片付く家と散らかる家の違いとは?
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今日は片付く家と散らかる家の違いについてお話します。家を建てるなら、散らからない家が欲しいですよね。
片付けしやすい家・散らかりやすい家について考える前に確認しておいてほしいことがあります。今回は「整理・整頓・掃除」という言葉の定義です。
昔に建設系の仕事を始めたばかりの頃、現場に出て、当時の大先輩の工事所長さんから「整理整頓の意味はわかっとるんか?掃除の意味はわかっとるんか?」と何度も言われました。
まず整理という言葉の意味は、いるもの・いらないものを分けることです。言い換えたら分別ですね。
次に整頓という言葉の意味は、いる物をあるべき所に片付けることになります。“あるべき所”というのがミソなんです。
例えば若い子に「整理整頓しておいてね」と言って「はい」と返事があっても、できていないことがありますよね。なので指示するときは、まず最初に「ここにある物で、いる物・いらない物を分けておいてくれない?」という言い方になります。
「好きな物と嫌いな物を分けて」とか「使ってる物と使ってない物を分けて」という言い方もあると思います。ただ今回の整理整頓においては、いる物といらない物をちゃんと分別して、いる物をあるべき所に片付けることがゴールになります。いる物・いらない物と伝えるのがいいですし「いる物は決められた場所に戻してね」と言わなくてはいけないです。
整理整頓と合わせて、もう1つよく使う言葉に「掃除」があります。掃除というのはゴミや埃とか汚れを、掃いたり、叩いたり、拭いたりしてきれいにすることを意味します。これを頭に置いておいて「じゃあ片付く家って何だろう?散らかる家って何だろう?」と考えていただくとわかりやすいと思います。
最初のポイントは玄関です。家の中にあるものは玄関を通って入ってきます。ものが増えたら家の中は散らかります。片付く家の理想としては、玄関で第1弾の分別ができるといいです。
別の動画で「玄関は港なんだ」と例えたことがありました。物流倉庫の入り口にも近いです。入ってくる物を一時保管する場所で、かつ、即座に分別する場所になります。即座に分別するのもポイントです。置きっぱなしにすると物が溢れます。
例えば郵便物がたくさん届くお家であれば、玄関ですぐにチェックできるといいです。本当に大事な郵便以外のものはすぐに捨てられるようにゴミ箱を置いて、かつ、すぐに外に出せるようにしておくと便利です。
僕も、ほしいものはアマゾンとか楽天で買っています。届いたらダンボールごと部屋に持って入って、開けて、分別して…という作業をしますよね。でもバラしたダンボールは、かさばるので部屋の中でスペースを取ってしまいます。なので玄関で開封からダンボールをまとめるところまでできるといいです。
最近、タダで資源ゴミを捨てられる所をよく見かけます。もし家の近くにああいう所があれば、朝出勤するついでに捨てられます。こういった流れができると家は散らかりにくくなります。
玄関には、玄関でしか使わないもの用の収納も作っておくのもおすすめです。たとえば車の鍵。最近の車の鍵はリモコンタイプになっていますよね。玄関に置いてたら電波が拾われて、車が盗難に遭うという事件が増えています。なので収納場所には、箱のようなシールドを作っておくと安心です。(一番いいのは鉛素材らしいです)そうすると玄関も散らかりにくいし、盗難のリスクも抑えられます。
また最近だと、定期的にジムに通っている人が増えています。ジムで使う靴・ウェア・カバンとかも玄関にある方が便利だと思います。帽子も玄関にある方がいいですね。
僕が収納関係のことを教えてもらった方の1人に草間雅子先生がいらっしゃいます。彼女が「家が散らかる最大のキーワードは2つしかない」とおっしゃっていました。1つ目は衣類のコントロールが効いてないこと、2つ目はサニタリーの収納が少なすぎることだそうです。
まず衣類のコントロールが効いてないことについてです。
旦那さんが仕事から帰ってきたら「疲れた〜」と言って着ていた上着をリビングのソファーに置く光景があります。これはよく喧嘩になりますよね。「ちゃんとクローゼットに掛けて!」というやつです。
最近の家だと玄関のすぐ側に“デイリークローゼット”を付けることが多いです。寝室にあるウォークインクローゼットとは、また別のものですね。デイリークローゼットが玄関のすぐ側にあると上着をしまうのが習慣化されます。脱いだ物はサニタリーに置く、というのも決めておけば散らかりにくいです。
冬に毎日着るコートとかは玄関にパッと掛けれるとストレスが少ないです。帰ってきたら、すぐルームウェアに着替えたい方もいますよね。そういった方はデイリークローゼットの中にルームウェアもしまっておくといいです。ルームウェアは、定期的に洗うものだと思いますので、デイリークローゼットの近くにサニタリーや洗濯場が設計されていると、家事ストレスはもっと減らせます。
多くの女性が苦労されている“名もなき家事”を旦那さんやお子さんが自然と手伝ってくれる、みたいな設計も可能になります。
2つ目のサニタリーの収納についても解説します。
サニタリーは洗濯機と洗面ユニットを置いて終わりというものが多いです。これでは収納量が少ないです。
洗面所は収納が限られているわりに、電動歯ブラシとか化粧品とか置いておきたいものが多いんですよね。
加えて、寝室にドレッサー・鏡台を置くことは減っています。洗面ユニットでお化粧を済ませたいという女性が多いです。シャンプーやお風呂掃除の洗剤とかも置きたいですよね。
収納が足りないとなると、たいていはホームセンターとかでボックスを買ってきてリビングに置くといったことになります。そうすると家は散らかります。
