住まいの基本:冬の光熱費を抑える方法
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今日は、冬の光熱費を抑える方法について解説します。
最近はエネルギーの値段が爆上がりですよね。特に電気・ガス代がすごく高くなっています。家づくりを考える方から、「なんとか光熱費を削減できる家にしたい」というお話をよく聞くものですから、今日はそのことについて解説していきたいと思います。
光熱費を削減するには、光熱費の内訳をまず頭に置いておかれた方がいいと思います。少し前の2016年のデータですが、エネルギー白書で出された家庭の光熱費の内訳をご紹介します。27.8%が給湯、つまりお湯です。お風呂・台所・洗面所でお湯を使いますよね。沸かすためのエネルギーで3割近くを使うと言われています。その次が、暖房で22.9%です。お湯と暖房を足したら50.7%なので、なんとエネルギー全体の半分以上を占めることになります。
よく槍玉に上がる冷房は全体の2%しかないし、台所の煮炊きも9.1%です。その他、もちろん動力・照明・テレビ・パソコンの電源とかいろいろありますが、それらは合わせて38.1%になります。このことから、お湯と暖房を槍玉に上げれば、光熱費の削減に効果的ということが理解してもらえると思うんです。
給湯と暖房に関して、どういう削減方法があるのかをご紹介します。まず給湯に関しては給湯の方式です。これを考えることが第一になります。主婦の知恵的な節約努力は、もちろんしていただけるといいです。ですが、給湯はお湯を沸かす根本のシステムにおける燃費勝負なので、どんなシステムを選ぶかが一番重要になります。
同じく2016年のデータなので、今は価格も上がっていると思いますが、岩前先生が出された統計結果をご紹介します。例えば従来型のガス給湯器を使うと、4人家族の家庭で、年間112,800円ぐらい掛かると言われています。それに対して、ガス給湯器のエコジョーズという省エネ性の高いタイプだと、10万円ちょっとぐらい。そしてエコワンというハイブリッドの給湯器がありますが、それだと一気に49,000円ぐらいになると言われています。ちなみにエコワンはガス給湯器とエコキュートの合体なので、イニシャルコストが高いです。ここはあくまで光熱費ベースなので、そういう感じで見てください。
以上の結果だと、現時点の技術ではエコキュートが一番いいということになります。イニシャルコストも安いし、ランニングコスト(光熱費)も安いので、トータルコストも一番安くなるでしょう。なので、給湯にはエコキュートを選ぶのが得策だと思います。もちろん「ガスじゃないと嫌」と言う人もいると思いますが、あくまで効率ベースの結果です。
似ているけど違う物に、電気温水器というものがあります。これは全然ダメです。以前に聞いたことがありますが、全国に電気温水器を使っている人がたくさんいます。それを全部エコキュートに変えるだけで、原子力発電所1個分の電気代が節約できるほど電気を食うらしいのです。恐ろしいですよね。今、電気温水器を使っているあなた。ぜひエコキュートに変えてください。もう8年以上も使っていたら、変えた方がお得だと思いますよ。セールスマンみたいなことを言っていますが、これは事実なので頭に置いておいてもらえたらと思います。
エコキュートのいいところは、太陽光発電とも相性がいいところです。なぜかと言うと、エコキュートって深夜電力で沸かすのです。夜中に沸かして、一種の魔法瓶のような、巨大な冷蔵庫みたいな貯湯槽の中にお湯をためて保管しておきます。一番お湯を使う時間帯は16時以降ですよね。そうなると、沸かす時間とのタイムラグがあるのです。太陽が一番出ている昼間のエネルギーでお湯を沸かせたら、使うまでの時間が短いから冷めも少ない。しかも、太陽光だからタダになります。
エコキュートのソーラーチャージモードとか、東京電力さんだとおひさまエコキュートというものが、これにあたります。これから一番合理的になっていくのではないでしょうか。関電さんも頑張ってもらって、おひさまエコキュートを使えるようにしてもらえると嬉しいです。
裏技と言ったら大層ですが、意外に知られていないことをご紹介します。エコキュートって、貯湯槽を外部に置くじゃないですか。あれを家の中に設置するやり方もあります。北海道の家へ見学に行くと、家の中にエコキュートのタンクがあってびっくりしました。「こんな物を家の中に入れてるの?」と言ったら「北海道では普通ですよ」と言うのです。
北海道は本州に比べたらとても寒いため、ロスが大きくなります。貯湯槽を家の中に入れることによって、人間が心地いいぐらいの場所なので、お湯が冷めにくいのです。温度が下がっても再加熱する必要もないし、湧き上がりも早くなる、そういう利点があるのです。
