家づくりで起こりがちな失敗(土地選び編)
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今日は家づくりを考える時に起こりがちな失敗について、特に今回は土地から求めて家を建てたい方に向けてのお話をします。
以前、こんなお客様がいらっしゃいました。「すごく気に入った土地が見つかって買ったけど困ったことが起きて、何かやり方はないですか?」というご相談です。そのことについて解説していきたいと思います。
土地が欲しい時は、売り主さんもしくは売り主さんから依頼を受けた仲介をする不動産業者さんに、「土地が欲しいです」という意思表示をしてから物事が始まりますよね。そこから実際に土地が自分のものになるまでのスケジュールについて、意外とよくわかっていない方が多い印象があります。
例えばご夫婦2人で土地を探していて「ここがいい!」と思ったら、それを預かって仲介をされている不動産屋さんに対して申し込みます。買付証明を書く、という言い方をする業者さんもいらっしゃいます。これは「ちょっと欲しいかな?」という軽い気持ちで出すようなものではありません。事実上は契約に向かって大きな1歩が始まると認識していただきたいのです。
申し込みから1週間から10日ぐらいの間に、実際の契約をして手付金を支払うことになります。土地の取引は慣例で10%です。例えば1,000万円の土地だと100万円、1,500万の土地だったら150万円が必要になります。その時点では住宅ローンをまだ借りられないから、手元にお金がないケースもあるかもしれません。そのため現金ゼロで土地から家を求めるのはなかなか難しいです。
土地契約して1ヵ月半から2ヵ月後、決済といういわゆる所有権の移転と残金の90%を払う節目が来ます。これでやっと自分の土地になるのです。
住宅ローンを利用して土地を買う場合、よくこう言う人がいますよね。「ゆっくり土地を探してゆっくりハウスメーカーさんとか工務店さんを決めたい」と。ところが、そうはいきません。住宅ローンは基本的に土地と建物に対する融資なので、土地を買うためだけに利用することができないのです。
ローンの申し込みをした時「土地代金はいくらですか?」と聞かれますが、これは土地の契約書があるからわかります。ただ、もう1つ「どこの会社で建てられますか?どんな見積もりが出ていますか?」と、建物の代金のことも質問されるのです。見積もりを出した業者で家を建てる前提での審査になりますから、精度が要求されます。
よく業者さんに「坪単価いくら?」「総額どれぐらい?」と聞くと思いますが、敷地によって配置も間取りも変わるし、間取りが変われば面積も変わります。どんな床板を張ってどんな壁にして、キッチンやお風呂をこんな風にしたいとかあるじゃないですか。そういうことも含めて、ある程度の精度の見積もりが必要になるのです。支払いはまだだけど、この後1ヵ月ちょっとで見積もり価格を決めようと思うと結構大変です。
ゆっくり見たい人は、何社も見たいんですよね。何社も1ヵ月ちょっとの間に見るのはなかなか大変ですよ。業者さんも概算では言ってくれますが、正確な値段はある程度の打ち合わせをしないと出せません。共働きで小さなお子さんを抱えているご夫婦だと、見てくれる親御さんが近くにいないと大変です。
件のお客様はどういうことが起きたかというと、「土地を買おう!ここが欲しい!」と言って契約する時、「見積もりは出ていますか?」と言われてから慌てて工務店さんとかハウスメーカーさんを回られたようです。
それでも一生に1回の家だからこんな家にしたいという思いがあり、予算が膨らんでいきました。気が付くと、「ローンの申し込みを出しても通るかな?」「借りすぎじゃないかな?」と困ってしまったようです。そこでゆっくり考えたいけどやり方はないか、というご相談でした。
土地の契約をして手付金を10%打ったら、ゆっくりしたいとは売り主さんには言えないのです。ただ白紙にしてもらうことはできます。そうなると今度はお客様が困ることがあります。手付金の10%が没収されてしまうことです。
100〜200万円のお金の没収は痛いですよね。土地も買えなかったし、家も建たないのにということになるじゃないですか。しかし、一旦手を上げた買主の都合で契約を白紙にする時に手付金を没収されるのは、土地の取引の決まりなのです。
そのため、土地を探す方には、土地を買うスケジュールについて知っておいてほしいです。業者さんが決まっていないと、見積もりをもらうのもひと苦労になります。打ち合わせの中で違うかなと思った時には後戻りができるかもしれませんが、お金を失うかもしれません。ぜひ注意してください。
もう1つ、ローン特約期間というものがあります。これは土地の売買に関して、買う方の保全・保護のための特別な約束です。例えばローン審査を出しても金融機関にダメと言われて土地が買えなくなったら、ローン特約期間の前なら無条件で手付金も含めて返して、全くの白紙にすることができる特約なのです。
