夏が来る前に考えたい暑さ対策
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今日は暑い夏が来る前にやっておくべき対策について解説します。
今この動画を収録しているのは5月なんですが、気温が35℃になっています。従来の季節感とは随分変わってしまいましたよね。今日は、これから夏が非常に厳しくなると予想される、この日本での家づくりや暮らし方を考える際に、暑い夏が本格的に訪れる前に急いで行うべき対策について、お話ししていきます。
私はこの体型のせいか、暑さに非常に弱く、ぐったりしてしまうタイプです。そういうタイプの方には、ぜひ一緒これからお話しする情報を共有していただきたいです。
夏が暑い理由といえば、何よりも太陽高度が影響しています。夏は太陽の高さがどんどん高くなります。太陽の高度が一番の低いのは冬で、12月の冬至の時が一番低くなります。一方、最も高いのは、6月の夏至の時期です。
5月は夏至の1ヵ月前であり、7月は1ヵ月後です。5~7月と、太陽高度が高い時期が続き、そして気温は一度上がると下がりにくいため、暑さは8~9月頃まで続きます。最近は長い夏という感覚もありますから、太陽の高度を非常に気にすることは重要です。
暑さに対する対策の1つ目は、ストレートに太陽に対する対策です。これを建築の専門用語では「日射遮蔽」と言います。太陽の日射を遮って、来ないようにするということです。太陽のエネルギーはそれほど強烈なものです。
日射遮蔽は、日本の家屋が古くから非常に気にしていました。しかし私の記憶では、高度経済成長時代の人口がどんどん増えて、それに伴って住む場所を多く作るようになった頃から、バタバタと家を建てるような状況の中で、日射遮蔽への意識が薄れてしまったように思います。
夏の暑さを考える際には、とにもかくにも一番簡単で最も効果が大きい対策として、日射遮蔽を考えることが大切です。これに対して古来日本では良い手法があって、それが「簾(すだれ)」と「葦簀(よしず)」と呼ばれるものです。
一般に、簾とは、窓を隠すように庇や日陰を作り、窓に下げる外付けのカーテンのようなものです。一方、葦簀は文字通り、葦などの植物性の素材を編んで、窓に立てかけるような日除けです。このような日射遮蔽をしっかりと行うことが、暑さ対策には重要です。現代風に言うと、シェードなどもこれにあたります。
さらに、民間療法的な方法では「グリーンカーテン」もあります。窓の前にプランターを並べ、長い棒やワイヤー、縄や紐などを家の方向に吊り、そこに植物を這わせる方法です。夏の太陽をしっかり採ろうとする大きな葉をたくさん作らせて、日光を遮ります。夏が終わると葉は枯れてしまいますので、その時には撤去します。
昔は朝顔を使う人もいましたが、最近はヘチマやゴーヤーが使われています。ゴーヤーはどんどん実がなりますし、その実はビタミンCが豊富で食事にも使えますから、一石二鳥ですね。
日射遮蔽については方法は何でも良いので、まずはやることが重要です。家の設計として、適切な庇が窓上から出ていれば、それでもかなり効果があります。
ただ、太陽はずっと真南に位置しているわけではなく、東から西へと移動します。そのため、太陽高度が高い季節でも、角度が緩くなる時があります。この時は庇がいくらあっても効きません。だから、朝夜明けの太陽が暑かったり、西日が暑いということになります。これに対しては、簾や葦簀、シェードがよく効果を発揮します。
2つ目に、日射遮蔽がきちんと行えたら次に考えるべきは、窓の断熱性能の強化です。これについては、冬と同様に二重窓や、遮熱シートを窓に貼る方法も有効です。
車の窓に貼るシールのようなものがありますよね。それと同様の遮熱シートが、住宅用としてホームセンターなどで売られています。ただしそれの効果は遮熱だけなので、空調の効果を外に逃がさないという点では、二重窓などの対策が効果的です。
日射遮蔽・窓の性能向上を行うと、かなり暑さは和らぎます。しかし、じっとしていると何かジリジリと熱を感じると言うことがあると思います。その原因は、屋根の焼け込みです。太陽高度が高いと、屋根がずっと太陽の強い光で炙られていることになります。その熱が屋根を通じて下に放出されるのです。
これに対しては、壁の床・上側、天井部分の断熱の強化が非常に有効です。
日本家屋では、屋根の小屋裏・天井裏のスペースがあります。そこにセルロースファイバーやグラスウールという、吹き込み系の断熱材を20~25cmほど吹き込むだけで、随分違います。
夏の2階は非常に暑くなりますが、2階から1階に降りてきたときに「1階涼しい!2~3℃違うな」と感じることがありますよね。断熱材を付加するだけで、それと同じ現象が2階で起き、1階はさらに涼しく感じられます。寝室が2階にあるお家では、「暑くて寝られなかった」という状況が改善されます。
さらに冬には、断熱材のおかげで部屋が暖かくなります。1年中効果を発揮しますから、窓の断熱強化に続いて、天井の断熱もぜひやってください。
