片付く家の各論(キッチン編)
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今日のテーマは片付く家についてです。今回はキッチン編になります。
▼片付く家の各論(玄関編)
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▼片付く家の各論(ダイニング・リビング編)
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片付くキッチンというのは、住み手の方が自分たちの工夫としてやっていただいた方がいいのかなと思っています。なので住み手の方が家づくりを進める際に、こういう流れで考えてもらえたらと思いながらお話ししますね。
片付くキッチンをつくる一番のポイントは“立面で考える”ということです。キッチンって収納の塊ですから立面から考えることが重要だと思います。
「立面って何?」と思った方は、僕のスケッチを見てください。一般的なI型のキッチンを立面で描いてみました。
図面にすると横が2.5〜3mぐらいになります。そのスペースにコンロがあってシンクがあって混合水栓が付いていますよね。食洗機もあります。よくあるレイアウトで描いてみました。
今回の動画を見ると、こういうキッチンがいい・悪いという判断が自分たちでしていけるようになります。
コンロの下の収納には鍋とかフライパンがしまえると便利ですよね。その収納の横には調味料がしまえる引き出しがあるといいかもしれません。調味料もボトルのサイズがいろいろなので、ストックしておける用の収納があったほうがいいし、ラップ・ホイル・割り箸とか軽い物だけど結構頻度がある物も取り出しやすいほうがいいなとか、いろいろありますよね。スポンジや洗剤のストックとか、ごみ袋とかまな板とか、ボウル・ざるというのもあります。ボウル・ざるもパッと出したいですよね。
キッチンを考えるとき「吊り戸」がほしいってよく聞きますが、ボウルとかを置くのに、この吊り戸に使い勝手が悪いです。じゃあ何を置くのがいいかと言うと、トレーとかリネン類(布巾など)ですね。
あと、お菓子作りが好きでたまに作るという人は、上の棚に置くといいかもしれません。それから水筒とかもいいですね。水筒も大きさが何種類もありますよね。2Lとかも1Lも500ml・300mlといろいろあると思います。
まとめると、上の棚には使う頻度がそれほど多くなくて軽い物をしまうのが合っています。
こういう感じで、立面にして、しまう物の配置を考えるというのが最大のポイントになります。
逆に、ものをしまう場所が決まっていないと、のちのち大きな問題となります。
以前、別の動画で片付けについて解説をしました。そのとき僕は、片付けってどういうことかというと“必要な物を所定の場所に置くこと”だと話しました。
キッチンも同じで、キッチンで使う全てのツールには置くべき場所、つまり住所を決める必要があります。
▼片付く家と散らかる家の違いとは?
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これは設計士が聞ければいいのですが、キッチンで使うものって人によっていろいろ変わりますよね。「これ持っていますか?あれ持っていますか?」といちいち聞かれるのも大変だと思いますので、住み手側が今話したような視点を持ちながら、「じゃあ自分でも何を持っているか出してみます」となるとスムーズに進むと思います。
といっても、いきなり書き出すのはむずかしいですよね。そういうときはキッチン用品の分類を知っておくと、持ち物の把握がしやすくなると思います。
キッチン用品というのはざっくり分類すると、3つあると言われています。
①料理を作るというカテゴリーの物 ②料理を盛り付けるというカテゴリーの物 ③キッチンを片付けるカテゴリーの物です。
①の料理を作るカテゴリーにもいろいろあります。
例えば料理本とかノートを見る人だったら、そういうものがありますよね。最近はスマホだけで済むことも多いと思いますが、お母さんからもらったレシピ本を大事にしてる人もいますので挙げておきます。
それから食品は生鮮の物なら全部冷蔵庫に入れますよね。一方で乾物・レトルト・缶詰みたいな物もあれば、調味料もあります。
鍋の出汁とかって、僕たちが子供の頃は自分たちで作ってました。砂糖や醤油を入れて作ってましたね。でも今は出汁のパックとか、1回で使い切れるものがありますよね。そういうのをストックしたい人もいらっしゃるはずです。
それから当たり前ですけど調理道具もありますよね。
②料理を盛り付けるというカテゴリーなら、食器もありますし、食器と合わせてスプーン・フォークといったカトラリーも欠かせないですよね。食器・カトラリーも家族によっていろいろです。いろんな種類をそろえている場合もあれば、少なめにされているケースもあると思います。リネン・トレーも同じですね。
③キッチンを片付けるカテゴリーとなると、保存用の容器が出てきます。いろんな種類のタッパーやお弁当箱を持っているケースもあるはずです。サイズもいろいろありますよね。運動会に持っていくような、お重のような形をした大きいお弁当箱もあれば、仕事場に持っていくようなサイズのものもあります。
それからキッチンには、キッチンペーパーやアルミホイル、ラップ、といった消耗品もたくさんあります。洗剤・たわしといった掃除用品もあります。
キッチンにあるものは、僕よりも毎日ごはんを作られる方のほうがよっぽど詳しいと思うので、手持ちのものを把握したいときは作る・盛り付ける・片付けるという風に枝葉をつけて分けてみたり、自分の好みを確認していただければと思います。
ここから設計士の仕事の話が絡んできます。
