよりは、洗面台でかねるというのも結構合理的だと思います。なので、玄関の傍・リビングの傍に洗面台があるのがいいと思っています。それが、シンプル洗面台なら可能なんです。多機能洗面台は、上手に置かないと野暮に見える時もあります。
何より、シンプル洗面台にすることで朝の渋滞が減ります。朝のシャワーを浴びている人が、洗面所を使っている人と渋滞することがよくありますよね。また、家事の効率も上がります。1坪のユーティリティーだと、キャパオーバーしてぐちゃぐちゃになる可能性があり、家事の効率も下がります。面積を使ってしまうという点はありますが、ぜひシンプル洗面台でもう1回間取りを考えてみてください。
私は最近、広いリビングダイニングに対しても、少し考えてみてもいいかなという思いがあります。リビングダイニングをコンパクトにして、シンプル洗面台にして、総面積を抑えながら調和させるのもこれからの家づくりには必要だと思います。
「リビングはこれぐらい」「お風呂はこんな感じ」と間取りを考える中で、人の動きを1つの各論から最適なことを考えてから、その上で全体の最適を考えるというのも、間取りづくりにおいては必要だと思います。ぜひ参考にしてみてください。
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