断熱工事をするついでに、床下から吹き付け型の発泡ウレタンを吹いてもらうこともおすすめです。断熱の強化と同時に、気流止めのような効果も発揮します。
外壁や間仕切りの下に隙間があると、そこから冷気や湿気が対流してしまいます。これらが上がってくるのをシャットアウトします。
床下に断熱材を吹き込むことは、断熱性の向上だけでなく、気密性の向上にも影響します。それは4つ目の対策である空調にも影響します。
今の日本の夏は非常に暑く、外気温は30℃以上は普通で、ひどい時は40℃にもなります。まるでお風呂のような温度です。それでは、窓を開けて涼しい風を入れようとしても、涼しくありません。生ぬるい風、もしくは熱い風が入ってきますから、やはりエアコンで空調を整え、冷房しないといけません。
その時に気密性が良くないと、いくら出力が強い、値段も高いエアコンを購入しても、効果がありません。そこに少し費用をプラスすれば、気密性を上げるための床下の断熱強化などができます。
これは、エアコンのように10年で壊れることはありません。一度行えば、家の耐久年数とほぼ同じ期間効果が持続します。目先では少々お金がかかったように見えますが、長期的な満足感がありますし、これは夏だけでなく冬にも効果を発揮します。ですから、ぜひエアコンを適切に使用し、積極的に涼を取る対策を行っていただきたいと思います。
そして、現在建築済みの家にお住まいの方々には、特にこの5月の時期にエアコンのメンテナンスをしてほしいです。この時期はまだ、家電量販店のエアコン売り場も、空調屋さんも忙しくない時期ですから、ぜひ今の時期に行ってください。
まずはエアコンの掃除です。購入してまだ数年という方、掃除していますか?去年から掃除はしていますか?私自身もギクッとしますが、掃除をしないとエアコンの効率が著しく悪くなります。
エアコンの耐用年数は一般的に10年と言われています。10年で買い替えるのは早いと思うかもしれませんが、12~13年、あるいは15年以上使用している方は、買い替えを考えても良いと思います。
現在、電気代は急激に高騰しています。先日の報道でも、各電力会社が国に対して20~30%の電気代上げの承認を求めているという話がありました。これからは電気代の上昇が恒久的なものになると予想されます。だからこそ、省エネ性の高いエアコンを選ぶことは、出費は増えるかもしれませんが、結果的には得になると私は考えています。
また、エアコンの室外機について、もし室外機が家の南側に出してあるお家の場合は、エアコンの上に屋根を付けていただくことをおすすめします。
箱で囲んでしまうのはダメです。室外機の中にはラジエーターが入っていて、それで冷やしていることでヒートポンプが正常に作用します。箱で囲むとその機能が停止してしまいますから、それはしないでください。
それよりは、頭に帽子を被るように、エアコンの上に何かを置く形が好ましいです。発泡スチロールの大きな箱などでも良いです。それだけでも効果は全然違います。その結果、エアコンが効率的に動くことになります。
逆に、冬になったらその屋根はない方が良いです。太陽の光が当たる方が暖房機能が促進されるからです。ですので、脱着が可能な形にすることがおすすめです。お父さんが日曜大工として、板切れで屋根を作って、それを取り外しするような感じでもOKです。ぜひ試してみてください。
最後に、空調について加えておきたいことがあります。例えば、4~5人家族で住まれていても日中誰もいない2階を閉めっぱなしにする家が多いのではないでしょうか。
外気を入れたら暑いからという理由で窓を閉めているのかもしれませんが、もし一定の断熱性能がある家であれば、逆に2階が熱を溜めてしまう可能性もあります。それを避けるためには、2階の窓を開けることが必要です。
ただし、日射遮蔽ができている前提などの様々な要素はあります。換気扇を24時間稼働させるなどの対策も有効です。特に古い家に住んでいる方は、新たに換気設備を設けて、2階の換気を積極的に行い、温度上昇を抑えることが重要です。
そうしないと、1階と2階の間は通常断熱されていないため、2階が暑くなるとその熱が下に移動し、1階も暑くなってしまいます。その熱をエアコンで冷やし続けないといけません。極端な話、小さなエアコンを2階で稼働させ続ける方がトータルでは良いのかもしれません。ただし、これについては詳しく実験する必要があります。
そういったことも含めて、4つ目のポイントとして「空調の準備」をしっかりと行い、太陽とのバランスを取りつつ、暑い夏に対する前準備を進めていただきたいと思います。
今お話しした内容は、リフォームに関するテーマであり、暮らし方のエッセンスであり、新築を建てる際の基本的な優先順位でもあります。ですので、「新築だから関係ない」と思わず、新築の場合こそ、今お話しした内容がどの程度反映されているかを確認していただくことを強くお勧めします。ぜひ参考にしてください。
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