家の定期点検を受ける時のポイント
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今日は家の定期点検にまつわるポイントに関して、解説をします。
家を建てたらそれで終わりではなく、長く住み継いでいくことになりますよね。そうなってくると、住み手の方にとって気になるのが定期点検です。定期点検とひと口で言いますが、どういうタイミングでするかと言うと、一般的に多いのは2年点検・5年点検・10年点検があります。それ以降も、長期優良住宅を選んで認定を取って建てられた方は、30年間は定期的に点検をするのが義務付けられています。
メーカーさんや工務店さんによっては、3ヵ月点検・6ヵ月点検・1年点検と、完成初期に繰り返し点検をする仕組みもあります。それはそれでサービスがすごく手厚いのでいいことです。しかし私の感覚だと、新築初期の約1年はどうしても担当者がチェックしきれずに見落としている所があったり、お客さんもわからないことがあったりして頻繁にご連絡しているのです。特に現場監督は1年ぐらい行き来したりするケースも多くあります。私はそれで点検も兼ねていると思っていますが、そういうことをせずに3ヵ月点検などで補う仕組みの会社もあるかもしれませんから、そういう視点で見てもらえたらと思います。
次に2年点検です。建物として古くなって傷んでいることはほぼないため、内装や設備のチェックが重点になります。多いのはクロスの隙間・浮きです。これは無償でやっているところがほとんどだと思います。2年間は保証して、それ以降は有償対応になる会社さんが多いので、ここは1つの節目です。内装関係で気になるところがあれば、ご相談されれば多くの場合は無償対応していただけます。逆に言うとそれ以降は線が引かれていくので、ここは言いやすいタイミングです。設備も、メーカーによっては1年で保証が終わることがあります。一概には言えませんが、初期の不具合は2年以内に起こることが多いので、この点検で設備もちゃんと見てもらうことが重要です。
続いて5年点検です。家に慣れて、我が家として馴染んできた頃だと思います。これは無償でやる会社と有償でやる会社もあります。別に決まりはないです。無償の方が多い印象ですが、ご契約された会社さんごとに決まりがあるので確認しておいてもいいと思います。
この5年点検でトピックになりやすいのは、シロアリの点検です。防蟻剤は有機系と言って薬効が揮発するタイプと、ホウ酸のような無機質系という揮発しない物があります。揮発系の防蟻剤は、昔は10年持つと言われていました。最近は、毒性をあまり強くしないということで5年で薬効が切れる物が多いです。このタイミングでシロアリ点検をされる会社もあると思います。大体はチェックシートに基づく目視チェックという感じで、ぐるりと見て、点検口を開けてチラッと見て「大丈夫そうですね」みたいな感じです。ご心配ならば、しっかりしたシロアリ点検は有償になる会社もありますが、中に潜ってチェックすることをお願いされてもいいと思います。
今回の定期点検で大きなポイントになるのが、10年点検です。今は品確法(住宅品質確保促進法)ができて、瑕疵担保責任というのが住宅建設施工者に義務付けられています。瑕疵とは平たく言うと住宅の欠陥です。瑕疵担保責任とは何かと言うと、もし不具合が起きたら10年間は無償で対応する責任があるということです。もっと詳しく言うと、構造耐力上主要な部分と雨水の侵入に関して保証します。
構造上・耐力上の主な部分とは、多くは構造体そのものです。屋根板・小屋組み・斜め材(筋交い)・耐力壁・横架材(梁など)・柱・床材・柱を支える土台、そして基礎という感じになります。雨水に関しては屋根からの雨漏りとか、窓からの雨漏り。そしてバルコニー周りなんかも雨水侵入事故が多い所です。外壁から入ることは少ないですが、入隅とか下屋の取り合いみたいな所からは入る可能性も高いので、漏れないようにちゃんと保証してくださいというものです。
10年で瑕疵担保責任の保証が切れるので、「これをやっておかないと雨漏りの可能性が高くなりますよ」とか「この時期にこれをやっておいた方が家が長持ちしますよ」というポイントを点検してもらうのが10年点検になります。なのでここでは、シロアリのチェックもしっかりやった方がいいと思いますし、できたら屋根もはしごで登って詳しく見てもらったほうがいいです。最近はドローンで診断することもありますが、出回っているドローンだと肝心な所が写っていなくてわかりにくいことがあります。私たちは未だにマンパワーで、はしごを安全に掛けながら登る形でやることが多いです。
10年ぐらいだと、最近の家はしっかりしているのであまりいろんなことが出ないと思います。もちろん法律の節目なのでするべきですが、絶対的に何がなんでもちゃんと見た方がいいと思うのは15年目です。15年もするといろんな物が劣化します。特にコロニアル葺き・瓦葺きの一部の種類・ガルバのような金属もそうです。それなりの劣化が進んでいる可能性もあるので、15年目は外装主体の細かいチェックがあった方がいいかなと思います。