キッチンの具体的な計画のポイントとしては、まず1つ目が食器の種類や量の把握です。これは絶対に必要です。食器は人によって量とか種類に幅があります。すごく絞って使う人もいれば、いろんな種類が欲しい人もいらっしゃるので、どちらのタイプかで計画が大きく変わります。
2つ目が食品の量です。どういう物を置きたいかを把握します。食品といっても生鮮食料品以外のものが特に重要です。乾物系と表現したらいいでしょうか。カップラーメンをストックしておきたい人もいれば、一切置かない人もいらっしゃいます。これは家族構成で将来変わることもありますね。
例えば「子どもが幼い頃はこれでいいんだけど、食べ盛りになったらこうなるよね」みたいに変化する可能性があるので、予想しながらやっていく必要があります。
食品に関しては購入頻度も確認します。これが3つ目です。共働きでスーパーに行くのは週に1回という人もいれば、同じ共働きでも毎日仕事の帰りに買う人もいらっしゃいます。生活習慣とか好みにも左右されます。
収納を考える上でご家族の身長も重要になると思っています。これが4つ目です。身長については後でもう少し詳しく解説します。
5つ目はごみの分別ルールです。住む所の分別ルールですね。
ずっと同じ地域に暮らされてる人はよくわかってるので大丈夫ですが、家づくりを機に住むエリアが変わる場合は、新しい所の分別ルールを把握してください。自治会によって大きく変わることもあると思いますのでね。
6つ目が家電とかミキサーといった電動ツールの把握です。いろんな種類がありますよね。ミキサーとかも使う・使わないがあるので「自分はどうかな?」ということを把握してください。
建築の設計上、食器とか食品のボリュームを押さえておかないと、収納の量も確定できないです。ボリュームが確定した後に何をどういう風に配置するかというのは、使い手の方が主導なって考えていただきたいです。やっぱり使うのはご自身なので、プロに任せてもしっくり来ないところがあると思いますので、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいです。
僕たち設計側は、ボリュームをどういう風に固めていくか、どこに何を置くかというところがポイントだと思っているので、今お話ししたような流れで進めていきたいと思ってます。
先程の身長の話をしますね。身長は個人差がすごくあります。155cmの女性もいれば、165cmの女性もいらっしゃいます。料理は主に旦那さんがされるのであれば、キッチンを使う人は180cmを想定したほうがいいかもしれないですよね。
となると、収納の適正な高さというのは結構幅があります。
基準を決めるときの考え方をお伝えしておきますね。
人が立って手を伸ばした時の手先の高さ・目の高さから、手を下ろした時の下場の高さ・膝の高さまでのラインは収納を高さを考えるときの1つの基準になります。
このラインを中心にして、目の高さから手が下がった所の高さはゴールデンゾーンと呼ばれます。ここが一番使い勝手のいい所です。ここに使う頻度の多い物を持ってきてください。
ゴールデンゾーンに収納がしっかり取られているかどうかで、片付けやすさは変わると思っています。
目から上より高いところとか、手先より下には、たまに使うものをおいてください。
本当にたまに使う物は手先の上より上に置く。例えば年に1回する餅つきのための蒸し器みたいな物があるのなら、それは一番上でいいと思います。ただ、蒸し器みたいなものは軽いから一番上でOKですが、たまに使うけど重たい物は下に置いてください。
家事をされる人のゴールデンゾーンを把握した上で立面計画に落としていきます。棚板の高さが決まると、しっくりくると思います。
その上で平面図のポイントも解説しておきます。
典型的なキッチンを描いてみました。キッチンスペースの左上に冷蔵庫、左下は(厳密にいうとダイニングにつながる通路でそのすぐ横に)シンク、右下がコンロで、右上がゴミ箱を配置しています。この冷蔵庫・シンク・レンジ・ゴミ箱をモリシタでは4つのコーナーと呼んでいます。
この配置にはそれぞれ好みがあります。冷蔵庫は左上に配置することが多いです。シンクが近いので「野菜とかお肉がすぐ出せるからいいね」となりますが、いろいろな調味料を冷蔵庫にしまっておきたい人だと、コンロにも近いほうが使い勝手は良くなります。なので、この場合は冷蔵庫の位置をスライドさせて、シンクとコンロの中間あたりに置くほうが良くなります。
これも個人差があるので、普段の使い方を振り返りながら4つのコーナーを意識していただければと思います。
最後にワークトライアングルという話をします。
厨房の効率を追求した女性のグループがいらっしゃって、彼女たちに「冷蔵庫はここ(左上)がいいですよね」という話をしたら、「一概にそうとは言えないです」とお叱りを受けたことがあるんです。
彼女たちからすると、冷蔵庫というのはシンクとコンロの中間にあるのがベストだそうです。冷蔵庫・シンク・コンロを線でつないだとき、正三角形になるのがいいと言ってました。
そうすると、冷蔵庫から食材を出してコンロで炒めるときのステップがラクになって、調理時間が何分か短くなるそうです。
朝は本当に忙しすぎて毎日大変という悩みがある場合は、スペースの問題と合わせて、最適なワークトライアングルというのも考えていただくと解決につながるなと思いました。ワークトライアングルは正三角形に近ければ近いほどいいそうです。効率を追求する女性からワークトライアングルという考え方を教えていただいて「そういう視点もあるんだな」と、とても勉強になりました。
こんな感じで片付く家、すなわち家事・調理がスムーズにできる家はできていくので、ぜひ参考にしていただければと思います。
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