古い家の寒さ対策・窓の次は何をすべきか?断熱リフォーム・リノベの肝
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今日は、古くて寒い家の対策として窓の次にどんなことができるのか、また、注意してほしいことについて解説していきます。
去年の末、私の動画で寒い家の対策として窓の強化に絡むDIYとか2重窓みたいな感じで
解説させていただきました。意外なほどに多くの方に反響をいただき、ありがとうございます。たくさんのご感想をいただきましたが、その中で「窓をやった後にやるならどんな対策方法があるの?」という質問を受けました。
家を寒さから救う対策は、何ヵ所かに分かれます。まず1番がここのところ題材にしている、窓の強化です。樹脂窓とか2重窓に変えることで、ずいぶん寒さの感じ方が和らぐとお話ししました。
それが終わった後に何をやるのかと言うと、私がオススメするのは気流止めです。日本の木造住宅というのは基礎があって、その上に土台が外周に横たわっています。この上に根太という比較的細い木材を這わせて、この上に床板を張るという工法が古来多いです。ここでいかにしっかりした大工さんが仕事をしても、土台と根太との間にスペースができるため隙間になることが多くなります。そうすると、真冬に冷たい寒気が侵入してくるのです。
隙間風という言葉がありますよね。窓の隙間から入る風もそうですが、古いお家は建物の隅から風が入ってきます。あれは何かというと、先ほど話した基礎の土台と根太の間からの隙間風なのです。
簡単な板でもテープでもいいので、冷たい風の流入元を塞げばお家は暖かくなります。柱が独立している所でも、床周りにテープをぐるっと貼るだけで風の侵入が阻害されて快適になります。
先日もある方が、某有名な鉄骨系の○○ハウスさんで家を建てたそうですが、すごくお金を掛けた立派な家なのに「とにかく寒い」とおっしゃるのです。「どうなんですかね?」と聞かれたので、床に潜って隙間にテープを貼るとか、ウレタンを吹き込むだけでずいぶん緩和されるとお伝えしました。
休みの日に息子さんと2人で潜って、親子で協力してテープを貼られたそうです。「すごく暖かくなって満足する基準に近い」とおっしゃっていました。このように、窓もそうですが気流止めもすごく有効です。
それが終わった後、3つ目は床の断熱・気密です。さっきの気流止めは、床の気密を上げることなのでそこに該当しますが、一方で古いお家ならこの際に床を全部バラして作り変えるのも悪くないと思います。
築年数が経ったお家だと、床がブキブキ言ったりすることがあるのではないでしょうか。40年・50年経っているお家だと、めくってみたらシロアリが来ているかもしれませんし、腐りがあるかもしれません。
昔の家はほぼ断熱材なんか入っていないと思うので、それらのチェックを兼ねて断熱を入れながら気密も取るということ。また、気流止めは床をめくらなくても風だけ止めればできるので、これが次の段階になります。ここまでは、そんなに知識がなくてもやれると思います。
今日みなさんに一番お伝えしたい題目は、4番と5番です。4番は壁で、5番は部屋の天井・屋根の部分です。最近断熱リノベーションが流行っています。いろんなやり方が出てきていいことだと思っていたら、「これは注意しないとマズい」と思うことがあったので、そのことを絡めてお話しします。断熱リフォームでもリノベーションでも肝の話だと思うので、よく聞いてください。
まず壁を断熱強化する時には、3つのやり方があります。アプローチ1は、内付加断熱です。家の外壁の内側に、断熱性の高い樹脂系の板みたいなものを張ることを内付加断熱と言います。これは簡単で有効です。悪さもしにくいと個人的には思っています。
内付加断熱をやると、室内が狭くなります。例えばフェノール系の断熱材みたいに優秀なやつを張っても、グラスウール10cmぐらいの断熱をキープしようと思うと5cmのネオマフォームみたいなフェノールを張らなければなりません。仕上げのボードとかクロスを入れると6cmも7cmも部屋内に入って部屋中が7cm幅で狭くなるため、狭く感じると思います。
それが嫌な人に向くのが、外付加断熱です。外の外壁をそのまま置いておいて外に張ります。これも断熱ラインを取りやすいのですが、断熱材だけ張って終わることはできません。例えば胴縁を打って、防水シートとサイディングを張って、場合によってはEPSを張って塗り壁をするように、断熱の仕上げ以外に外壁の仕上げが必要なので割高になります。
部屋内は狭くなりませんが、敷地は狭くなります。外もEPSでしっかり効かせようと思うと5〜10cmぐらい付加しないといけません。この辺の内付加・外付加というのは、狭くなるとかコストが掛かることを度外視すれば、結構いいものです。
狭い家で内付加もしていないし、外壁を触ったらお金が掛かるから嫌だという時は、既存壁の強化になると思います。最近よく見るものに、発泡ウレタンというやつがあります。100倍発泡が多いですね。