10年を過ぎたら、5〜10年ごとに見てもらえるなら見てもらえた方が安心だと思います。ここから先はおそらく有料になるでしょう。大手ハウスメーカーさんはすごく手厚いので、10年先の点検も無償で回ってくれるという話を聞かれたことがあるのではないでしょうか。大手ハウスメーカーさんはリフォーム部門を持っていらっしゃいます。無償でやってくれるのは、その営業活動の一環です。逆に言うと、営業に来ているのだからタダで見てくれるということになります。
20年後ぐらいからはちゃんとお金を払って、第三者のホームインスペクターみたいな人に見てもらうような点検も意味があると思います。もちろん工務店さんを信頼している場合は、他所に言わないでやってもらう方がいいです。この辺りで1回、第三者に評価してもらうという視点を持ってもらってもいいと思います。太陽光パネルも初期に載せられた場合は、20年経つとFITもとっくに終わって、次の10年間でいよいよという時期になります。さすがに20年で壊れる話は聞きませんが、ゴミが付いていたり、万が一割れていたりすると困るので、この辺もしっかり点検をしてもらいましょう。
そして30年点検に関しては、屋根・防水・シロアリ・太陽光、その全てをチェックする必要があると思います。これはお金が掛かってもやるべきです。その先10年を安心して住めるだけのリペアはどうすればいいのか。メンテナンスする前提で見積もりをしてもらうという利用の仕方であれば、無償点検でもいいので受けられたらいいと思います。
よくあるのが、高いお金を出して家を買ったので、タダで点検してほしいというご要望です。私も家を買っているので、気持ちはわからなくもないです。ただ、10年以上経った家のメンテナンスには、チェックも含めてお金が必要なんだということを1つ頭に置いておいてください。せっかく長くお付き合いされてきたところと、ギクシャクしたりするようなことを、時に見ることがあるのです。私たちが今お取り引きを続けているお客様とはないですが、昔ハウスメーカーの協力店として下請けの仕事をしていた時は、そんなやりとりを見たこともあります。ここはちょっとお互いに冷静になって、やり取りできたらいいなと思いました。
そして定期点検に関して最近多いのが、その会社の社員さんが来るのではなく、いわゆるアウトソーシングで点検を請ける会社があります。どこも人手不足の時代です。お客様からの点検のご依頼が同時期に集中すると、人員が回せません。なので点検を外注する会社さんは増えています。外注業者さんの担当者は、もちろん教育は受けていますが、詳しいかと言うとバラつきがある印象があります。お客さんによく言われるのです。「やっぱりモリシタさんのところの人が来てほしい」と。それで伝言ゲームみたいになってしまうこともあります。点検の際は「モリシタから依頼で来た外注先の◯◯です」と身分を名乗られるので、その時の対応で疑問に思うことがあったら、建てられた工務店さんに遠慮なく相談されたらいいと思います。それも知っておいてください。
実務をやっていて思うのが、定期点検のアポイントが取りにくい問題です。特に今は日中に共働きのご家庭も多くいらっしゃるので、電話しても仕事中だから出られなかったりします。アポイント連絡に関しては、今は便利なものがたくさんありますよね。Eメールやショートメール、LINEなど。例えば夜中でも朝一番でも、連絡すること・見ることは可能なので日程の調整がしやすいと思います。また、これは私たち業者からのお願いになりますが、できれば平日にお願いしたいです。みなさん、土日祝日のお休みに来てほしいと思われると思いますが、点検員さんも家族もいる身なのです。10年目の点検で、自分も立ち会ってどんな点検をしてくれるのか見たいというご希望であれば、うまく有休を取ってもらって平日にやってもらえると、それなりに詳しいチェックもしやすいです。小さい工務店のオヤジの単なるグチかもしれませんが、そんな背景もあることを知っておいていただけたらと思います。
最後に、大手ハウスメーカーさんで建てられたお施主さんにお伝えしたいことがあります。大手ハウスメーカーさんは、工業化住宅の認定制度で建てられていて、工法が特殊な時があるのです。ベランダの防水やちょっとした金物の固定方法も、メーカーさん独特の工法でやっている時があります。第三者に頼んでも修繕できなかったり、無理矢理やることになったりします。メーカーさんが特殊な工法をしていたり、特殊な素材を使っている時は、メーカーさんにお願いした方がいいです。よくあるのは、高いから他を探しているというケースですが、それをやってトラブルになることもよく聞きます。 ここはやはり、そのメーカーさんを選んだ時に定められたこととして、そこを利用された方が何かと無難です。頭に置いておいてもらえたらと思います。
こんな感じで家の定期点検を受けていただいたら、それなりにスムーズにいくと思います。ぜひ参考にしてみてください。
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