改めて考えた「仏壇の置き方・付き合い方」
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お盆の時期なので、今日は仏壇の置き方・付き合い方をテーマに解説します。以前にも似たようなお話はしました。
▼仏壇や神棚を設置する時に注意すること
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若い人は、仏壇と言われてもなかなかピンと来ないかもしれません。一定の年齢以上になってくると、お仏壇との付き合いは段々と深まってくると思います。お家によっては、小さい頃からおじいちゃん・おばあちゃんの位牌を拝んだりするお家もあるのではないでしょうか。改めて家づくりを考えたら、「仏壇ってどういう風に置いたらいいのかな?」と考える方が多いです。そういう質問も受けるので、改めて解説をしていきたいと思います。
まずは、よく言われるセオリーやタブーについてです。おさらいも含めて解説しておきます。仏壇ってそもそも、どの部屋に置くのがいいと言われてきたかで言うと、大体2つです。1つは、仏間と言われる、文字通り仏壇専用の部屋。そして床の間に置くのもいいよと言われてきました。床の間と仏間がセットになっている家も、とても多かったです。それ以外にテクニカルな面で言うと、湿気が無い部屋。仏壇は湿気に弱いんです。漆を塗ったり金箔を貼ったりしている物なので、直射日光もあまり良くない。なので、湿気が少なくて直射日光も当たらないような、ちょっと奥まった暗い和室の一部に作るイメージでしょうか。
あとは、高さ。祖先を敬って拝む所なので、祖先を見下ろす感じにならないように、高い所に置けるようなものがいいと言われています。「ご先祖様」と言って上を見るような感じの目線の高さがいいです。床に直接置かないで、1段・2段高くして置くのがいい、それが筋だよと言われてきました。
日本は1つの宗教ではなく、いろんな宗教を一緒に同時に信仰するところがあります。そのため仏壇も置いて神棚もある、というお家が多かったんです。この時、神棚と仏壇は向かい合わせに置くなと言われています。なぜかと言うと、仏様を拝んでいたらお尻を神様に向けてしまうから。一方、神様を拝んでたら仏様にお尻を向けてしまう。それは不躾だからアカン、そういうことを言われてきました。神棚の真下に仏壇を置くことも、神様を拝む時は立って拝むから、仏様を見下ろす形になるからダメだということも言われてきました。それから、床の間の向かい合わせに仏壇を置くことも良くないと言われています。床の間は、家の中で神が宿る場所と言われているので、準神棚みたいなものなんです。お尻を向けてしまうので、向かい合って設置したらダメだと言われています。
田舎の仏壇は、置いてある所が下屋になっていることがあります。仏壇だけボコッと出っ張っている。屋根が仏壇の上にある状態です。それは何かと言うと、仏壇を2階とかで踏まないようにするためです。大事な祖先を足蹴にすることがないようにということで、そういうことをするのもタブーだと言われてきました。これに関しては、現代の住宅事情だと「そんなことを言っても、総2階の家で1階に置いたらどこでも踏んでしまう」みたいなこともあるじゃないですか。1つの逃げとしては、雲・天・空などの1字を書いて、仏壇の上に貼ったら免責になるそうです。誰かが考えてくれたんですね。
これらが、仏壇のこれまでの基本的な考え方です。多分、これを聞かれて「それは違うだろう」と言う人はほぼいないと思います。今回の話の中心は、仏壇を置く時の向きについてです。間取りを考えて仏間を取ったけど、自分たちがいつも活動している所を優先したら、「仏壇の向きはどうしたらいいんだろう」と疑問が出てくるじゃないですか。その時の答えとして、これまでのセオリーでは南向きもしくは東向きに置くものだと言われています。これは宗派によっても違うという話も聞くので、一度整理してみました。
調べてみると、大体4つの説があります。まずは本山中心説です。仏教には各宗派があって、総本山には比叡山とかいろいろあるじゃないですか。その本山の方向に手を合わせるということです。仏壇をここに置いて仏壇に向かって拝んだら、本山も拝むことになる。これが、宗派の本山の中心に沿うという仏壇のあり方です。総本山を基準に、建っている家の場所によって方位が変わるということです。でも本山に向いてるからOKという、そういう考え方があります。