ちゃんとした営業マンはきちんと説明してくれますが、稀に設定していない仲介の方もいらっしゃいます。自分の契約事項の中にこれが入ってるかどうかは、万が一のために確認しておく必要があると思います。
もう1つ土地の取引で注意してほしいことがあります。それは、土地価格は相場で決まるという原則です。私も含めて土地を買う人の人情で、せっかく買うなら値段の安い土地がいいじゃないですか。でも土地の世界は、絶対的な相場がある世界なのです。
逆に言うと、例えば50坪でこの価格ならすごくお買い得だと思った時は、何か理由があります。理由がないのに価格が安いことはまずないと知っておいてください。
典型的なのは、売主さんが売買を急いでいるケースです。相続だと期限が決まっているので、それまでに現金化できなかったら相続税を払うのに借り入れを起こしたり、借り入れができないと延滞税・重加算税の追徴をされることもあるから、急ぎたいのです。そういう時には稀に安いことがあります。
でも、実際はそういうケースは少ないです。安いと思った時は理由を聞いて、相続で急いでいらっしゃるならそれはいいと思います。それ以外に例えば心理的瑕疵と言われているものがあります。
心理的瑕疵というのは、例えば更地になっているけど前の家がお年寄りが1人で亡くなったとか、火事になったとかで解体された場所です。そういうことがもし嫌だったら、注意する必要があります。
これは不動産情報に書いてあることもありますが、細かく説明がない場合もあるのです。もちろん契約時点では重要事項の説明というところで、説明の義務が仲介業者にはあります。ただ、世の中に流通する不動産情報としては記載が弱かったり書かれていなかったりして、いざ契約して説明してもらってびっくりすることもあるのです。その時には後に引けないので、これも注意が必要だと思います。
あとはインフラです。道路に面した土地なら電気が入れられるじゃないですか。しかし奥に深い土地だと直接引き込みができないから、中継用のポールが必要だったりして
20〜30万円必要になります。30坪ぐらいの土地だと、坪1万円高くなったということです。
例えば水道ありと書いてある場合も、前面道路に水道管の本管はあるというケースでも水道ありと書けるのです。本管も道路の敷地の方の手前側に入っている時と、向こう側に入っている時もあります。ど真ん中に入っていることはあまりないのです。
そうすると、掘削する部分に差ができて、コストの差が出たりします。50万円でできると思っていたら80万円必要になったり、市道・県道・国道の種類によっては、特に国道はしっかり復帰をしなさいと言われるのでお金が掛かったりします。
それからもう1つが、高低差が敷地にある場合です。例えば深基礎とか高基礎と言われるもので、基礎を大きくしなければならないケースがあります。つまり土地代金は安いけど、建物のコストに反映されるということです。そういう懸念点があるかどうかも、見ておく必要があると思います。
今回ご紹介したお客様はなんで苦しまれたかというと、実は自分たちがパッと気づかなかった所に、瑕疵というか問題点があったのです。土地代を見た時に100万円ぐらい安いと感じたみたいで、飛びついたら実はいろいろ必要だということが後でわかったということでした。
あとは地域特性です。よく地名に水とか谷とかが付く地名があるじゃないですか。そういう所は昔は高低差があった可能性があります。地盤補強の必要性が秘められているということです。土地の売買の時には地盤補強の話は出てきません。後で予算繰りに困ることもあるので、ここは気をつけてください。
最後に建築条件と言って、その土地を買ったらこの工務店・ハウスメーカーで建てないといけないと決まっていることがあります。こういうところを頭に置いておいてほしいです。
その上で追い打ちをかけるような話になりますが、スケジュールに飲まれて見落としやすいことは他にもあります。ハザードマップにも載らないような小さな農業水路は、今でも地方によってはありますよね。これが災いすることもあります。
それから近所の要注意人物にも注意が必要です。近くに怖い人やクセの強い人がいたら、嫌な目に遭う可能性もあるでしょう。私は姫路で暮らしていますが、姫路はお祭りが盛んです。あまり経験のない方にとっては、自治会さんやコミュニティの特別なルールを知らないと驚くかもしれません。
この辺りは不動産の資料に必ずしも入っていません。ご本人さんが頑張って周辺に聞き込みに行かなければならないことだと思うのです。そこまで面倒を見てくれる業者さんは、私の経験ではあまりいません。やっぱり自分で隣近所に聞いた方がいいと思います。引っ越したら近所の人と仲良くならなければなりませんから。
お仕事をしながら土地を契約されることになりますよね。時間に追いまくられないよう、こんなスケジュールで土地の売買は動くんだということを、頭に置いていただけたらと思います。ぜひ参考にしてみてください。
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