家づくりで初めに直面する「理想と現実」のギャップについて
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今回は家づくりを真剣に始め出すと、必ず直面する自分たちの理想と現実のギャップについて、お話をします。
まずは家づくりに関する重要な情報を集める事、絶対にやりますよね。それから「家欲しいけどどんな家にする?」みたいな、自分たちの夢とか希望の確認です。それから家を買う時に大きなお金が動くから、お金の計算もしますよね。もし土地がまだなくて、土地から家づくりを考える方は、土地探しを始めてみる、物色してみることがあると思います。そうすると、自分たちの家にどの程度のスペック、性能・仕様とかそういうものはいるのか、そういうものがどこまでやったらいいのか、みたいなことも含めて、ここがちょっとわかってきたりします。
その中で大きいお金に直結する事を言うと、コストの上昇になります。ちょっと前では、何もかも妥協してじゃなくて、ある程度の事をやって60万・70万円でできた。でも今はどうかというと、80万~100万円ぐらいはいるんじゃないかな、という時代になりました。
ただ高くはなったけど、省エネ性能が上がった。つまり、断熱・気密性能が上がったり、光熱費が抑えられるようになったということです。そのことに合わせて、非常に快適性も良くなった。光熱費が抑えられるということは、経済性もアップした。経済性の中にメンテナンスのやりやすさ、そういうものもアップしたということがあるんですけど、価格は大きく変わった。つまり敷居が高くなったということが起きてます。
その結果、自分たちが思う理想と、自分たちの目の前に展開する現実のギャップというものに対して、あちゃーって感じになって、どうしたらいいんだろう、諦めないとアカンのかなみたいな感情を持たれることも多いと思うんです。その中で僕は、家づくりをやる方に勇気・希望を持ってもらって、楽しい家づくりやってもらいたいスタンスなので、少しお節介に皆さんにお伝えしたいのが、ここからの話になります。
1番思うのは、住み替えのことです。今ある住宅環境から住み替えて、違う住環境を手に入れることになるので、それは人生リセットだなと思います。例えば子育てがこれから本格化する若いご夫婦の方、それから子供達も一人前になってこれから夫婦二人暮らしに入っていくというシニアの方もそうだと思うけど、自分の配偶者・パートナーの心の中に持ってる本音を知る機会に、家づくりはなります。例えば親の問題があるかもしれない、子供との付き合い方もあるかもしれない、夫婦のあり方もあるかもしれない。そこがどのように君・あなたは思っているの? 理解できるタイミングになることがあると思います。
それから日本人ではよく言われる「生活するなら断捨離した方がいいよ」とよく聞くじゃないですか。ものを最低にしてミニマムにするとそれがいいのはよくわかるんですけど、僕61歳ですけどいろんなものが家にはあります。でもそれをある日断捨離しようと言ってもできることがなかなか見つからずできないんですけど、唯一断捨離ができるタイミングというのも住み替えの時だと思います。この話は、若いこれから家を持つ方じゃなくても、シニアの方でこれからの建て替えとか大規模リノベーションとか住み替えを考える方に関しても、あることなので、とても良い機会だなという視点も必要じゃないかなと思います。
その上で、ギャップが目の前に出現した時に、よく用いられる解決の方法としては、物事をリフレーミングしてみるとよく聞きますよね。物事の枠組み・視点を変えるということ。
例えば理想の住まいを考えた時の、あなたが考えてる家具は本当にいるのか。当たり前のようにリビングにソファーを置く方がいますが、本当にソファー要りますかとか、親御さんから持たしてもらった昔は嫁入り家具みたいなものは本当に必要なのか、それを簡単に処分すると言ってるのではなく、機会としてそれを考えてもいいと思います。
そしてもっと言うと、例えばリビング何畳の広さが欲しいとか、この家はどれぐらいの子供部屋にしてあげたいと言うけど、その広さは本当に必要かというのも1つ考えてみると、家づくり変わってくると思います。そんなにお金かかるんだったらと言うんですけど、だんだん生活していき歳も取ってくると、体が若い時みたいにいかない、無理がきかない状態になった時に、本当に暖かい家・涼しい家の必要性は若い時もなんですけど、年取ってからもっといったりすることも頭においてほしいです。
もっと言うなら、僕もようやく子供たちが全員社会人になったので思うけど、子供はびっくりするぐらいすぐ育つなと思います。可愛かった時代がもっと続いたらいいのにと思うけど、やっぱり子供は僕は娘なので可愛いんで手放したくないけど、やっぱり独立してもらわないといけないじゃないですか。いつまでも親を依存してるようじゃ、人としての成熟度としてどうなのかなと冷静に考えたら思います。
手放したくはないけど、それから家やるときに、自分たちの力でやるのは基本なんですけど、子供が成長したなぁと感じる瞬間は、親にきちんと頭を下げたりとか、真剣に相談できるのはすごい重要なことだと思います。自分たちの力だけでやるのも重要ですが、やっぱり相談してみる事はあるので、例えば親に相談したら、枠組み変わるんじゃないのかとか、土地を求める人だったら、あなたが欲しいと夢に描いている立地は本当に必要なんですか。例えばもっと安い土地じゃなかったらアカンと思う人なんかでも、逆に見て言いたいんですけど、交通費・時間の節約と考えた時に差額はあなた達にとって本当の利益になるのではないかという視点とかです。