そして2つ目が、西方浄土説というものです。東向きに置くのがいいよという考えになります。これは、阿弥陀如来という仏様が西方浄土という西の方にある浄土にいらっしゃるという考えがあって、自分が阿弥陀如来の仏様の方に向かって行くため、自分が西を向くから仏壇は東だと。そういう感覚で、浄土真宗・浄土宗・天台宗という宗派に、こういうお考えが強いということだそうです。
その次は南面北座説と言って、南向きに置きなさいというものです。これは何かと言うと、昔お釈迦様が説法をした時に北を背にして南の方に向かって説法した。そういう言い伝えがあります。そのため南に向くのが仏壇の正しい置き方だよ、ということです。これは曹洞宗・臨済宗にそういうお考えがお強いみたいです。
最後に、春夏秋冬説があります。春夏秋冬という四季です。これは決まりなしということです。要は、ご先祖様が安らかにお眠りになられればどこでもいいと。春には春の、夏には夏の、秋には秋の、冬には冬の良いことがある。つまり、それぞれに相応しい方位があるから、別にどこということはないんだということです。清潔に丁寧にご先祖様をご供養すれば、それでいいんだよと。方位は特に決まりがないよというのが、春夏秋冬説というものです。これは日蓮宗・創価学会さんとかもおっしゃっているようです。
こういうことを踏まえて私が思うのは、仏壇の向きはあなたの思う宗派の考えに沿えば
いいんじゃないですかと。親には宗派があるけれど、自分たちの家としてはあまりこだわりがないと思われるなら、決まりなしでいいんじゃないかと思います。それよりも、いかに祖先をご供養するかが大事です。「ちゃんと供養する方向がどこがいいの?」と聞いているわけなので、答えは「ちゃんと供養すればいい」ということになる。今の私の結論として、そう思います。
ここまで言ってきた置き方というのは理屈ですが、みなさんは現実の中で判断していきますよね。ある統計を見て、気になったことがありました。その統計とは、「最近のお仏壇はどこにみんな置いてるの?」統計です。その統計値で見てみると、なんと今、47%の人がリビングに置くそうです。次に和室、従来の仏間や床の間。これが28%で3割です。残りは洋室とか仏間など。寝室に置かれる方も、2%ほどいらっしゃるようです。これはきっと仲の良いご夫婦なんかで、仲の良かったおじいちゃん・おばあちゃんが亡くなって、寝る時に寂しいと言って置かれるんでしょうか。これはこれでグッとくるものがあります。
そういう統計値を見ると、リビングに置くこともこれからのスタンダードかなと思いました。セオリーでは仏間・床の間と言いましたが、リビングに置くとなると方位に関してはなかなか難しいです。制約があると思います。リビングに置いている人に、「なんでリビングに置いたんですか」と聞いたら、一番の理由は何と言っても家族がいつも集まるからだそうです。いつも家族が集まって、仏壇に向かってお参りするんですよね。それだけ、亡くなった祖先のことが大好きだったということでしょう。リビングにあれば、いつも接点があって、祖先たちに感謝するということになりますよね。
もう1つの理由は、お世話がしやすいことです。ちゃんとお祀りしようと思ったら、陰膳と言って、ご飯を盛ったりお水やお茶などをお供えされると思います。生きている人の日々の食事と一緒です。もちろん忙しかったら週に1回でもいいとか、そういう教えもあるようですが、毎日ではないにしても一定の頻度があるわけです。そうすると、リビングにあると合理的というか、いつも目に付くから埃があるとなったらすぐ掃除できたりする。そうなってくると、仏壇の置き方と付き合い方って、そういうことでいいんじゃないかと思うようになりました。こんな乱暴なことを言っていますが、宗派という宗教上のお考えもあるので、そういうわけにはいかないということもあると思います。これはあくまで私の1つの考えです。
祖先も、子孫に我慢してまで住めなんて思っている人は少ないのではないかと思います。「お前たちは自由に楽しく過ごしたらいいよ」「時々おじいちゃん・おばあちゃんのところに参ってくれたらいいんだよ」と、思ってくれているのではないでしょうか。私の祖先たちは、そんな風に思ってくれているんじゃないかと勝手に思っています。当たり前ですが心を込めてお参りして、祖先を祀っている所はいつも清潔に綺麗にしていることが、大事なのではないでしょうか。当たり前すぎる結論になりましたが、ぜひ参考にしてみてください。
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