家づくりで予算を削ってはいけないポイントベスト5
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今日のテーマは「家づくりで予算を削ってはいけないポイントベスト5」です。
家づくりって表立って見えるところに関しては、削る・削らないの判断がしやすいと思います。一方で見えなくなるところ、下地とかそういうところは判断しにくいですし、気を付けていただきたいところがあるので順番に説明していきます。
家が長持ちしていくという意味で、一番耐久性を要求される、厳しい条件の中で考えるのは屋根になります。一番むき出しで、太陽の紫外線を常に浴びますので、過酷な目に遭うんですね。
屋根は「ガルバがいいのか?」「普通の瓦がいいのか?」などいろいろな意見がありますし、耐久性に関して議論もあります。今回はちょっと割愛させてください。(別の動画で話しているので、こちらを見ていただければと思います)
▼瓦とガルバリウム鋼板、どちらの屋根が良い?
https://www.m-athome.co.jp/movie/kawara_garuba_dochira
それよりも今回は屋根材の下に来てるものについて話をしたいと思います。防水紙ですね。
屋根材というのは万が一、水が入った時も切れていくような造りにして防水性を担保しています。防水紙は水がきれいに切れて下に流れていくところを受け止める役割をします。一般的には「アスファルトルーフィング」と言うことが多いです。
これが今だと大体は「改質アスファルトルーフィング」、ゴムアスと言ってるようなものを使うことが一般的だと思います。これには種類があって耐用年数が異なります。15年という区切りで切ったものと、20年という区切りで切ったもの、そして30年という区切りと3グレードで使われることが多いと思います。
ここまでお聞きしたらもうわかりますよね。僕がオススメするのは耐用年数が30年の物です。耐用年数が15年の物から比べたら価格は上がりますけど、びっくりするほど高いわけではないので、ぜひ30年耐用を選んでもらいたいなと思います。
もっとも、この動画を観られてる方は勉強熱心な方ですので「30年しか持たへんような物なんですか?」っておっしゃる方も多いと思います。
メーカーはオフィシャルに言わないですけど、過去に技術者の方と何回か研修とかの機会でお話しした際、大体そういうものは耐用年数を例えば10年と設定した場合、20年持つものを作るんだそうです。20年持つようにつくっているから絶対10年はOKと言える、という風になると。なので耐用年数が30年なのであれば、50〜60年持つだろうと思います。ですがメーカーとしての補償という堅い縛りで言うと、30年という言い方になるということなんですね。
耐久年数が60年のやつもあります。田島ルーフィングさんというところから出ている「マスタールーフィング」になります。耐用年数60年だとものすごく持ちますよね。
性能はとてもいいですが、価格はすごく高いです。だから僕も使う時になかなか躊躇するところがあって、予算に余裕があって、かつ絶対心配したくない人が選ばれたらいいと思います。そうでなければまずは耐用年数30年がおすすめです。
田島ルーフィングさんだったらニューライナールーフィングという商品が有名で、大手のハウスメーカーさんで高い建物を売ってるところでも大体これを使っています。まず間違いのないブランド・物という感じになります。
家づくりの際に「予算を絞ってください」とお願いするとしますよね。そのとき工務店とかはいろいろ考えて、屋根屋さんに「なんとかならないかな?」と相談して耐用年数が違うものをチョイスした見積りになることもあります。
なので新しい見積りを見たときに「安くなった!」と喜びたい気持ちもわかりますが「ルーフィングは何年ぐらいの物を使ってくれてるんですか?」と聞いてみてください。耐用年数が短くなっているのであれば「そこは削らなくていいから」という感じになってほしいです。
2番目が壁の話になります。瑕疵(かし)担保保険といって、住宅の品質に関して保証する保険があります。これは義務化されているので、みなさん加入されるようになっています。
円グラフを見てください。雨漏りの事故が起きたところの部位を統計を取っています。外壁・取合い・屋根となっていて、45.4%・35%・19.6%となっています。外壁に関してのトラブルが実は45%あるんです。
屋根はさっき耐久性がポイントだと言いましたが、ここは意外と少なくて19.6%になっています。20%もあるという風にも取れますが、外壁と比べたら半分以下になります。もう1つが“取合い”といって、いわゆる屋根・壁とかの接点みたいな所になります。
壁も屋根と同じく防水紙があって、これがポイントなんです。
ここから特定のメーカーが登場しますが、メーカーの回し者かとは思わないでください。
僕の経験でみなさんにおすすめしたいものをお伝えしていきます。
外壁の内側に貼る透湿防水シートは、デュポンさんという会社が出してるタイベックというやつがおすすめです。あとはハウスラップというシリーズの物を選ぶか、ドイツのウルトという会社が出しているシートを選ぶかになります。このタイベックとウルトが超オススメです。
以前、築30何年という家の解体に携わったことがあります。そのときに家の壁をめくって出てきたタイベックシートが「これ新品?」と思うぐらい何にも変わらない状態でした。メーカーの耐久試験ではなく、実際に30年超経過したものを確かめたことがあるので「これは本当にしっかりしてるなぁ」と感動しました。
