大手ハウスメーカーの型式適合認定の問題点とは?
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今回は型式適合認定について解説します。
僕もかつて大手ハウスメーカーさんに勤めていたことがあるので、型式認定の意味は肌で感じています。
これは何かと言うと、建物が合理的で、国のいろいろな注文に対してきちんと適合しているというようなお墨付きのことを型式認定と呼んでいます。大手ハウスメーカーさんの多くはプレハブ住宅と言うじゃないですか、プレファブリケーションというものですけど、いわゆる工業化住宅などのことです。工場である程度のところまで作り込み、現場で組み立てをする住宅のことです。認定というのはルール化されている作りになっていることが多いので、作りやすいという面があると思います。
何と言っても国土交通省、国がお墨付きを与えているので非常に安心というところが第一のメリットです。一般的には通常の住宅というものは一級建築士・二級建築士、木造建築士の設計者の方が建てる家の個別の安全性をきちんと検討して、例えば壁量が足りているか、バランスが取れてるかということをきちんとチェックして確認申請を出します。
確認申請を出したら、建物でOKかどうかを審査してくれるわけですけど、ハウスメーカーさんの場合は細かいチェックに関しては認定があるので、細かい確認申請のチェックを端折れるというか、簡略化できます。当時、僕もハウスメーカーで大臣認定証みたいな写しを付けて、第何番何号の認定を受けてる建物ですと出しましたけど、そういうところで良さがあると言われています。つまりスピードアップが図られたり、コストダウンができるということがメリットだと言われています。
ただスピードアップという部分はあるんですけど、それがコストダウンと結びついているかというと、元々プレハブ住宅は大量生産して安く高品質な家にするということでやっていたけど、大手ハウスメーカーさんは決して安くないですよね。そこが工業化住宅の1つの矛盾と言ったら怒られるかもしれませんけど、大量生産したら普通コストが下がらないとアカンのに最終的には下がらなかったというのが本来の狙ったことではなくなってしまったということがあります。
ただ、メリットとして、国が認定しているくらいなので、非常に安全側で物を見ていますということです。ギリギリまで計算して削って削って、ギリギリOKじゃなくて、ある程度の許容度を持って作られているので、そういう点で型式認定の建物はとても安心だと思います。
大手ハウスメーカーさんは、構造的な強度・耐久性に関しては実によく考えられています。いろんなパターンの収まりを想定して、こうしたら雨漏りしない、こうしたら長持ちするということはよく考えられているので、ここは蓄積としてマニュアル化されてるところもあるので、型式認定と相まって非常にマニュアルともマッチがいいので、よく作り込まれてるというのがメリットだと思います。
一方で、デメリットとしてよく挙げられるのが、それだけ許容されているというか余力があるので、その分、もっと自由な発想でお施主さんも家を作りたい、構造的制約に結びついてることがあります。自由な間取り・開口を取りにくいとか、この壁が取れないとか、例えば僕らだったらこの壁取りたいなと思ったら構造的な補強やバランスの取り方を細かく考えて壁を取るというお施主さんの希望を叶えようとすることがありますが、大手ハウスメーカーさんの場合は認定的に許可はできませんから、不可ですということがあります。
昔、僕が大手ハウスメーカーにいた時の、大手ハウスメーカーの営業マンたちは、自由度が低いから間取りの比較で面白くないと言って(他者に)負けてしまうということで取りこぼしてるというケースがあったので、逆に言うとむちゃくちゃな勝手気ままみたいなことを許さないので安全であるとも言えると思いますが、一生に1度の家を自由な間取りにしたいというお客様の希望もあるので、ここの良し悪しができたりします。
これが多く語られるメリット・デメリットだと思いますが、今回のデメリット・注意した方がいい点は、どれだけ大手ハウスメーカーの家が高耐久だとしても、あまねくすべての建物は必ずメンテナンスがいります。メンテナンスフリーという言葉がありますけど、メンテナンスフリーと言い切っている人がいるとしたら、それは知識がないか他に意図があると思います。やっぱりメンテナンスは一定頻度で行うし、そして建物は作った時に比べたら住み手の要求は必ず変わっていきますから、変更や改造をやりたくなる必要になるケースがあります。その時に問題になるのが、認定問題を別の言い方にすると、オープン工法 VS クローズド工法ではないかと僕は思っています。
オープン工法とは、在来木造と言われるような広く世間に技術的な根拠がオープンにされているものです。そのことに関して建築技術屋だったらほとんど意味が分かるというのがオープン工法です。一方、クローズド工法というのは、よくハウスメーカーさんが「うちは特殊○○工法です」という言い方をしていて、特別な工法や構造でやっていることをメリットとして言われますが、あれはクローズド工法と言って非常に閉ざされたものなんです。だから僕が思うのは、ブラックボックス化しやすいなということ。これはバラしてみないと分からないですとか、ハウスメーカーの人でないと意味が分からないかもしれませんみたいな話が現場ではよくあります。
ただ、オープンとクローズド工法について最近感じるのは、クローズド工法のマニュアルを理解していないと工事が難しいということです。
具体的に何を指しているかと言うと、例えばメンテナンス時に防水と吹き付けのリフォームが必要になることがあります。これが非常に特殊な場合が多いのです。特に防水工事は、高分子シートや折半金属を使用するなど、さまざまな方法があり、そのメーカーでないと材料の加工が請け負えない、入手ルートが限られることがあります。
また、増改築に関しても、木造の場合、柱を取り替える際にはオープン工法ならば一般的に誰でも理解できる補強方法が広く知られていますが、クローズド工法では構造的な制約があるため、難しいと言われがちです。それに加えて、競争原理が働かないこともあり、A社とB社を比較し、お客様にとって最適な提案を選びにくい場合もあります。オープン工法の場合、どちらでも実施可能であることが前提となり、工事の品質向上に関して比較が容易です。
さらに、特殊な工法であるため、他の業者に依頼した場合、保証延長が難しい場合があります。一般的には保証延長が必要ない場合もありますが、時には脅迫的に感じることもあるでしょう。
型式認定の住宅を建てる場合、断熱と気密に関するルールが明確でないことが多いです。特に気密については、ルールが整備されていないことがあって、今後の改善が期待されています。これまでに建てられた家や工事中の家には、この点が問題となることがあります。
最近、業界の会合で聞いた話によれば、クローズド工法を採用している大手ハウスメーカーの現場作業員は、オープン工法に比べて年齢層が高く、後継者が育成しづらい状況にあるそうです。この状況は、今後の課題となるでしょう。
新築時のメリット・デメリットだけでなく、家を建てた後のメンテナンス、変更、改造についても考慮することが重要です。大手ハウスメーカーはリフォーム部隊を持っていてメンテナンスも行っていますが、コストがかかることは覚えておいてください。
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