発泡ウレタンは、100倍発泡においては16kgぐらいの重さのグラスウールと比べると、熱伝導率にはほぼ差がありません。一般的に約16kgのグラスウールの内断熱を考えた時、今の私たちの新築での納まりは以下になります。断面で言うと外壁・通気層・透湿防水シート、そして断熱材もしくは面材が入る場合もありますが、その内側に石膏ボードがあって、いわゆる熱伝導率0.038ぐらいの気密シートとか透湿防水シートが必要です。
なぜかと言うと、壁の中の結露リスクがあるからです。もちろんほぼ出ないとは思いますが、気象条件が想定外に厳しい時もあるじゃないですか。水蒸気が溜まって悪さをしそうになったら、速やかに外壁の外に吐き出すために、透湿性のある防水シートや面材が必要です。また、出た湿気を速やかに出すための通気層が必要だと考えています。
翻って、今の既存壁の改修をする時に断熱材の入れ替える場合(というか断熱材が入っていない壁の方が多いのですが)、既存の壁にグラスウールを入れるのは面倒くさいです。筋交いがあったりして上手に入らないため、手っ取り早く発泡ウレタンを吹かれることが多いのです。
もちろん発泡ウレタンでもスキン層を持ってきたらOKという考えもありますが、念のために気密シートを貼った方がいいと思います。なぜかと言うと、人間は息を吐くし煮炊きもするから、家の中には水蒸気がいっぱいあるのです。それが入ってくるのを阻止しておかないと、結露する条件を満たしてしまいます。
結露条件を排除することが非常に重要なので、どんな断熱材を選ぼうと気密シートはおすすめですが、発泡ウレタンをやるケースでは既存の壁がどういう状態になっているかチェックが必要です。
私たちは6地域という温暖な所に住んでいますが、冬場は0℃とか-1℃になりますから、その温度差で結露をする可能性は結構高いです。昔グラスウールが出始めた時、黒くなったり、果てはナミダダケというキノコが生えるぐらい腐った事件がありました。大工さんたちが「ろくなものじゃない」「断熱材なんか入れたらアカン!」と言う時代があったのです。
40年・50年ぐらい前のお家は、モルタル大壁のお家が非常に多いです。モルタルには水が染み込むので、後ろにラス地という網があって、防水のためにその下には黒い紙が張ってありました。そうなると、壁の中にもし水蒸気が発生しても逃げないことが多いのです。
壁の強化は内付加断熱・外付加断熱がオススメです。既存壁を強化する場合は、発泡ウレタンならサーッと吹けば簡単だし断熱・気密も取りやすいですが、結露計算されたかどうかによってリスクが変わってきます。ぜひ壁に関しては注意してください。
最後に屋根です。既存の屋根に野路板があったら、そこにシートやダンボール紙で通気を確保して、発泡ウレタンを吹くケースは結構あります。お手軽で気密も出やすいのでオススメなのですが、その時に注意してほしいのが屋根の形状です。
昔の家は瓦の屋根が多いと思います。瓦の棟の所に熨斗瓦と言って、棟の瓦が載っていますが、そこは絶対に雨が入らないようにしてあるのです。ということは、絶対に中の空気が出にくいようになっています。通気を取っても逃げる所がないという問題があるのです。
もしやるなら壁面側に通気層を取って出せるようにしておかないと、せっかくやっても良くなりません。切妻なら出せる妻面がありますが、寄棟とか入母屋だと逃げる所が無いので、その時は天井断熱の方が安全だと思います。
昔、山間部にあるコロニアル屋根のお家を改修をした時のことです。コロニアルは釘止めをしてあります。断熱はしっかり厚く20cm以上やっていましたが、水蒸気が上がって釘が結露したことがありました。雨漏りだと思ったら結露だったのです。
当時、お恥ずかしい話ですがその辺の知識がなくて、改めて調べたら「そういうことか」と。1回天井を剥がさせてもらって、気密シートをきちんと貼ったら止まりました。壁・天井・屋根を触る時は結露リスクがあるので、注意していただきたいと思います。
家にはお年寄りしか住んでいなくて、おじいちゃんとおばあちゃんが住む2階建ての1階部分だけが暖かければいいなら、2階の床の断熱で気密ラインだけきっちり取ってもらうと大きな障害はないと思います。
細かい話を長々としましたが、何にしても既存のお家に愛着があるのはよくわかります。晩年の10年・20年を暖かく暮らしたいお気持ちもよくわかるし、息子さん・娘さんの立場からも両親に暖かく住んでほしい気持ちもわかります。
窓を対策すると快適になることがわかれば、断熱にお金と手間を掛けることは悪いことじゃないと理解していただけると思います。それに続いて断熱を強化すると、光熱費も掛からないし健康にも暮らせて、とてもオススメです。こんなことに注意していただいて、お家の断熱リフォーム・リノベーションを成功に導いていただけたらと思います。ぜひ参考にしてみてください。
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