内装デザインの基本の基本を解説
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今日は内装デザインの基本について解説します。
家づくりで間取りや外観がある程度決まってくると、いよいよ内装のデザインやインテリアが気になってきますよね。これについて、1つの法則みたいなものを解説できればと思います。
私の師匠は松尾和也先生です。先生が設計されたお家や、偉大な建築家の建物を見に行く時に、ご一緒させてもらうことがあります。その際、松尾先生に「この家の内装はすごく素敵ですね。これって他の家とは何が違うんですか?」と聞くと、「それはこういうことですよ」と教えていただけます。また、その後のお付き合いの中で折に触れてアドバイスをいただいてきました。今回はそれをまとめて解説したいと思います。
例えば部屋の内装によくあるパターンとしては、ドアと窓があって照明器具が付いていて、梁見せ天井にして、壁と床の境目に巾木をぐるっと回すようなものがあります。こうしたデザインにする際、いくつか改良すべき点があるというお話がありました。
改良点の代表的な6つのことに関してお話ししていきます。松尾先生はまず、室内がカッコよくスッキリ見えるための最大のカギは、ラインだとおっしゃっていました。立体的に見えている空間は、目を凝らしていくと線の集合体です。線の数がたくさんあるほど野暮ったく見える。腕の利く設計士や建築家は、これをいかに絞るかを考えています。
例えば一般的なドアの仕切り方では、垂れ壁が出てきます。そうするとドア側の壁面には、垂れ壁の部分を含めてラインが必ず2つできてしまうのです。一方で、天井高まである建具を選べば、垂れ壁が作られないためラインは1本消えます。実際に垂れ壁のある壁と無い壁を見比べてみるとわかりますが、スッキリ感や広さの感じ方が断然違います。
ラインを減らすには、巾木も考える必要があります。巾木は、床と壁の間に貼り付けて、掃除機とかが当たっても傷つかないようにするものです。これには複雑な加工がされているものがあります。昔のゴージャスな建物には、溝が2本も3本も切ってあるものがよくありました。ハウスメーカーさんの高い建物とかがよくやっていたと思います。普通の巾木だと2本のラインになりますが、そこに2本も3本も溝があると、たくさんラインが入ることになる 。その密度がゴージャス感を醸していました。しかし今それをすると野暮ったいんですよね。なので、15mmぐらいの高さにして、簡単な造りにするとスッキリします。
2番目が、使う色の数です。色彩感覚にすごく優れた人っていらっしゃいますよね。例えば高田賢三さん(KENZO創業者)という有名なデザイナーの方がいらっしゃいます。KENZOさんと言えば、極彩色のカラーを使って服とかを作られているイメージです。ちなみに僕は姫路出身で、高田先生も姫路出身の方なので、憧れの目で見ていました。KENZOさんの色使いはすごく綺麗ですが、あれを私が着こなせるかと言うと、ちぐはぐになってしまうと思います。
色をたくさん使うには、ある程度の力量が必要です。ですから、まずは内装に使う色を絞りましょう。究極は2色までに抑えたらいいですが、譲っても3色までに抑えるといいと思います。4色も5色も、あるいは極彩色のように10色以上になってくると、すごく難しいです。
よくあるのは、クロスの貼り分けです。腰壁だけ色を変えて2色に貼り分けたら、ラインも色も増えてしまいますよね。床面と腰壁を同じ色にするならまだいいですが、床はブラウンだけど腰壁はブルーとか、色を増やすほどカラーコントロールが効かなくなっていきます。何より、家というのは家自体で完成ではありません。部屋の中にインテリアが入ってくるので、もっと色が増えるんです。そうなってくると、よほどのセンスがないと野暮になるということはあると思います。
木や石など、素材を活かしたものを内装デザインやインテリアの中にアクセントで使うこともありますよね。最近はよく梁見せと言って、梁をあらわしにする家って多いじゃないですか。しかし飯塚先生は「本当はああいう風にしない方がいい」とおっしゃいます。飯塚先生いわく、白い壁で床がブラウンという中で天井を木部にしたいのなら、シナベニヤやラワンベニヤなどを一面に張った方が、梁だけが2〜3本出ているよりも綺麗に見えるということです。最初は私も意味がわからなくて、アクセントだからいいのではないかと思っていたぐらいです。しかし、自分が実際に美しいと思った建物は、そういう法則でできていました。それを受けて、素材を使う時は壁一面とか天井面に使うようにしています。そっちの方がスッキリして見えるというところが、効能としてありました。
4つ目は設備です。設備というのは、どうしても部屋に付き物ですよね。典型的なのは照明です。それから、換気扇・給気口・コンセント・スイッチ。ああいう物は使わざるを得ないですが、なるべく存在感を減らしましょう。シーリングライトを天井に付けるのは定番ですが、ダウンライトのように埋め込んで存在感を消して使う方が、デザイン的には非常にスッキリします。すごくこだわって内装をデザインしたとしても、シーリングライトがあるだけで台無しということもよくあることです。
5つ目はクロスについてです。一生に1回の家づくりですし、お子さんがまだ小さいことも多いので、アクセントを付けるためにキャラクターデザインなど派手な柄物を選ばれることがあります。そういったものも、たくさんの色味を使うのと一緒でセンスがいるし、流行もありますよね。例えば、鬼滅の刃というアニメが流行しました。僕はよくわかりませんが、そのキャラクターの着物で、昔から日本にある柄が再注目されましたよね。ああいう風に、時を経ても生き残ってきた洗練された柄を、上級者が上手に使うのはアリだと思います。
私の自宅で言うと、娘たちが小さい頃に動物柄のカーテンを付けました。でも今は娘たちも大きくなって、部屋に合わないという感じになっています。そういった時間の限界も出たりしますので、アクセントに取り入れる時は、なるべく家具とか小物でやりましょう。キャラクター物はぬいぐるみやマスコットみたいな物で楽しんで、子どもが成長してそのキャラクターから卒業したら、その小物も卒業するという感じです。
6つ目のポイントは、開口部の中央のラインをなくすことです。例えば、よくある引き違い窓は普通と言えば普通ですが、デザインにこだわる方は「野暮ったく感じる」とよく言われます。だから、FIX窓とか間に何もないものとか、中央じゃなくてどちらかにバランスをズラすとか、そうすることによって落ち着いたオシャレな感じが出るということです。これが僕にはパッとわかりませんでした。松尾先生いわく、開口部の中央に縦桟などがあると、人間の脳はジャマな物として判断するから、美しく見えないという傾向があるのだそうです。
そのため、開口部中央に縦線というのは、よほど考えて使わないとノイズになって野暮ったくなると思ってください。
これらのポイントが基本中の基本です。たった6つのことを意識するだけで、自分にセンスがないと思っている人でもそこそこ上手に収まります。間取りの設計が終わると、ついつい「自分の部屋を気に入る内装にしよう」と意気込んでしまいますが、家に関してはこういう原則に則ってシンプルに収めてください。家具は家に比べたらやり直すことも簡単なので、やりたいことはインテリア小物や家具などで実現することがおすすめです。これらのことをぜひ参考にして、内装のデザインを楽しんでみてください。
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