以前も紹介したけど、坂本貴志さんが書かれた本があります。これは実際の60〜80代の人たちの定年後の生活を詳しく調査し、統計を取り、分析した本です。
大きなギャップにぶつかった時、家づくりを諦めるか、もう僕たちは賃貸でいいんじゃないかな、と思う人もいらっしゃいます。1つの現実として知ってほしいのは、60代〜80代のシニアのご夫婦になると思うけど、大体年収は300万円以下の人が多いそうです。一方でその人たちの生活費には、月30万円以上かかっています。そうすると300万円では足りませんよね。年金で補う部分もあると思いますけど、そのことで言うと、70代の多くの人は実際に働いている割合が45.7パーセントあるそうです。
みんな定年後は無職になると思うんですけど、坂本さんは結論としては、持ち家は賃貸よりも良い選択になるケースが結構あるとおっしゃっています。借家暮らしを選択した人っていうのは、65歳以上の方も、大体月平均5.1万円の住居費をいつも使っていられるそうなんです。
持ち家の人は65歳ぐらいになると、多くの人がローンを完済しています。だからあまり居住費にかけなくても、月1万円ぐらいで住んでいるケースが多い。さっきも言いましたように、年収300万円ぐらいになった時に、月5万円の出費は非常に生活にとって大きいので、持ち家を考えるのは悪くないということです。
40代の80パーセント位の人は今持ち家を持っているらしいんですけど、実に60代になると92・3パーセントの人が持ち家にしているそうです。つまり子育てがもう終わった後に、小さな家を持つ選択をしている人が結構いて、それは結構悪くないということを坂本さんはおっしゃっています。
だから借家と持ち家を比べたときに、絶対思うのは、借家を選んだ方がいいという方はライフスタイルが独特なものがある人です。一方で持ち家を持つという人は、ローンを完済した後には資産としてのものがバックボーンできるので、その分やりやすい側面があったりします。それで坂本さんがおっしゃっていることは、住宅ローンを借りたら確かに脅威にはなる。住宅ローンは強制力があります。お金を払っていくという、住宅ローンがなく生活費に余裕がある人は、多くの人が何やるかって言うと、生活費を使ってしまう。貯蓄に回したらいいんだけど、そんな人間は意志が強くなくて、だから住宅ローンという名のマネージャーを雇う。しっかりお金を貯める返済していく貯金みたいなものですよね。これを言うと誤解があるかもしれませんけど、感覚的にそういう風に捉えて、人生をマネジメントする方法もある。締め切りとか強制力というのは、人間を動かすためには大きいですからね。
あとは住宅ローンで借りた時に、一方で現金を貯金していける点からいうと、住宅ローンで一旦誰かに立て替えてもらっているから、キャッシュフローとしては、自分たちの自由な貯金に持っていける点からいうと、一番困った時は手元に現金があるほうがいいんですよ。借金はあっても返し入ってれば、銀行はすぐに返してくれと言わないので、一種のリスクヘッジになる事もあります。大きなギャップでどうしよう、全く買うことができない。そこまでのお金はかけたくない人たちに、少しこういう視点を持ってもらって、家を建てた方がいい人、そうじゃない人もいると思う。だからライフスタイルは人それぞれだから、建てて1ヶ所に定住していって、その中で生活をしていくことから考えるなら、そういう視点も持ってもらえると、理想と現実のギャップを埋めていけるのではと僕は考えています。
最後にまとめてきます。僕、最近も話したんですけど、シニアの方と話すことが多くて、80代のシニアの方というと、僕の父母ぐらいの歳の人ですよね。びっくりするくらい元気です。笑われるかもしれないけど、全くこの人たちは死ぬ気がないなと、85歳ならもう終わりやなーという感じで、人は考えるのかなと思ったら、すごい生き生きしてる人にお会いして、多分これからの若い人たちは、そういう意味で長命・長寿になるんでしょう。そうすると僕はこう思います。人は定年後であっても働くということです。それから人生は思った以上に長いので、求めるものがどんどん変わっていく。そして行き着いたものとしては、工務店の僕がこんなこというのはアカンかもしれないけど、家は完成させなくていいと思います。全て自分の人生、これでカバーできる家の完成度をこだわり抜いて考えて作ろうと思う人が多いんですが、未完成の部分があってもいいんじゃないかなということです。
例えば里山風の植栽を植えてカッコよくしたいと若い人は言いますが、僕が思うのは、忙しく働いてる時に植栽を眺めれる余裕はあまりないと思います。たまにはあると思うけど、40代後半・50代ぐらいになった頃に、庭の木っていいなと思うことが僕の個人の経験ですけど、増えた印象で言ったら、例えば小さな木でいいと思います。木は大きくなるから、だから小さい時は安く上がるから、そんなにお金がかかっていないものでも何十年後かに自分の完成された理想になるという考えだったり、子供部屋はスペースがあるとどう作るかはしっかり作り込んでなくても、子供と一緒に部屋を作ってもいいんじゃないかなと思います。つまり未完成の部分がある方がコストを抑えられるので、それでもいいんじゃないかなってことです。
それくらいの自由な感覚で家づくりを考えてもらって、絶対に100パーセントの回答がなくてもいけるんじゃないかなと思っていることを今日お伝えしたくて長々と喋りました。工務店の僕のたわごとかもしれないし、お節介かもしれませんけど、そんな風に家づくりを考えていただいたらいいんじゃないかなと思います。
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