住宅ローンの金利が上がる時代の基本的な考え方
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今回のテーマは、住宅ローンの金利が上がる時代の基本的な考え方についてです。
世の中が騒がしいですね。アメリカもヨーロッパも金利がどんどん上がっていって、何十年ぶりの円安とか、日本を取り巻く環境もざわざわしています。日本でもインフレが進んで、金利も少し前よりは上がってきている状況です。
そんな中で、先日あるお客様から質問を受けました。 「世の中がざわついているけどやっぱり家を建てたい。これからどんな住宅ローンを選べばいいんですか?」という、切実で悩ましい質問です。こんな質問を受けた時、私は必ずこういう風に答えています。「不透明な時代になったら、やることは1つ。住宅ローンは全期間固定金利で計画してください」ということです。
住宅ローンは、大きく言うと変動・固定という両極しかないのですが、私は計画に関しては全期間固定金利でやってくださいといつもお答えしています。そうすると「金利が高いのになんで全期間固定金利なんですか?」と言われます。そこで「なぜ金利が高いんですか?」ということを、借りることを検討されているお客様に考えていただくようにしているのです。
以前にも、家づくりで起こりがちな失敗・住宅ローン編という動画で詳しく解説しています。今日はそのことも言うとすごく長い話になるので、もう少し詳しく知りたい人はそれをぜひ1回観てほしいです。
▼家づくりで起こりがちな失敗(住宅ローン選び編)
https://www.m-athome.co.jp/movie/ie_shippai_loan
この動画の内容をかいつまんで説明します。変動金利というのは、半年ごとに金利を変更するものです。固定金利というのは、35年間変わらない金利です。そうすると、変動金利は金利が低くて、固定金利は金利が高いということになります。金利が低かったらお客さんは得して、高かったら損する感じがしますよね。でも、銀行と親戚でもないお客さんが、なぜある条件では得するような設定にしてくれて、ある条件では損するような設定にするのでしょうか。これの正体は、リスクを誰が持つかということなのです。
変動金利は半年ごとに見直しができるから、世の中の金利が爆上がりしても銀行は金利を上げていけるため、損しません。つまり、リスクがないのです。この時、リスクは借り手であるお客様にあります。一方で、固定金利は35年間何があっても35年間固定なんです。これは銀行がリスクを取ることになります。言い換えたら、「リスクを取らせてもらうので金利は高めにさせてもらいます」ということです。つまり、変動か固定かを選ぶ時は、損とか得ではなく、どちらがリスクを持つかという選択になります。そのため、私は「リスクのない全期間固定金利で計画をしてください」と言っているのです。
ポイントは計画という言葉です。計画はあくまで計画であって、実際に借り入れすることに関しては別に考えてください。この動画は2022年の10月頃に収録しています。この時点の世相を見た60歳の工務店オヤジの展望だと、世界が金利を上げたからと言って、日本という国は簡単に金利を上げられるような状態でもないと思います。特に変動金利と言われている短期物は、この2〜3年で急激に上がるかというと、案外上がらないのではないかと思っている1人です。ただし、もっと長い視点で考えた時には、金利は上がらざるを得ないだろうとも思います。
そうなると変動金利を選べばいいということなのかというと、そうではありません。計画として全期間固定金利というリスクのないものを選びますが、ローン選びは借り手のお客様の家族の状況で変わります。例えば共働きでガンガン働いている家族と、奥さんは専業主婦で旦那さんが働いている家族とでは、ローン選びというのは自ずと違ってくるのです。全く一緒ではなくケースバイケースなので、これが答えですという単純なことは言えません。もし言っている人がいたら、それは詐欺師か何かです。繰り返しますが、計画と作戦は違います。ただ計画だけは、全期間固定金利でやってほしいのです。
その上で、もっと基本的な話をしておきます。住宅ローンをどれにするかよりも、実はもっと大事なこと。それが家計のやりくりです。健全な家計の運営って重要ですよね。そう言うと「じゃあ節約ですね」と言って、水道代の節約だとか食費を削るとか旦那さんのお小遣いを減らすとか、そういうことを考える人が多いです。節約はしないといけませんが、正直続かないと思います。
物事というのは、ここを押したら効くというものがあるのです。体にもツボというものがあって、肩コリがラクになる所がありますよね。体にはいろいろな部分がありますが、大事な所は限られているものです。
80対20の法則という言葉を聞いたことがあるでしょうか。お金の効率とか効果みたいなことを考えた時に、100項目のうち特に20項目が重要で、これが全体の8割の影響力を持っているみたいな考えです。家計も全く一緒で、これがあります。今日はこの大事な20%を、3つの視点でお伝えします。
