子供部屋の最小寸法を考えてみた
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今日のテーマは子ども部屋です。
先日あるお客様から、こんな質問をいただきました。「子ども部屋ってあまり大きくなくてもいいのかなと思っています。一番コンパクトにしたらどれくらいになりますか?どこまでコンパクトにしていいんですか?」という内容です。
その方とお話していて素晴らしいお考えだなと思うこともありましたので、そのことをみなさんにもシェアしていきます。
僕のスケッチを見てください。僕が考えた子ども部屋の最小寸法を描いてみました。1つの例として見てみてください。
2275mmと描いてあるのは建物の壁の中心寸法です。2275mm×2275mmの部屋になっています。
これまで子ども部屋は6畳・4畳半・3畳とかが多くて、最近は4畳半にされるケースが増えています。少し前までは6畳欲しいという親御さんが多かったです。
時代背景もあると思いますが、僕の小さい頃は子ども部屋はなかったです。兄弟と一緒に子ども部屋に押し込まれていました。こういった方が家を建てる場合、「子どもたちには広くてちゃんと個室をつくってあげたいんです」とおっしゃられることが多い印象です。10年前ぐらいまでは、こういったお話を聞くことがよくありました。
一方で最近は子ども部屋はコンパクトでいいという人が多いです。これにも世相というか暮らしぶりの価値観の変化があると思います。
それでいうと、今回描いた、この極小サイズの子ども部屋は僕のオリジナルではなく、師匠の飯塚先生や関本先生という2人の建築家の方がおっしゃっていたことを元にしながら作っています。
子ども部屋の2大要素って、突き詰めたら机とベッドになりますよね。子ども部屋の最大のニーズは“こもりたい”ということだと思います。こもった上で、自分の好きなように遊びたいというのを叶えていく場所です。それを収める空間が今回のスケッチになります。
畳数で計算すると3.25畳になります。僕らの業界では図面を書くとき、1つのマス目が910mmになっていて1Pと言っています。1つの単位です。この91cm角というのは建物の基本的なモジュールになることが多いんです。
今回の子ども部屋は一変が2.5P です。2.5P×2.5Pで3.25畳の大きさになっています。こもれる個室の最小寸法という感じです。東京のビジネスホテルで、たまにこれくらいコンパクトな部屋があったりしますよね。
これを見て「えっ?」と思う人もいらっしゃれば、「これで充分だ」と言う人もいらっしゃるはずです。
子ども部屋に“これは絶対置くだろう”というものを考えてみます。勉強道具・カバン・クラブ活動で使うもの、人によってはゲームとかPCとかが入ります。入り切らないケースもあるかもしれませんが、ベッドの下の収納とかニッチを切ることで、収納スペースをつくることは可能です。
今回は断面図も書いてみました。天井高は2200mmです。
一般的な設計だと2400mmの天井高にすることが多いですが、2200mmで充分かなと思います。この階高については家全体計画の中でバランスを取りながら考えていく面もあるので、ケースバイケースですが、“最低限”となると2200mmじゃないかなと思いました。そんなに閉塞感もないと思います。
このことを踏まえた上で、もう1つ知ってほしい寸法感があります。それは人間がデスクワークする時の最小寸法です。デスクの高さですね。
デスクの広さは人それぞれです。好みがありますよね。でも高さは大体70cmぐらいに収まります。デスクの面から上の高さも、よっぽど座高が高い人じゃない限り70cmほどになります。作業していて頭上が気にならない高さです。これで充分です。
なので1m40cmの高さがあれば、デスクワーク、つまり書斎的な機能は成立します。それがわかっていただけると子ども部屋だけじゃなくて、ご主人のためのワークスペースなども階段の下に設けることができるな、ということが分かったりします。
階段の下はトイレを持ってくる計画が多いです。でもコンパクトな書斎を作って、そこで座って仕事するという選択も取れます。階段の向きをうまく考えれば、リビングとは独立した形でワークスペースを取ることが可能です。なので1m40cmというのは知っていると使い勝手のいい高さ感になります。
それでいくと座って作業するのに必要なのが1m40cmとしたら、この場合の部屋の高さはは2mぐらいまで絞った形でも、快適な空間になります。
座り仕事のときは、頭上がバーンと抜けているより、少しこもった感じの方がグッと集中できたりしていい時もあります。僕も仕事に集中している時とや設計を詰めたりする時なんかは、こもれるような場所でやる方がいいなと思う人です。
こういった寸法感を知っておいていただくと、例えば書斎スペース(デスクスペース)は平均は2200mmの高さだけど、1段上げたり、スキップフロアの中に組み合わせることもできるというのが分かって選択肢が広がります。
翻って言うと、子ども部屋はさらに高さを絞ることも可能だと思います。
最小限の部屋を考える際に、どんな家具を置くかでもつくり方は変わります。ロフトを作るとか2段ベッドを用いると、部屋の高さはもっと絞れます。
例えば男兄弟2人の場合は2段ベッドで寝てもらう、というのも有りですよね。僕も子どもの頃は、すぐ下の弟と2段ベッドで上下に寝ていました。
こういった形もありますし、家具屋さんに行くと下が机で上がベッドといったものがありますよね。コンパクトに収めることを意識されるなら、こういった物を組み合わせると、もう少し絞れるかなと思います。もしかしたら部屋の広さも2.5Pではなく2Pぐらいで収められるかもしれません。
ですので子ども部屋の高さは2mとか2m20cmを基準に思っていただくといいです。その上で、これだけコンパクトな子ども部屋にする以上は、家の別の場所で他の機能をカバーする必要があります。
まずはプレイルーム。部屋にこもって楽しいこともありますが、ワイワイ過ごしたいとか、友だちを何人か呼んで遊びたいというときもありますよね。僕は男兄弟だったのでプロレスごっことかしてました。そういうのは2階のホールやセカンドリビングで実現するというやり方があります。
次はファミリーブックシェルです。今回の子ども部屋だと本をたくさん置くスペースをは確保しにくいです。もし子ども部屋を2階につくるのなら、2階のどこかに家族共用の本・資料とかを置くスペースを作ってあげるといいです。プレイルームと一体にするのもいいですね。
また、部屋の中に衣類をたくさん置けないのでファミリークローゼットもあるといいです。おそらく今回の部屋だと制服を掛けるぐらいしかできないです。
ファミリークローゼットは家族共用である方がいいと思います。2階にファミリークローゼットをつくるとしたら、オフシーズンの物やおしゃれ着を置くのがいいです。1階のデイリークローゼットには普段着とか、ここに制服をしまうのもいいと思います。そうすると子ども部屋がコンパクトになります。
年頃になったらプライバシーも欲しくなるので子ども部屋もつくるけど、一方で部屋にこもる時とみんなで交流する時のメリハリはつけようというのが、親御さんたちが望んでいることだと思います。
この価値観が自分たちにピタッとくるようでしたら、子ども部屋を考える際に、今回ご紹介した小さな部屋というのも大いに有りです。そうしたことを踏まえながら間取りをいろいろ考えていただければと思います。
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