例えばお風呂から上がったとき、パンツとかタオルないから「持ってきて〜」と言ったりしますよね。お風呂入る前に置いておけばいいのですが、今度はそういったものしまう場所が必要になります。でも、洗濯機の上に置くにしても棚がいるし、洗剤も一緒に置いておきたい…となることもあります。なのでサニタリーの収納量はちゃんとしてないと家は散らかります。一箇所にまとめて置かないと管理も難しくなるので、サニタリーの収納は絶対に必要です。
このデイリークローゼットやサニタリーの収納量を考えるときには、寸法にもポイントがあります。特に奥行き。
昔ながらの家にある押し入れは、奥行きが大体90cmくらいあります。でもよっぽど大柄な人の衣類でないかぎり、クローゼットの奥行きは60cm強あれば問題ないです。食器をしまう場所であれば、奥行きは30cmぐらいが一番使いやすいです。食器棚の場合、奥行きが45cmだと深すぎます。後ろの物が見えなくなるので管理しづらいです。
ちなみにサニタリーの収納は奥行きが45cmもあれば十分だと思います。洗剤は意外と大きな物があるので、奥行き30cmだと厳しいかもしれません。これは使っている洗剤とかの好みもありますので、よく吟味をしてもらえたらと思います。
あと、こういう所の収納はゴールデンゾーンを活用するのもポイントです。ゴールデンゾーンというのは高さのことです。
収納というのは大体180〜200cmぐらいの高さが多いです。高すぎても使いにくいし、腰が悪い人にとっては低い所にある収納も使いにくいです。
女性の平均身長やお子さんのことも考えると、床から大体80cm〜90cmの高さが一番ストレスがないです。物も探しやすいので使用頻度の多いものに関しては、このゴールデンゾーンに置くということを考えて収納計画をしてください。
機能的&ラクであれば人は片付けをします。手間が掛かると片付けがイヤになります。2階に大きなウォークインクローゼットを作っても、そこにコートを掛けに行くのは面倒ですよね。なので、「ただいま」と帰ってきたときにパッと掛けられる所にコート掛けを作るのが重要なんです。「ここに置いたら一番ラクだな」という所に収納を作ることが大切です。
繰り返しになりますが、家が片付くための整頓の極意は、あるべき所に片付けることになります。なので、まずはあるべき所を決めなアカンです。
昔読んだ本か雑誌で、とても素敵な言葉があったので、引用させていただきます。
それは「全ての物に住所を付ける」ということです。
生活していると、いろんな物がいっぱいありますよね。それの所属先、つまり家の中の住所を付けてあげると片付くようになります。あるべき所が決まれば、あとはそこに納めるだけです。住所というのは収納のことですね。
その上でプラスでやっていただきたいこともお話ししておきます。
小さなお子さんがいるお家の場合、おもちゃが広がっていますよね。
小さいころは子ども部屋よりもリビングで遊ぶことが多いです。なのでリビングには絶対おもちゃの置き場所を作ったほうがいいです。ちなみに、ここは将来、家族のアルバムを置いたりする場所として使うこともできます。(今はデジタルなのであまりないかもしれませんが…。)
このおもちゃ置き場は、必ず放り込める仕様にしてください。小さい子にとって片付けるのは難しいので、バスケットみたいな形のものにするのがおすすめです。
最近はダイニングテーブルで勉強するお子さんが増えています。
ダイニングテーブルって食事とかお茶するためだけじゃなくて、子どもが勉強したり、奥さんの書斎みたいな感じにも機能するものになっていますから、ダイニングにもしっかりした収納があるといいです。A4のファイルがしっかり入るような本棚に近い収納ですね。
お子さんがリビング学習するなら、教科書とか時間割とかは、そこに置いてあげる方が良いと思います。宿題が終わったら、明日の時間割を見ながら「明日使うものカバンに入れておこうね」と言って準備もできます。なのでランドセルも置けるといいですね。
「自分の部屋に持っていきなさい」としつけるより「ここに置きなさい」と言うほうが、子どもはちゃんと片付けします。
最後に3つトピックがあります。
1つは「8割収納」という言葉です。
物というのは管理が難しいです。なので散らからない家にするためには、細かく緻密に考えて物をビシビシに入れるよりは、2割の余裕を持つような組み立て方にしていただくのが重要だと思います。
併せて掃除についてです。
頻繁に掃除ができる方が、物の整理も進むので家が散らからないのは明白です。ただ、掃除道具のための収納というのは、みなさんあまり深く考えないです。大きな納戸を作って、そこに掃除機とかあらゆる物をしまうケースがあります。
でも、納戸がブラックボックス化して、いろんなものをいっぱい置くのは危険です。必ずデッドストックが生まれます。8割収納を意識して、納戸をなくす方が家は絶対に片付けやすくなります。
3つ目はコロナ禍になって、書斎スペースがすごく見直されていることについてです。
リモートワークが定着したこともありますし、専業主婦の方とかお子さんたちにも作業に集中できるような場所があると、家の快適度が上がります。
これも意図して作るのも、散らかりにくい家につながります。
ダイニングテーブルでリモートワークをすると、みんなの迷惑になりますよね。ZOOMで会議してるのに子どもが「パパ!」と入ってくるのも困ると思います。
今回は、かなり盛りだくさんな内容になったので、自分たちだけで全部を組み合わせて家づくりを考えるのは難しいかもしれません。ですので、そこは家づくりのプロにしっかり相談して進めてくださいね。
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