本州では嫌がる人が多いですが、エコキュートを室内に入れるのは有効な手段です。電気代がこれだけ高くなれば、それ以上にメリットがあります。プロでやっている人は見たことないですが、外に置いた貯湯槽をDIYレベルで断熱材で巻いて保温強化して、電気代が助かったという事例もあるぐらいです。この方法は、これから有効になっていくと思います。
古典的ですが、太陽ヒーターというものもあります。屋根の上に載せてお湯を取るものです。夏は暑いので直で使える温度になります。お風呂なんて40°Cあればいい湯加減ですよね。太陽ヒーターで沸かせば平気で60°Cぐらいになるので、それを使えば夏はタダになります。「エコキュートの貯湯槽は温度が高いから夏場は熱い」という人にとっても、デメリットをカバーしてくれるのでとてもいいと思います。
次に暖房方法です。まずは石油・ガスストーブを止めること。内燃型の物はすごい火力ですが、一方で空気も汚しますよね。二酸化炭素が出るので、不完全燃焼でも起こしたら、良くないものが出る可能性もあります。せっかく暖めたのに換気で冷たい外気を入れたら、ロスが大きいですよね。もし使うなら、FF式と言って、給気と排気を外でするタイプがおすすめです。あれは室内の空気を汚さないのでいいです。
そうは言っても暖房はエアコンが基本です。エアコンはヒートポンプと言って、空気中にある熱を汲み出すみたいな原理でやっています。簡単に言うと、エネルギー効率が高いのです。例えば石油のエネルギー1に対しては、暖房エネルギー1しか取れません。でもヒートポンプは、1のエネルギーを3倍・4倍に拡張して使うことができるので、誰がどう考えても効率のいいものだと思います。
エアコンを効かせるためには前提があります。家の基本性能として断熱性・気密性が高いことと、太陽の恩恵を受けやすいパッシブ設計の窓の切り方をしていることです。これが一番省エネ性が高く、効果を発揮します。冬の間の晴天の日が一番寒いですから、日当たりが良い窓を作っておくと日射取得ですごく暖かくなるので、とても有効です。
岩前先生が昔に試算されたデータですが、133,000円ほど暖房費が必要だったのが、次世代省エネ(断熱等級4とほぼ同基準)だと52,000円と、一気に半分以下になるのです。断熱等級5・6という、いわゆるHEAT20のG1・G2に相当するものになると、さらにエアコンがよく効く家になります。
南に道路があり、南側に大きい窓を取っているお家で、共働きでお留守なんでしょうか。日中にカーテンを閉めている家があります。せっかく南の窓を取っても、日中にカーテンを閉めなければならない外構にすると、日射取得できません。ガラス面が大きいからロスが大きくなり、逆に弱点になってしまうのです。これも新築時点で配慮してもらえれば、とても有効かと思います。
既存の住宅の人は別の動画でも解説しているので、その動画を観ていただけたらと思います。
▼寒くなる前にはじめる速攻断熱リフォーム
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断熱リフォームで2重窓や床・天井の断熱強化をやっていただきたいです。コストは掛かりますが、エネルギー費用も上がり続けて当面は下がらないでしょうから、早ければ数年で元が取れると思います。何より暮らしていて気持ちいいから、絶対に損しませんのでやっていただければと思います。
ここまでは家づくりについて紹介しました。3つ目としては小ネタですが、電気ポットを使うのを止めて、昔で言う魔法瓶を使うという提案です。電気ポットは何も考えないでずっとコンセントを差していたら、結構電気を使います。いざという時に使えるから便利ですが、一般家庭だと魔法瓶のポットで十分だと思います。
また古い家だと、LEDになっていないこともまだ多いと思うので、LEDにしてください。あと、冬に暖房便座をしてる方がいらっしゃいますが、あれはすごく電気を食っています。特に1・2階とも暖房便座にしていると、すごいです。私のオススメは、これを止めてセンサー付きセラミックヒーターと、できればセンサー付き換気扇を付けてもらえると、人が入った瞬間にセラミックヒーターは立ち上がるので、そんなに苦ではありません。それもやっていただくと節電になります。
あとは、シャトルシェフみたいな保温型調理器。1回火を入れたら、そのままおいしいシチューができるみたいなやつです。テレビなどの待機電源をカットするなんてこともあります。この辺は、私なんかより主婦の方が数段厳しいので、とっくにやられてるとは思いますが、暖房便座・ウォシュレット系は見落としがちです。この辺りを気にしていただければ、まだまだ冬の光熱費を抑える要素はあると思います。
わかりきったことではありますが、それでもうっかり忘れることもあるはずです。新築の方・リフォームの方も含めて、こういうことを頭に置いていただいて、ぜひ厳しいエネルギー価格の高騰時代に対応していただけたらと思います。ぜひ参考にしてみてください。
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