一番大事なことは、我が家の家計が浪費傾向にあるかどうかを見直すことです。これは道徳的に考えないでください。あくまで物の道理として理解してほしいです。一般的な人は収入と支出があり、残ったものが貯金であるという考えだと思います。収入ー支出=貯金。こういう公式を使うとどうなるかというと、「今月もいろいろ物入りで貯金できなかったね」という感じです。
これからは、こんな公式でやってほしいです。収入があってそこから貯金を引き、残ったものが支出であるという考え方です。言葉遊びみたいに聞こえたかもしれません。これは私が考えたものではなく、本多静六さんという方が考えた公式です。
この方は学者であり造園事業をやられて、明治神宮・代々木公園など東京にある大きい公園を設計されました。そして独自の哲学で巨万の富を得た、伝説のお金持ちです。この方が執筆した「私の財産告白」「生活流儀」「人生計画の立て方」という有名な3冊の本があります。最近この合本版が出ました。これほど人生の根本を書かれた物はないし、天才でなくとも絶対に負けない方法が書かれた本なので、ぜひ機会があったら読んでみてください。
本多さんは、収入ー貯金=支出という公式を導き出して、支出の枠内で暮らすという枠組みを作りなさいとおっしゃっています。本多式4分の1貯金方法とも言われているものです。まず貯金をこれだけすると決めます。そして残ったものは何に使ってもいいし、目一杯使ってもいい。そうした方が確実にお金は残るという、コロンブスの卵みたいな教えなのです。
私のファイナンスの師匠に、岡崎先生という方がいらっしゃいます。彼は、「大事なことは貯金に名前を付けることだ」と言っていました。以前、「家の物には全て住所を付けなさい」という話を聞いたことがあります。住所がないから物が片付かないという話です。同じように貯金にも名前を付ければ、貯金に意味が出てきます。
どういうものがあるかというと、例えば納税準備貯金です。固定資産税とか車の税金って、1年に1回来るじゃないですか。あれってまとまった金額で出ていくから困るけど、あれを12分の1にして毎月貯めておけば、貯めやすい金額になります。
また、目的別貯金というものがあります。例えば新婚で家電を買うと、大体10年後ぐらいにいろんな物が毎年壊れます。家電のための貯金を月に5,000円ぐらいしていれば、そうなった時も安心です。それから子どもの学費のための貯金で、学資保険があります。それ以外に貯めるものが純貯金です。別名で生活防衛資金と言います。漠然と貯金するのではなく、こういう風に名前・目的を付けて貯金していくと、貯金というものが意味のあるものになります。
そして2つ目が自動車の買い方です。住宅ローン以外にあるローンといえば、マイカーローンとか学費ローンがあります。大体この3つが比較的安いローンですが、カーローンは高いです。ということは家を買った以上、車は現金で買い替えていかなけらばなりません。そう考えると結構な金額の貯金が必要です。旦那さんが300万円の車に乗って、奥さんが150万円の車に乗る。450万円を10年間で買い換えるんだったら、毎月いくら貯金しなければいけないでしょうか。これは1回ぜひ考えておいてほしいです。
最後に生命保険の払い方と選び方です。住宅ローンを借りると必ず団信と言って、住宅ローンの担保として、主債務者に生命保険が掛けられます。もしご主人に何かがあったら、ローンをチャラにしますよということです。そうなると、これまでに掛けていた生命保険が掛けすぎになる可能性もあります。女性に多いのですが、年金みたいな感じで貯蓄型の保険を掛ける人が多いです。ここは貯蓄型の保険を掛けるより、住宅ローンの返済スピードを速くした方が利回りでは絶対に得すると思います。
この3つをおさえた家計のやりくりが大事です。一番大事なのは、浪費傾向を見直し、新たな公式で支出を考えることです。これをやることが、ローンの選択よりも重要です。
住宅ローンを借りた人は返すことばかりにフォーカスするけど、返しながら貯金もしなければなりません。そうでないと老後の資金が足らないということは、最近よく報道されていますよね。お金を返しながら貯金もしなければならないので、大変だと思います。そのためには、大事な20%の3つのポイントの1番目を意識することが、一番の解決方法になるはずです。ローンのことが気になったり、金利のことが気になると思いますが、もっと大きな枠組みでのセオリーを頭に置いていただいて、これからの資金の調達をやっていただけたらなと思います。
おじさんの説教がましい話で、説明が下手だったかもしれませんが、結構大事なことを言ったつもりです。詳しくは本多先生の本を読んでください。以上のことを頭に置いて、計画を進めてみてください。
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