30年前のタイベックで、これだけの品質なので、今販売されているタイベックはもっと進歩してると思います。それぐらいすごいです。
国産の物でも類似の商品があります。こちらも30年ぐらい経過したものをみたことがありますが、シートがもろくなっていたんですね。壁の中だから紫外線が当たったりしないのに、どういう作用であんなに風化するのかなと疑問に思った経験もあって、「やはりタイベックが信頼あるな」「ウルトはいいよね」というのを実感しました。
お客様から「外壁の予算を絞りたいんですけど」と相談を受けたら、シートを変えて価格調整をすることもやりがちです。お客さんから見たら「同じシートに見えるけど何が違うの?」と思われるかもしれませんが、これは結構大きいと思います。
僕は自分の経験値では、先程あげたタイベックとウルトの2つを選んだ方がいいかなと思います。
3つ目が同じく外壁で、外壁の中でもさらに事故が多い窓まわりの話になります。
円グラフの外壁45%のうち、27%を占めるのが窓まわりと言われています。窓に絡む漏水がすごく多いんです。
スケッチに断面図を書きました。
窓というのは4方の枠を木地を組んで、そこに防水処理をしてガラスをはめています。窓自体には縦枠・横枠・上枠があります。一体の物もありますが、多くは水平・垂直が接合してガスケットみたいなのが入っていて、ギューッと締めて防水を取っています。長い時間が経つと、ここから少し水漏れたりすることがあるんですね。
僕たちはそのときに窓下に屋根に使うような物、あるいはそれを加工しやすくしたような防水シートを入れて防水テープを貼って、窓の下にもう1つ受け皿を作るみたいなことをしています。これは別に法律で規定されてることではないです。任意のことなので、していない会社もあります。でも僕はぜひともしてほしいと考えています。
窓は家を1回建てたら交換する機会はほとんどないと思います。もし交換したとしてもガラスだけ変えるのであれば下地なんて触りようがないです。でも、これをやるのとやらないのとでは全然違います。ちなみに実施しているお家だと事故はほぼ起きてないそうです。見えない部分だけど大切にしてほしい、ここに掛けるお金は削らないでほしいところになります。
先程の円グラフに“取合い”というものがありました。
典型的なものを挙げると、南にベランダ・バルコニーを作るケース多いですよね。そのとき手すりが大壁で回ることが多くて、手すりの上部と壁がくっついた所を取合いと言います。ここは水が漏れやすい所です。なので壁にもタイベックみたいなのを巻くんですね。会社さんによっては巻き込んだりしてることもあります。
巻き込んでも一定の防水性能がありますが、壁と、取り合いみたいな垂直面、小さな屋根面ってそれぞれ要求される防水性能が異なります。水平の方がより厳しいです。
なので鞍掛(くらがけ)と言って、お馬さんの上に鞍をのせるような形で防水のルーフィングをUの字に掛けてカチッと納めるということをやってもらわないといけないです。
もっと難しいのは壁際の所で、ここも昔はルーフィングを折って加工して防水テープで繋いで難しい役物を作っていました。ありがたいことに今は樹脂の一体形成で貼り付ければOKという部材もたくさん出てます。
普通は「こんなの当たり前にやってるはず」と思います。悪口ではないのですが、ものすごく安い予算の建売屋さんの現場や名の通ったパワービルダーさんの現場を見て不安になったことがあります。
鞍掛というのは黒いので、見たらわかるんですね。タイベックを巻き込んでいて「まさかあれで終わり?」と思ってずっと見てたら、結局何もしなかったみたいなことがありました。
以前、別の動画でも鞍掛について話したことがあります。
▼10年しか持たないバルコニーの理由
https://www.m-athome.co.jp/movie/10year_balcony_riyu
鞍掛をすると手すりの中の水蒸気が出にくくなります。水が入らないガラリみたいなものが付いた特殊な金物とセットになっている商品もあるので、そういったのを使っていただきたいなと思います。
ここも目に見えないところです。ベランダで「なんだかんだ10万円弱ぐらい使うのもったいないなぁ」ともなりがちです。でも、ここも妥協しないでほしいんですね。
しっかり実施すれば外壁・取合い・屋根の大きな事故が防げて、家が長持ちする、安心して住めるということに繋がります。
最後にガラスのスペーサーについてもお話しをします。今はペアガラスとかトリプルガラスを使うのがスタンダードになっていますよね。
デフォルメしてますが、ガラスの断面を描いてみました。例えばペアガラスなら、ガラスとガラスの間にジョイントに入れるものをスペーサーと言います。このスペーサーに種類があるんです。
一般的にはアルミと樹脂になります。同じ樹脂サッシの窓でも、スペーサーがアルミになるのと樹脂になるので迷ったら、樹脂を選んだほうがいいです。金額的なことを言うとアルミの方が安いです。でも結露のしにくさや室内の快適さで言うと、樹脂が優れています。
ガラスから冷気、あるいは熱が伝わって部屋の中に入ろうとしたとき、樹脂は一種の断熱材として機能しますが、アルミは冷気も熱も通し放題です。なので見た目は一緒でも値打ちが違う、快適さが違うということになります。
今回挙げた5つは、予算がどれだけ厳しくても絶対に削らないでほしいです。もし見積りが安くなりましたというときは、この5つがきちんと考えて選んでもらっているか、しっかりチェックしていただきたいです。消費者の知恵として覚えていただければと思います。
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